11月23日に行われたカタールW杯初戦・ドイツ戦で、値千金の同点弾を叩き込んだ日本代表・堂安律。日本サッカー史に残る歴史的勝利の立役者となった強気なレフティーは、3か月前からこの瞬間をただひとり確信していた――。

サプライズとは、人生が変わるかどうか。



カタールW杯初戦・ドイツ戦の後半30分。途中出場した堂安律がこぼれ球を左足で叩き込み、日本に貴重な同点弾をもたらした。

試合後には「俺が決めるという気持ちで入りましたし、俺しかいないと思っていたので。日本サッカーを盛り上げるという気持ちでこのピッチに立っているので、皆さんぜひ期待してほしいです」と熱っぽく語った背番号8。

日本サッカー史に深く刻まれる金字塔、“ドーハの歓喜”の立役者となった堂安だが、実は3か月前にこの大活躍を“確信”していたのだ。

8月22日発売の「週刊プレイボーイ」に掲載された連載コラム『堂安律の最深部』にて、欧州挑戦6年目となる今シーズンのテーマを「反撃開始」と明かし、クラブ史上歴代2位となる高額移籍金でドイツ・ブンデスリーガのSCフライブルクへと完全移籍した直後の心境をこう告白している。

「『ここまで行けたか!』というサプライズを起こすのはこれからです。何をもってサプライズなのかというと、それは人生が変わるかどうか、ですね。環境はもう整っているので、あとは自分が結果を出せるかどうか。『この1年を頑張れば、ここから5、6年は食っていけるわ』という活躍ができれば、誰も想像していないようなシーズンになると思います」


「ここで決めれば日本の歴史が変わる」


堂安は3年前の2019年、オランダ・エールディビジのPSVアイントホーフェンへ完全移籍したものの思うような結果を残せず、翌年にドイツ・ブンデスリーガのアルミニア・ビーレフェルトへ期限付き移籍。そこでチームを1部残留へと導く大活躍を演じ、たちまちドイツ中にその名をとどろかせた。

その後、東京五輪ではエースナンバー背番号10を背負って躍動するも、死闘の末に銅メダルを逃す屈辱を味わった。昨シーズンはPSVアイントホーフェンへ復帰し、シーズン2桁得点を記録。そのまま好調を維持し、今季開幕前に満を持してブンデスリーガへと舞い戻ってきた。

「ブンデス開幕戦でドイツ紙『キッカー』のベストイレブンに選ばれましたけど、驚きもうれしさもそこまでなかったし、シーズン2桁ゴールを獲れば人生が変わるとも思っていないです。人生を変えるようなサプライズって、別にひとつではないんですよ。

例えば、『ここで決めれば日本の歴史が変わる』というW杯の大事な場面でゴールを決めるとか、来季CL出場権のかかったリーグ最終戦でヒーローになって市場価格が上がるとか。そういう場面に居合わせる、という運も必要になってきます」

W杯の大事な場面で日本の歴史を変えるゴールを決める――。3か月前の時点で、堂安の目には “そういう場面”がハッキリと映っていたのだろう。ドイツ戦の3日前には「点取ります。それだけです」と言い残し、この大一番で3年10か月ぶりとなる代表弾をゴールネットに突き刺した。

「この2年で精神的に大きく成長できたと思っているし、何事にも動じなくなりました。人生を変えるサプライズを起こす環境は整っているし、そういう運が必ず巡ってくると確信しています」

積み重ねてきた努力を確固たる自信に変えて挑んだ夢の舞台で、自ら運をたぐり寄せ、人生を変えるサプライズを起こした堂安。有言実行の“持っている男”が、日本代表を新しい景色へと導いていく。

写真/Getty Images