#KTちゃん
第17回高校生RAP選手権出場で話題になり、その後MCバトルでは常に爪痕を残し続けてきた#KTちゃん。『Yahoo!検索大賞2023』の「ネクストブレイクカテゴリー」人物部門を受賞し、2024年6月にMCバトル卒業を発表。

そんな彼女がアーティスト活動に注力していく決意を込めた初EP「Oneder」に続き、Artist Photobookを発売!

タイ・バンコクの地で見せたアーティストとしての顔と、プライベートさながらに異国の地を楽しむオフの顔の二面性を写し出した自身初のスチール作品。

そんな今作の見どころや撮影の思い出、また合わせて#KTちゃんの人となりやこれからの展望を存分に語ってもらいました!

──まずは、ラッパーとして活動するようになった経緯から教えてください。

#KTちゃん もともとポップスを聴くことは子どもの頃から好きだったんですけど、曲の中にあるラップパートに惹かれるようになったんです。当時はそれがラップだという認識もなかったんですけど、リズムの感じとか韻を踏んでいるのが心地いいなと思って。

それから高校生になって、こっそりリリックを書き溜めるようになりました。その頃になって、やっと私が好きなのはラップというものなんだと認識して、自分でもやってみたいと思うようになりました。

──その後高校生3年生のときにフリースタイルのMCバトルに参加し始めて、今に至るんですね。

#KTちゃん そうです。初めてMCバトルに出場したのは高校3年生の7月、「高校生RAP選手権」でした。高校3年間がコロナ禍の真っ只中で、イベントや行事が片っ端からなくなっていたんです。それで、このままだと高校時代の思い出が何もないまま卒業を迎えちゃうと思って、ノリで出場しました(笑)。そこから今まで走り続けている感じですね。

──#KTちゃんのラップは、ほかのラッパーにはない存在感を放っています。

#KTちゃん 自分が自分らしく走り続けていられるのは、周りに合わせないで自分が好きなことをリアルに表現しているからなのかなと思っています。フリースタイルのMCバトルは、そもそも相手の悪口を言ってディスり合いをするものじゃないですか。でも、私は悪口を言い合いラップをしたくない。私はファンタジーな世界とか、幻想的でドリーミーな空間が好きなので、そういう世界を言葉にしてラップしたい。

「それはヒップホップじゃない!」って言われることもあるけど、私のリアルはそういう世界だし、自分の生き方、自分のリアルを貫いているという意味では、ヒップホップの本質にちゃんとつながっていると私は思っています。

──そんな#KTちゃんのArtist Photobookが完成しました。

#KTちゃん タイで撮影したんですけど、人生初海外でした。Artist Photobookの制作が決まったときは、本当に信じられない気持ちだったんですよ。音楽の世界で自分が主人公になることはあったけど、こういう形で自分が主人公になる瞬間が訪れるとは思っていなかったので。

──完成したものを見て、どんな自分が写っていると感じていますか?

#KTちゃん ありのまま、純度100%の素の私が写っていると感じました。例えば、アーティスト写真を撮るときはその世界観を表現するために、決め決めの表情やポーズで撮影します。でも、今回のフォトブックでは初めてのタイを無邪気に楽しんで、カメラを意識せずにその場にいる私をふっと写真に収めてもらっている。そんな感覚です。

それは今までの撮影で持っていたマインドとは違うマインドで、新しい出会いでした。タイの異世界感も良かったんだと思います。日本にいるときの現実とはかけ離れたこの異世界だったら、何も考えずに自由に動いていいんだって、心が開放されていたんじゃないかなって。

──どのカットも印象深いとは思うんですが、その中でも特にお気に入りなのは?

#KTちゃん どれも本当に素敵で大好きなんですけど、挙げるとしたら朱色のワンピースを着ているカットです。初めてのタイなのに街に馴染んでいる少女感があって、今までの私の写真では写したことのない表情があるなと思います。ありのままで等身大だけど、儚さやエモさもあって、自分で自分を愛おしいなって思えた写真です。

──初めての海外で、初めてのタイ。どんな思い出ができましたか?

#KTちゃん おいしいものをいっぱい食べたんですけど、エビ好きの私としてはエビが入っている料理が多いのがうれしかったです。マンゴーと餅米を合わせたスイーツもおいしかったです。ちょっと困ったのは、飲みものが全部甘いこと。なので、タイではコンビニで売っている「お〜いお茶」ばっかり飲んでました(笑)。言葉は通じないけど、街の人とは笑顔でコミュニケーションを取れている感覚、心でつながり合う感覚もありましたね。

──今回のArtist Photobookは、今後の表現活動にもいい影響をもたらしそうですか?

#KTちゃん そうですね。ありのままの自分で、かっこいいだったりセクシーだったり、かわいいだったり、いろんな面を出し切った作品だと思っています。この作品をみんなが見てくれることによって、いろんな表情の自分を心おきなくさらけ出して、思い切り表現してもいいって背中を押してくれる、そんな覚悟ができるきっかけになりました。

──そんな中、6月にMCバトルから卒業することを発表しています。

#KTちゃん MCバトル卒業の理由は、音楽制作を中心としたアーティスト活動に専念したいからです。私のことをMCバトルで知ってくださった方は本当にたくさんいるので、MCバトルにはすごく感謝しているし、MCバトルがあったから今の私がある。でも、これからは自分の世界をぎゅーっと凝縮して音楽にすることに、もっと時間をかけたいんです。

フリースタイルのMCバトルは、瞬間で生まれる言葉の紡ぎ合わせ。楽曲制作とは、また表現のアプローチが違います。フリースタイルと楽曲制作を両方やっていると、私はどうしても50%ずつのエネルギーになってしまう。だから、MCバトルを卒業しようと決めたんです。卒業後は自分の世界を時間をかけて作るアーティスト活動に専念して、もっと幻想的でドリーミーな"#KTちゃんワールド"を追求していくという、決意表明でもあります。

──アーティストとしての今後の目標を教えてください。

#KTちゃん まずは、秋に予定しているワンマンライブを成功させたいです。そして、いつか両国国技館でワンマンライブを開催する。それが、今の私の目標です。

──日本武道館でのライブが目標のアーティストやアイドルは多いですが、両国国技館が目標なのは?

#KTちゃん 以前、MCバトルで両国国技館に立ったことがあるんですけど、その自分を超える、過去を超えていくという意味で、いつか1人で両国国技館に立ちたいんです。

──目標に掲げる両国国技館に向けて、これからはどんな存在になっていきたいですか?

#KTちゃん 私の幻想的でドリーミーな世界観に引き込んで、のめり込んでもらうことによって、日常の現実を彩るきっかけになる存在になりたいです。私の音楽でプラスのエネルギー、心地いいエネルギーを受け取ってもらって、「幸せだな」とか「今、生きてていいかもしれない」って感じてもらえるような存在にもなりたいですね。

(スタイリング/谷川夢佳 ヘア&メイク/岩井ゆうか)


●#KTちゃん
2004年10月6日生まれ 神奈川県出身
○2022年に開催された「第17回高校生RAP選手権」出場で話題になり、その後MCバトルでは常に爪痕を残し続ける。『Yahoo!検索大賞2023』の「ネクストブレイクカテゴリー」人物部門を受賞。2024年4月に1st EP『Oneder』をリリース。2024年6月にMCバトル卒業を発表。公式X&Instagram【@kt_disritakunai】

【デジタル限定】#KTちゃんArtist Photobook『Oneder -Side B-』
【デジタル限定】#KTちゃんArtist Photobook『Oneder -Side B-』

取材・文/大久保和則 撮影/横山マサト