松屋銀座の地下2階食品売場に8月31日にオープンした冷凍食品売場、「GINZA FROZEN GOURMET(ギンザフローズングルメ)」が注目を集めている。百貨店に久しぶりに登場した常設・直営の冷凍食品売場で、連日予想以上の来店客を得て絶好調。いま、なぜグルメ冷凍食品が人気なのか。その背景を冷凍食品ジャーナリスト山本純子氏が解説する。

いま、なぜ、百貨店がグルメ冷食?


ギンザフローズングルメの売場は、黒を基調にしたシックでプレミアム感のあるオリジナル冷凍ショーケースが4台。冷凍食品(一部アイス)の品揃えは、約50ブランド・350品で、いずれも売場担当厳選のプレミアムな美味しさを提供する商品ばかり。オリジナル保冷バッグも販売。専用キャッシャーでは、ドライアイスマシンで使えるコインがもらえます。もちろん冷凍配送もOK。美味しい冷凍食品の品質をそのまま家に持ち帰れるような、万全の準備が整っています。

売場には連日多くの買い物客が訪れて早くも大人気となり、同店が予想した売上の3倍以上で推移しているとのこと。余談ですが、同売場より1日早くオープンした、イオンの冷凍食品専門店「@FROZEN」(新浦安駅前)でも、人気外食ブランドの商品やイオングループのフランス発冷凍食品、Picard(ピカール)が絶好調との情報が流れてきました。消費者はいま、従来のスーパーの売場にはなかった冷凍食品、少し高価格帯であっても、美味しい冷凍食品を求めているようです。

いま、なぜ、グルメ冷食が関心を呼んでいるのでしょう。その背景に、2020年春からのコロナ禍があることは明らかです。家庭で過ごす時間が長くなり、買い物頻度も低下すると、生鮮や日持ちのしない惣菜より冷凍食品が便利で無駄が出ません。実際、松屋銀座でも、来店客から「冷凍食品はありませんか?」とたずねられることが増えていたそうです。

また、コロナ禍のテレワーク、外出自粛で、毎日3食の料理疲れが出てきて、ランチや夕食の1品など、手軽に手間無く利用できる冷凍食品を食べる機会が増えました。しかも、買って食べてみると美味しい、ということで、冷凍食品の新規ユーザーは過去2年でかなり広がり、そのニューカマーがリピーターとなって定着しています。

家で気楽に、美味しい冷凍食品を食べる。冷凍食品をおつまみに、ゆっくりお酒を飲むことにも慣れた方々が増え、記念日などのハレの日は、外食に代えて、ちょっと高額でも美味しい冷食の料理を食べたいという新たなニーズが生まれたようです。

そこに、シェフレシピの冷凍食品や、老舗店、人気店の冷凍食品が、ぴったりとマッチしました。


老若男女誰もが冷凍食品のユーザーに


実は、コロナ禍前にも、スーパーの売場ばかりではなく、ドラッグストアでの冷凍食品販売が増えていました。2017年頃からはコンビニ各社が冷凍食品のPB開発に熱心になり、売場も新設していきました。

かつては、主に主婦層が家族のために買うことが多かった冷凍食品でしたが、スーパー以外にも冷凍食品の取り扱いが広がることで、若い男性もシニアの方々も自分が食べたい冷凍食品を自ら買い求めるように。2015年に男性が好むガツンとした味わいの炒飯がヒットしたことも、冷凍食品ユーザーの幅を広げることにつながりました。

コストコや業務スーパーの売場もよく話題に上ります。新規性のある冷凍食品やお買い得の大容量品を発見することは、レジャーのようなわくわく感を提供しているかもしれません。しかも手軽な調理で楽しめる。楽しいこと、おいしいことは、一度経験するとクセになりますよね。


松屋銀座の功績は、銀座の街を盛り上げる品揃え


さて、話を松屋銀座のギンザフローズングルメに戻しましょう。

オープン10日目くらいに売場に行ったところ、たくさんの人だかりで大盛況。ご夫婦でみえて、あれが良いかこれにしようかと相談しながら、2,000円、3,000円の冷凍食品を吟味して買い求める姿に、新しい時代の到来を感じました。

主に関心を集めているのは、松屋オリジナルの銀座の老舗の味『銀ぶらグルメ』ブランド、銀座の老舗中華『銀座アスター』、シンガポールリパブリックの「チリクラブ」、「ババガンプ シュリンプ」「BBQベイビーバックリブ」などディナーレストランの味わいそのままの『On The Dish』ブランド(WDI)です。

また、通販でしか買えなかった『Z’s MENU(ジーズメニュー)』(SL Creations),『Brejew(ブレジュ)』(田部)ブランドのプレミアムフローズンも、気になる1品から送料なしで買い求めることができます。



『銀ぶらグルメ』ブランド


銀座の老舗・名店4店舗と松屋が立ち上げたオリジナルブランドです。銀座日東コーナー1948(1948年創業)、銀座 吉澤(1924年創業)、ピエスモンテ(1987年創業)、銀座 みかわや(1887年創業)、4店の若旦那たちが、「銀座を盛り上げよう!」と力を合わせて取り組んでいる冷凍食品です。

日東コーナーの名物「ロールキャベツ」、みかわやの「舌平目かに肉包揚げ」などは、日東コーナーの店舗内一角に設置された急速凍結機を置いたミニラボで、できたて熱々を凍結している、まさに“製造場所銀座”の冷凍食品です。

吉澤の「松阪牛シルクハンバーグステーキ」はまさに、素材を活かした絶品。ピエスモンテ「チーズケーキ」にいたっては、誰もがとろけてしまう、至福の味わいです。



何も加えることなく、凍結というパワーだけで老舗・名店の味わいをそのまま、時間を止め、マイナス18℃以下の温度帯のパワーで保存・販売できて、ご家庭に届く。冷凍食品とは、なんと素晴らしいシステムなんだと実感できる銀座ブランドです。


『Z’s MENU』グラタン好きのためのシーフードグラタン


売場の中で最大24アイテムを揃えている『Z’s MENU』ブランドの中でも、私のお気に入りをご紹介。

大きな海老とホタテ、見ただけで満足できるグラタンです。アサリのソテーに牛乳と生クリーム、ホタテの煮汁を合わせて仕上げることで、魚介のうまみがぎゅっと詰まった特製ベシャメルソースは絶品です。乳製品はすべて北海道産で、濃厚。きれいな色合いは冷凍ならではですね。



『Brejew』奥出雲和牛のプレミアムローストビーフ モモ


特別な日にぜひ奮発してください。生産量が少ないながら神戸牛を上回る味わいと評判の奥出雲和牛。現地に行かなければ味わうことができなかった牛肉。その希少な原料を使用して、フレンチ三ツ星シェフ、ダニエル・マルタン氏のレシピを忠実に再現して作り上げたローストビーフです。ブレジュのフラッグシップ商品です。



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『Bubbys(バビーズ)』マイルハイアップルパイ


デザートも1品ご紹介しておきましょう。ニューヨークのおしゃれスポット、トライベッカの人気店『Bubbys』は、おばあちゃんの手作りのような素朴な味わいのアップルパイが看板商品です。

大きいホールサイズも良いですが、1人で楽しむことができるサイズもあり、お手頃です。こんもり盛り上がった、ホロッ、サクッとしたパイの中に、ゴロゴロと入ったリンゴは、みずみずしい食感を保っています。



以上はほんの一例。ぜひ、売場で見て、感性で選んでみてください。そして、コールド・チェーンの最後を締めくくり、お皿の上に美味しさを再現するのは皆様自身。最高のクライマックスを楽しんでくださいね。


前列左から、PIZZA LABO中田氏、Z’s MENU(SL Creations)秋山氏、ブレジュ(Brejew:田部)マルタンシェフ、銀座日東コーナー1948竹田氏、銀座ピエスモンテ下村氏、パティスリィ アサコ イワヤナギ岩柳氏、後列左から、松屋銀座の冷凍食品担当課長今井氏、On The Dish(WDI)福島シェフ、シンガポールシーフードリパブリック(M・R・S)杉山シェフ、銀座アスター岸井料理長、銀座みかわや渡仲氏、銀座吉澤 吉澤氏、亀戸升本星野料理長