芸人コンビ「マシンガンズ」として活動するかたわら、日々「ゴミ清掃員」としても働く滝沢秀一が、ゴミの捨て方を指南する連載「ベンキマンの捨て方」。ただし、ここで扱うゴミたちは、架空のものばかり。あの漫画で出てきたあの道具や、映画で見たあんな機械など......。実在しない架空のゴミを、現実世界ではどう捨てればいいのか? 前代未聞の"ファンタジーゴミ連載"!

【捨てるもの第13回】豆の木(ジャックと豆の木)
イギリスに伝わる童話に登場する巨大な木。物語の主人公・ジャックは老婆と出会い、飼っていた牛と「魔法の豆」を交換してしまう。それに怒ったジャックの母はその豆を庭に捨てるが、翌日にその豆は巨大な木に成長していた。ジャックがその巨木に登り天空にある巨人の城にたどり着き、巨人の持つ金貨を奪って帰ろうとするのだが......。


この物語の最後は、この木を切り倒すことで終わります。なので今回は、木を切って燃えるゴミとして処分するだけ、ということになります。でも、「進撃の巨人」の回でも言いましたが、「そのゴミは、そもそも燃やす必要があるのか?」ということについて考えておきたいと思います。

ゴミを燃やすには、ものすごいエネルギーを必要としますし、CO2も排出します。燃やした後の灰は最終処分場に埋めることになり、天まで届くような巨木を燃やした後の灰の量だったら、処分場の寿命を圧迫することでしょう。

北海道など、日本の一部の自治体では月に一回程度「落ち葉の日」みたいなものがもうけられているところがあります。落ち葉を捨てずに集め、それをたい肥に変えたりするそうです。そうすれば、いらない落ち葉でも無駄に燃やさなくても済むわけです。

ある自治体の方に聞いたところ、焼却炉の年間メンテナンス料は4億円程度かかるそうです。通常の焼却炉よりもゴミの処理能力が高い「溶融炉」という、1,300〜1,700度でゴミを燃やせる焼却炉がありますが、これは燃やすというよりも、何でもかんでも「溶かす」ようなものらしいです。

アルミだろうがなんであろうが一緒くたに溶かす。そして溶かされたゴミは「スラグ」という小さな石のような固まりになります。これはアスファルトの舗装材として、再利用することができます。

しかし「溶かしてしまうから何でも捨てて大丈夫!」となると、出されるゴミの量は増えてしまうそうです。人の意識の問題として「うちの自治体にはすげえ焼却炉があるから、じゃんじゃん捨てちゃえ!」という感じなのでしょうか。

ゴミが増えることはよくありませんし、この「溶融炉」は燃料費や維持費が通常の焼却炉に比べても莫大にかかるそうです。なので、限られた一部の自治体でしか導入することはできません。石油などの燃料が高騰している昨今では、なおさら維持が難しいようです。

どのようにゴミが処分されるとしても、以前も書きましたが、結局は「最終処分場の問題」があるんですよね。日本全国でいえば20年前後ぐらいで最終処分場はいっぱいになり、ゴミが捨てられなくなるという危機的な状態に陥るのです。

「燃やせば消えてなくなる」と思っている人が多いのかもしれませんが、燃やした後には灰が残り、それを最終処分場に捨てなければならない、ということをみんなには知っておいてもらいたいです。

ですので、ゴミを出さないための再利用やリサイクルへの意識を高める、そういう考え方が重要になるんです。

話を「ジャックと豆の木」に戻しますと、この物語における最初の弊害は「もらった豆を庭に捨てた」ということですよ。外国って、ゴミを燃やさずにただ集めたり埋める地域が多いです。アメリカのある自治体では、燃えるゴミだろうがペットボトルだろうが何でもかんでも埋め立てちゃう。そのまま埋めてしまった方が分別するよりお金がかからないから、という理由だそうです。

そうすると、ゴミからはガスが出てきます。メタンガスなんて二酸化炭素の何十倍もの温室効果ガスになると言われていますので、燃やさずやみくもに埋めちゃうというのもそれはそれでよくない。燃やすのも埋めるのも、一長一短あるので使い分けが必要だと思います。

災害時などには、濡れた畳や食べ物などから優先的に回収します。放っておくと虫が湧いたり腐ったりと、衛生的によくないからです。こういったものは燃やしてしまった方がいいのかなと思います。

ただの雑草なんかは、放置しておいても土に還ったりしますから、「コンポスト」の発想でバクテリアに分解してもらうのがいいのかもしれません。

しかし、この豆の木に関しては「魔法の豆」から育った木ですから、放っておけばどうなるかわかったもんじゃありませんよね。そうなると、やっぱり燃やしたほうがいいかもしれません。

一般的にも、夏になると剪定された木や雑草なんかが、燃えるゴミとして大量に出されることがあります。あれ、本当は一回乾かしてから出してほしいんですよね。新鮮なままだと水分を多く含んでいるから、ゴミ回収車がパンパンになっちゃって大変だったりするんです。

一般家庭の生ゴミでも、腐るものじゃなければ2〜3日庭の隅っこにでも置いて乾かしてから捨ててもらえれば、ゴミの量も減るので我々としてはとても楽になります。

今回は、「燃やしたら終わりじゃない」ということを知っておいてもらいたいと思います。

それこそコンポストみたいなことが進んでくればゴミは減っていき、減った分だけ廃棄する灰が少なくて済むから、最終処分場の寿命が延びるんです。だから、「無駄なものはなるべく燃やさない」という方向は大事です。

もしこの豆の木を燃やさないのなら、日本人は豆をたべるノウハウがすごく発達していますから、きっちり育てて食糧危機対策に使う、なんてのもいいんじゃないでしょうか?

滝沢秀一(たきざわ・しゅういち)
1976年9月14日生まれ、東京都出身。
お笑いコンビ「マシンガンズ」として活動するかたわら、ゴミ清掃員としての仕事もこなす。
著作はゴミ清掃員の体験を書いたエッセイ『このゴミは収集できません』ほか多数

※ごみの捨て方のルールは自治体によって異なります。お住まいの地域のルールをご確認ください。

イラスト/北村ヂン