ネコ用おもちゃとしてみかけるスティックタイプのレーザーポインターはネコにストレスがかかる?

 ネコのおもちゃにはキャットニップや猫じゃらしなど色々な種類があり、ネコにとってもそれぞれ好みがあります。最近では赤い光を追いかけることができるレーザーポインターのおもちゃも販売されており、使ったことがある飼い主さんもいるでしょう。

 そこで今回は、レーザーポインターで遊ぶことが、ネコにどのような影響を与えるのかを調査した論文“Laser Light Pointers for Use in Companion Cat Play: Association with Guardian-Reported Abnormal Repetitive Behaviors”を紹介します。

ネコにストレスがかかるおもちゃとは?

 ネコにとって遊びは運動だけでなくストレス解消などの効果があると考えられています。なかでもレーザーの光を追いかける遊びは、狩猟本能を刺激されるせいか、ネコが夢中になりやすいと言われています。

 スティックの先から出るレーザーを床や壁を照らしたり、点滅させたりすることで、まるで本物の生きている獲物のような演出をすることができ、ネコにとってはよい運動になりますし、飼い主にとっても楽に動かすことができる便利なおもちゃのひとつです。

 しかし、光を追いかけるだけで獲物を捕まえられず、狩猟としてのゴールや満足感を得ることができないでいると、ストレスを抱えてしまう可能性があります。そこで、コロラド州立大学の研究チームは飼い主へのアンケートを行い、レーザーポインターのおもちゃがネコに与える影響を調査しました。

 調査には、6カ月以上ネコと暮らしたことのある618人の飼い主さんが参加しました。アンケートではネコの性別や飼育状況のほか、ペットに対する態度や関係を調べる質問、問題行動にみられるような項目を用意した質問、レーザーポインターの使用頻度や使用方法に関する質問などを用意しました。

レーザーポインターで遊んだ後にはおやつを

レーザーポインターで遊ぶ頻度が多いと強迫行動が多くなる傾向がみられた(イラスト:長崎訓子)

 調査の結果、約半数となる45.5%の人がネコと遊ぶためにレーザーポインターのおもちゃを使ったことがあることがわかりました。また、回答者の半数以上(52.1%)が「遊びの最後に何かをキャッチできなかった場合、レーザーポインターはネコをイライラさせる可能性がある」というレーザーポインターのネガティブな面を理解していました。しかし、この影響に対処していると答えた人は、わずか35.6%でした。

 レーザーポインターのおもちゃを使ったことがある飼い主の多くは、月1回程度と頻度が低いものの、使用頻度が高い飼い主のネコは異常な反復行動(abnormal repetitive behaviors)の一部がよくみられるということもわかりました。

 特に、レーザーポインターに直接関連する行動「光や影を追いかける」「特定のおもちゃに固執する」「光や反射を執拗(しつよう)に見つめる」という回答が多くみられたようです。なお「過度なグルーミング」に関しては関連がみられませんでした。

 レーザーポインターによる狩猟を模した遊びは、ネコにとっては楽しいものでしょう。しかし最終的な捕獲ができないことでストレスがたまり、異常行動につながる可能性があることがわかりました。できるだけ、レーザーポインターの遊びの最後にはおやつをあげるなど、捕食の満足度を高めるようにしてあげるとよいでしょう。

こたつでくつろぐ愛猫スカイ。歳をとったせいかレーザーポインターでもあまり遊びません

今回ご紹介した論文

Laser Light Pointers for Use in Companion Cat Play: Association with Guardian-Reported Abnormal Repetitive Behaviors

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