コスプレイヤーの伊織もえと、漫画『僕の心のヤバイやつ』のコラボ写真集『伊織の心がヤバイやつ 〜伊織もえ×「僕の心のヤバイやつ」コラボ写真集〜』が2022年8月8日に発売された。「僕ヤバの大ファン」を公言する伊織に作品の魅力や撮影時のこだわり、さらに漫画作品とコラボするときの“葛藤”について話を訊いた。


叫んじゃうくらい恥ずかしくなる


――伊織さんは連載当初から『僕ヤバ』のファンだったそうですね。

そうですね。作者の桜井のりお先生が、よくTwitterに『僕ヤバ』のイラストやショートショートをアップされているじゃないですか。それをたまたま拝見したことがきっかけで、連載を追いかけるようになったんです。当時は『いちごとレモンとマスカット』というラジオ番組のパーソナリティをやっていて、そこでも「めっちゃいい漫画を見つけた!」と紹介したのを覚えています。

――『僕ヤバ』のどんなところが伊織さんに刺さったのでしょうか?

とにかく没入感がすごいんですよ。「うわー!」って叫びそうになるくらい恥ずかしい気持ちにもなるし、ものすごくキュンキュンもする。私にはこんな青春時代はなかったはずなのに、なぜか自分の思い出を追体験しているような気持ちになるというか。その感じがめちゃくちゃ好きです。

――特に印象に残っているエピソードはありますか?

市川が山田に紅茶花伝を買ってあげるシーンがすごく好きで。影響されて、紅茶花伝ばっかり買っている時期がありました(笑)。



紅茶花伝だけじゃなくて、「ねるねるねるね」とか「フルーチェ」とか「メルティーキス」とか、実際の商品がよく登場するじゃないですか。そのチョイスが上手いというか、「中学生って、こういうのが好きだよね」というものが選ばれていて。そういう細部の作りこみが、作品への没入度を高めているのだと思います。

――お気に入りのキャラクターも教えてください。

みんな好きなのですが、一番親近感を感じるのは、やっぱり市川です。私もたいがい“陰キャ”で、中二病だったので(笑)。十字架が描いてある棺桶のストラップをカバンにつけて登校するようなタイプでした。逆に、もし山田みたいな女の子が同級生にいたら、ちょっと距離を置いていたんじゃないかな。教室の隅っこから、別の生き物を眺めるような気持ちで山田をチラ見していたと思います。


陽キャ美少女「山田杏奈」を完全再現するために



――ヤングチャンピオンのグラビアページで『僕ヤバ』とのコラボ企画が決まったとき、最初はどう思いましたか?

はじめは一瞬「私にできるかな?」とちょっと思いました。私が扮する山田杏奈は身長も高くて容姿端麗だけど、「制服に黒髪ストレート」っていう、良い意味で特徴のないキャラ造形じゃないですか。そういうキャラクターって、実はグラビアで表現するのがすごく難しいんですよ。でも、やっぱり大好きな作品なので、思い切ってコラボに挑戦させていただきました。



――再現度を高めるために、こだわったポイントを教えてください。

まずは髪ですね。山田の髪色って、カラーイラストだと青色で表現されているじゃないですか。でも、設定的には絶対に黒髪ストレートだと思うんです。それをどっちに寄せるべきなのか、すごく迷って。最初の撮影のときは、黒と青のウィッグを両方持って行って、現場で担当の編集者さんと相談して、最終的に黒のウィッグに決めました。

――そのエピソードだけでも、伊織さんの意気込みが伝わってきます。

今回の写真集の撮影では、もっとリアリティを追求するために「もう自分の髪を山田みたいにしちゃおう」と思って。エクステをつけてから、地毛ごと染めちゃいました。一回、めちゃくちゃ明るめに染めて、それから青と黒の色を入れていった感じです。

――髪の色ひとつとっても、そこまでの試行錯誤があるんですね……! ほかに、今回の撮影でこだわったポイントはありますか?

今回の写真集では、作中の名シーンもたくさん再現させていただいていて。漫画のコマを大きく印刷してきてもらって、それを見ながら角度やポージングを細かく調整していきました。保健室で鼻血を抑えるシーンだったり、手のひらでチョコを握って溶かすシーンだったり、普通のコラボグラビアでは取り上げないようなニッチなシーンまで再現しているので、そのあたりもお楽しみいただければと思います!



私なりの「山田杏奈」を楽しんでいただけたら……


――伊織さんは、コスプレイヤーとしても活躍されていますが、コスプレとコラボグラビアでは、何か違いがあったりするのでしょうか?

私自身の気合いの入れ方というか、キャラクターとの向き合い方は、コスプレでもコラボグラビアでも基本的には変わりません。ただ、今回のように「秋田書店さんからコラボ写真集を出す」となると、すごく「公式感」があるじゃないですか。そうすると、原作ファンの方のなかには「解釈違いだ」と感じる方も必ずいると思うんですよね。みなさん心のなかに、それぞれの「山田杏奈」がいると思うので……。



でも、グラビアをするのなら、やっぱり私なりの解釈で「山田杏奈」を表現するしかない。そういった難しさというか葛藤は、今まで以上に感じる写真集でした。私なりの山田杏奈を見た誰かが「僕ヤバ」に興味を持ってくれたら、作品の世界も広げることにもつながると思うんです。もしそんなお手伝いができたら本当に嬉しいし、この写真集にお誘いいただけてよかったなと思えますね!

——「解釈違い」は、ある意味でコラボグラビアの宿命ですよね。

なので、この写真集を読んだ原作ファンのみなさんは、感想やご意見をSNSなどにバンバン書いていただけると嬉しいですね。多分、発売後はたくさんエゴサすると思うので!(笑) みなさんの感想をお待ちしています。

——最後に、改めて今回の写真集の見所を教えてください。

『僕ヤバ』ファンのみなさまには、原作のシーンを思い出しながら読んでいただくと、さらに楽しめる写真集に仕上がっていると感じています。私と桜井先生の対談や、僕ヤバの聖地巡礼マップなど、ここでしか読めない内容も盛りだくさんので、そちらもぜひ!

あとはやっぱり、これまで『僕ヤバ』を読んだことがない方にも、ぜひ手に取っていただきたいですね。この写真集が、『僕ヤバ』という作品にふれるきっかけになれば、すごく嬉しいです。

取材・文/福地敦 撮影/井上たろう

©桜井のりお/伊織もえ/Takeo Dec.(秋田書店)2022
©桜井のりお(秋田書店)2022


伊織もえ、ひと夏のコラボグラビア挑戦























『伊織の心がヤバイやつ ~伊織もえ×「僕の心のヤバイやつ」コラボ写真集』(秋田書店)

桜井のりお、TakeoDec

2022年8月8日

2750円(税込)

大型本 130ページ

ISBN: 978-4-253-01116-7