5月18日、結成16年以上のコンビが漫才で頂点を競う「THE SECOND」(フジテレビ系)のファイナルが行なわれた。2年連続でグランプリファイナル進出した金属バットは優勝したガクテンソクに準決勝で敗れてベスト4という結果に終わった。大会直前に金属バットの二人に聞いた、今大会に対しての総括をお届けする。

—この記事の配信は、THE SECONDグランプリファイナルの結果が明らかになった18日以降なのですが、一応【優勝バージョン】と【優勝しなかったバージョン】の2パターンのコメントをいただきたいなと思っておりまして。

友保 いいですね。めっちゃ真面目なのとりましょうよ。

—優勝直後お二人……少し涙ぐんでらっしゃいましたね。

友保 まずは「優勝おめでとうございます」でしょうが。

小林 何年ライターやってるんですか。

—失礼しました。金属バットさん、悲願のTHE SECOND優勝おめでとうございます!

小林 ありがとうございます。

友保 当然の勝利だと思います。

—今の正直なお気持ちをお聞かせください。

友保 やはり、べしゃりは裏切らない、サンパチありがとう。

—この優勝を誰に一番伝えたいですか。

友保 父、母、そしてサンパチ、そして吉本興業、そして応援してくださったファンの皆さん、そして大阪の皆さん。

小林 この勝利は決して自分たちだけの力じゃないと思ってます。やはり皆さんの応援あってのものなので。連載している集英社オンラインさんにはとても応援していだいて。

—担当編集の「スケジュール押さえにくくなると嫌やから金属バットは優勝しないでほしい」という問題発言もありましたが。

小林 僕はあれを鼓舞と受け取りました。優しさですね。

友保 ありがとう。

—今日の金属バットさんの姿を見て、将来お笑い芸人になりたいと思った子どもたちにメッセージを。

友保 夢は見るもんじゃない、つかむもの。ネバーギブアップ、これだけ覚えておいてください。「泥に咲く蓮」。これだけ。

—何年経ってもあきらめるなということですね。

友保 時間は積み重ねれば、積み重ねるほどよくなるんで。縄文杉を見てください。年輪は語ります。いい年の重ね方をしてください。めげるべからず。
 

「明日どうするか。今日がスタート地点です」

—18年のコンビ歴で、何が一番思い返されますか。

小林 辛かったことはないですね。今思えばですけど、何も自分ではしてなくて、ただ18年間感謝だけをしてきた。

友保 ネテロムーブ(漫画『HUNTER×HUNTER』のハンター協会会長・ネテロが約2年間欠かさず続けた「感謝の正拳突き」)なんですよ。

小林 常に感謝だけをしてここまできたので、辛かったことはないです、感謝感謝。このグラスにも感謝。

友保 僕は逆ですね。辛いこともありましたが、すべてひっくるめて……よかったですね。すべてが今日に繋がった。

—チャンピオンらしい。

友保 そして今日勝ったから……ではないですね。明日どうするか。今日がスタート地点です。すいません、おビール頼んでもらっていいですか。ゲッ。

—なぜかゲップも格調高く聞こえてきますね。先ほど「辛いこともあった」とおっしゃっていましたが、何が一番辛かったですか。

友保 一番辛かったのは昨日です。その前は一昨日。毎日が辛さの更新です。

小林 日に日に辛くなってる(笑)。

友保 年月というのは積み重ねるものなので。辛さがどんどん積み重なる。

小林 この優勝インタビュー大丈夫か。どんどん不幸になってるが。

友保 その辛い日々を経て、今があります。

—ただ早起きしたくないだけなんじゃないですか?

友保 朝も早く起きたくない、夜も遅くまで起きてたくない、スベりたくない。

小林 ……おい、このライター(西澤)今「もずく」すすってたぞ。

友保 あ、ちょっとすいません……おいコラ、おばはんなにしとんねん。何「もずく」すすっとんねん!

小林 あなた総理にインタビューするとき「もずく」食いますか?

友保 これも、チャンピオンになって初めての辛いことですね。

小林 何時間も食べてなかったお通しの「もずく」をなんでこのタイミングで食うのか。

—しかし……諦めようと思ったときもあったんじゃないですか?

小林 まだ続けようとしてる(笑)。

友保 一つ言わしてもらってもいいですか、諦めようとした日は一度もないです。人の話を聞きながら「もずく」をすすってる記者もいるかもしれない、それを乗り越えろ、ちびっ子たちよ。大事な取材で「もずく」すすられて、傷ついて傷ついて、光る。なぜ魚は光っているのか、それは剥がれかけたうろこが揺れるからなんですよ。

—中島みゆきだ……。

友保 だから子どもたちに言いたいのは、「ファイト!」です。

「近々テレビは崩壊して、すべてはWEBに変わる」

—優勝を経て、これから成し遂げたい夢は?

小林 僕は今回勝たせてもらったと思ってるんで。勝ったという感覚が今のところありません。本当の意味での「勝利」を成し遂げたいですね。

—以前、日清食品どん兵衛さんからのステートメントで「アホみたいに売れてくれ」と言われていましたが。

友保 誰がアホや! 

小林 その応援を力に変えられるように、がんばりたいですよね。受け流すのではない、受け止める。そしてもう1歩前へ。

友保 クロネコヤマトよりもう2歩先へ。

—素晴らしい優勝インタビュー、ありがとうございました。

友保 こちらこそ、素晴らしい機会を設けていただいて。

—今回、金属バットさんの優勝でさらに大会の価値が上がるのではないかと。

友保 いや、大会に価値なんてないんです。すべては人が作るものなので。価値とは人。来年はもっといい大会になると思います。僕からは以上です。

小林 僕はこの大会、持ってあと4年だと思います。僕からは以上です。

友保 おもしろい、おもしろいな、ミスターK。

―テレビも変革を迫られているこの時代の中で、今お二人のような芸人が求められている風潮を感じていますが、いかがでしょうか?

友保 そうですね。求められるところに行く。以上です。

小林 近々テレビは崩壊して、すべてはWEBに変わると思います。以上です。

友保 おもしろい、おもしろいよ、ミスターK。

—では続きまして、優勝できなかったパターンに移ります。お二人、おつかれさまでした。今の率直な気持ちをお聞かせください。

友保 終わりや! 終わりですわ! お笑いis deadでございますわ! 客の目が死んどった。なんもわかってない、アホが集まっとった。お台場までようけアホが集まっとった。ゴミじゃあの大会は。

小林 僕らにいっさい非はないはずなんで。

友保 あんなもん、チ●コ出したら笑う客ですわ。

小林 あれ、ちょっと待ってください。歴史を振り返ると、すべて集英社オンラインの決起集会が悪いんじゃない?

友保 いやコバちゃん、決起集会も悪い、客も悪い、もっと言うと大会が悪い、あんなもんゴミや! 枚方のやらせの大会と一緒や!

「テレビなんてみんなやらせですわ」

—観客による採点という公平な大会に思えたのですが。

友保 ゴミです。ゴミ。あいつらゴミですわ。音の鳴る肉の塊ですわ。お笑いっちゅうもんなんもわかってない。

小林 果たして本当に採点通りの点数だったのか……っていうことですよね。事前にすべては決まっていたのではないか。

—テレビはまだやらせとかやってるんですか?

友保 テレビなんてみんなやらせですわ。いかがわしい大人の集まりですわ。妨害電波を流しとる。反社から圧力かかっとる。人をバカにする電波を流しとる。

—陰謀論ですか。

友保 陰謀論ではない! 愚か者が! 「もずく」食うとけ!

小林 「もずく」カラになっとるやないか!
 

—ネットの下馬評が高かったので……金属バットが優勝すれば、何か時代が変わるんじゃないかという声も多かったと思うのですが。

友保 ネットに足を引っ張られた。ネットのやつはいつでも責任をもたん。名前もない顔もない。好きなことを言いよる。愚か者の集まりですわ。

小林 「時代を変えてくれ」など、まずおこがましい。おまえが変えろ。

友保 黙って麦を踏め。

—しかし、かなり爪痕は残したのではないかと。

友保 爪痕を残す残さんじゃない! わしの爪がちょっと減った!

—そうは言ってもTHE SECOND、フジテレビが社運をかけた番組だと思うのですが。

友保 富士山か六甲山か知らんけど! しょうもない、しょうもない大会やで。あんなん山で言うたら天保山やで。大阪でいうたら天保山。

—日本一低い山。

友保 ブスの女のおっぱいじゃ! ウィル・スミスの嫁の乳じゃ!

—ウィル・スミスさんにひっぱたかれますよ。

友保 待っとるでスミスはん。ほっぺた開けて待っとるぞ!

取材・文/西澤千央 写真/高木陽春 Peta Photo Studio