『ゴールデンカムイ』の連載が始まる頃の知られざるエピソード。そして、待望される次回作について…。最後は『ゴールデンカムイ』を愛したすべてのファン必読のメッセージ!【野田サトル珠玉のイラスト色紙集(40点)も大公開】(全4回の第4回)

【注意】このインタビューは、漫画『ゴールデンカムイ』の完全なネタバレを含みます。ご了承いただける方はお読みください。


(#3の続き)


インタビューの最後に公式ファンブック未収録の質問に回答


Q:月島軍曹が日清戦争に行っているとき、いご草ちゃんとやり取りしていた手紙は今でも持ってますか?(アンミャーさんより)

A:全部捨てました。最後まで彼女と偶然の再会もしなくていいと思いました。任務に集中する月島がいい。ただ捨てたものが大きかった分、鶴見中尉に全てを捧げ、本人にも全てを犠牲にして目的を達成してほしかったんですね。
教会で盗み聞きした鶴見中尉の会話は月島軍曹が心から望んでいたことだった。だから彼の目に光が宿った。函館の最終決戦に向けて、月島の気合が入った状態にしたかったのです。



Q:鯉登さんの台詞について質問です。(゚Д゚≡゚Д゚)キェェェェ!!!!!となっているときの吹き出しが原作では読めないときがありますが、アニメではちゃんと台詞になっているシーンがありました(飛行船で尾形に叫んでいたとき)。先生がアニメスタッフさんに指示しているのでしょうか、それともアニメオリジナルなんでしょうか。今後もこのように解読台詞を聞けることはありますか?(るー軍曹さんより)

A:もちろんすべての部分で「ここの鯉登はなんと言っているんですか?」とアニメサイドの方に聞かれます。



谷垣とボウタロウは水球部で…


Q:243話で菊田さんが尾形と花沢少尉は「仲は良さそう」と言って2人を見ている回想がありましたが、花沢少尉は尾形と話すとき、何の話題が多かったですか?(hayaさんより)

A:勇作からは日常生活の楽しかったこと、自分の好きなこと、最近、街へ行って食べたおいしい食べ物、天気の話など。尾形からは父のことばかり質問していたそうです。



Q:キャラが学生で、部活をしているとしたら何部に所属していますか?(戊さんより)

A:杉元はアイスホッケー部のFW。白石は体操。アシㇼパは陸上部の中距離選手。
尾形はバレーボールのセッター。牛山はあえてハンマー投げ。キロランケはバスケ。月島はサッカー部のDF。鯉登はサッカー部のFW。門倉とキラウシは卓球。
谷垣とボウタロウは水球部で、谷垣は試合中にボウタロウにパンツを引きちぎられてプールから出られなくなって。応援している吹奏楽部のインカㇻマッも谷垣の股間を見て「あら、オーボエがあんなところに」なんて言っちゃって。
谷垣が顔を真っ赤にしているのを、同じチームの有古イポㇷ゚テに隠してもらいながらプールを出るんだけれど、相手チームの宇佐美に突き飛ばされてまたプールに落ちて、そんでもって、ふたりともチンポ出しちゃって、「ああ、恥ずかしい」だって。バカヤロ。

――ありがとうございました。質問箱延長戦は、このへんまでにいたしましょう。次は本編に関するお話をお聞きしたいです。


人気漫画を描くための知られざる努力

――『ゴールデンカムイ』は映画や絵画などのパロディやオマージュが多いとされていますが、漫画からはほとんどないとおっしゃっていました。そのこだわりは?

パロディにするにはちょっと狭いからですね。担当の大熊さんは、僕との打ち合わせで、某ヒット漫画のエピソードを例えで出してくるんですけど、僕は読んでなくて全然わからないんです。
年齢がそんなに離れていなくても、通ってきた漫画はぜんぜん違う。
それがもう、十代、二十代の読者となるとどんどん離れていく。そのうち大ヒット映画だって通じてこなくなる。細分化されすぎて、同じ娯楽を共有する時代じゃなくなった。なので、もう今後はパロディをやめようと思っています。

――ゴールデンカムイ展に展示されている野田先生の資料はごく一部と聞いています。他にどんな物があるのか具体的にお聞きしたいです。

二十八糎榴弾砲や雷型駆逐艦の大きな模型ですね。駆逐艦は全長1メートルあります。
すべて真鍮の特注品で、模型作家さんが作ったものです。


雷型駆逐艦の絵と実際の模型



本当に繊細で、万が一壊したら嫌なので、展覧会には出したくなかったんです。


二十八糎榴弾砲の実際の模型


けれど、こんなにゴールデンカムイ展が大盛況なら出しておけばよかったかなと少し思いました。古いマキリもたくさんあって、作中で出していれば展覧会に出せたんですが。

――ほとんど自分で買われたものですよね? 相当な金額になりますね。

全部投資ですね。アイヌの資料だけでも、沢山の工芸家の方たちから総額でいうと数百万円は自腹で購入しています。アイヌの文化を描かせていただいているのでその文化を伝えている方たちに、ピンポイントで還元したいという思いもありました。
僕にとって作品作りにおける経済的な問題は非常に大切なことです。
もちろんヒットしなくてスッカラカンになる可能性は大いにありました。前作がそうでしたから。あちこち自費で取材に行って、アイスホッケーの防具も自費で買い集めて、仕事場も借りて机など備品も揃えて、アシスタントさんも集めて、それで打ち切りですからね。
それから『ゴールデンカムイ』を準備して、連載が始まる頃には貯金も底をついていました。どこの世界も弱肉強食ですよ。


「ゴールデンカムイを忘れないで欲しい」


――次回作についてもう少しお聞きしたいです。



前作『スピナマラダ!』は打ち切りだったので、中途半端な作品です。もっと描かなければいけないことがたくさんあった。
若い頃の貴重な何年かを費やした作品なので、完成品としてこの世に残しておきたいのです。完全なわがままです。一度売れなかったものをもう一回描き直しても、売れない可能性は十分にありますから。
でも、描かせてくれるヤングジャンプさんには大感謝です。『ゴールデンカムイ』を描き終えて、少しは成長できたと思っています。今ならもうちょっと面白い作品になると確信しているし、自分も楽しみです。
『ゴールデンカムイ』は作品にファンが付いているのであって、野田サトルという作家にファンが付いているわけではないので、新しい連載には新しいファンを集めるつもりで、常に新人のつもりで頑張ろうと思っています。

――最後に『ゴールデンカムイ』を愛する人たちに向けてメッセージを。

最終巻まで買ってくれた方たちには大感謝です。『ゴールデンカムイ』を忘れないでほしい。
紙のコミックスでも持っていてくれると嬉しい。ベッドの近くにおいて、ときどき読み返されるような。
僕は大好きな漫画にそうやって触れてきたし、僕の作品もそんな漫画になるのが理想でした。『ゴールデンカムイ』が気にいった方は次回作も読んでほしいです。きっと気にいっていただけると思います。
本当にありがとうございました。

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©野田サトル/集英社

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