川崎フロンターレ編/Jリーグの社会貢献活動には特別な理由がある【特別企画】

川崎フロンターレ編/Jリーグの社会貢献活動には特別な理由がある【特別企画】

【ニュース提供=韓国『sportalkorea』】Jリーグ各クラブは、社会貢献活動を観衆増加のための手段として考えていない。

もちろん、1人でも多くのファンにスタジアムに来てもらうべく社会貢献活動をしているが、それだけが目的ではない。究極的には社会貢献活動を通じて地域と一体となって、クラブが地域住民が生活する上で欠かせない一部分になることに重点を置いている。

地域イベントに選手を貸します

東京の近くにある川崎を本拠地とする川崎フロンターレは、真心を尽くした社会貢献活動で、ファンたちがスタジアムに訪れるようにしている。

今年でクラブ創立21周年を迎えた川崎フロンターレは、昨年J1優勝を果たすほどの強豪だが、競技場の外でも活発に動くクラブでもある。

川崎フロンターレは持続的な地域内活動を通じて、ファンからの愛を引き出すことに成功した。それは、2010年から2016年まで7年連続で地域に大きな貢献をするJリーグクラブ1位に選ばれたことからもわかる。

しかし、クラブ創設初期にはホームファンの関心はそれほど高くはなかったという。

「それで、川崎フロンターレのホームゲームは面白く、アットホームな感じのスタジアムの雰囲気を作ろう。1週間に1回行くスタジアムで、お祭りのような雰囲気を味わえるような場所にしよう、と」と、井川宜之氏は振り返る。

井川は、川崎フロンターレの営業部部長代理兼集客プロモーショングループのグループ長を務める人物だ。彼はクラブが社会貢献活動をする背景を笑顔で次のように説明した。

「1年365日がある中で、ホーム試合は20日ほどだ。つまり、スタジアムに来ない方たちに会わなければならない」

川崎フロンターレは地域住民たちがスタジアムに気軽に足を運びたくなるように、まずは選手たちが直接、地域住民のもとを訪ねる方法を選んだのだ。

例えば川崎フロンターレは毎年、選手とファンが集まって河川を清掃している。新しい年を迎えると、選手たちがグループを作って地域の商店街などに新年のあいさつをする。また、フェスティバルなど地域内に行事があれば、選手たちが一緒にする。

井川グループ長は言った。

「選手とファンが交流する席を作らなければならない。社会貢献活動を活発にしてこそ、人々はクラブを愛し、川崎という地域も愛することになる。ワールドカップのとき、韓国人なら誰もが理由もなく韓国代表を応援するように、川崎市民なら誰もが川崎フロンターレを応援する。そうすることが、私たちの目的だ」

川崎フロンターレがこの点を強調するのは、スポーツと関連した川崎地域の不幸な記憶も無関係ではないという。

1970年代、川崎を本拠にしたプロ野球のロッテ・オリオンズ(現千葉ロッテ)は、90年代になると千葉に本拠地を移した。1993年Jリーグ発足当時、川崎にはヴェルディ川崎(現東京ヴェルディ)があった。しかし、ヴェルディ川崎は東京にホームタウンを移転した。

以後、川崎フロンターレがこの地をホームタウンにしたが、川崎市民の中には「いつかまたホームタウンを移すのではないか」という不便な視線でクラブを眺める者もいた。

だからこそ、川崎フロンターレは川崎市民の信頼を得るために絶えず努力を傾けた。

井川グループ長は「今は毎試合チケットが売り切れているが、創設当初は観客数が3000人ほどにしかならないときもあった。そのため、成功や失敗を繰り返しながら、さまざまな社会貢献活動を行ってきた」と語る。1回かぎりではなく、地道な活動を続けたおかげで、地域の雰囲気も変わったという。

また、選手らの積極的な参加も大きかった。井川グループ長も「運が良かった」と話すほどだった。

「(社会貢献活動の重要性を)選手たちが理解し支えようと努力してくれた。また、サポーターやファンたちも、川崎フロンターレというクラブが地域の自慢になってほしいという気持ちから、さまざまな手助けをしてくれた。その心を読み取ったスポンサーや行政など、各界各層でも協力を惜しまなかった。私たちも努力したが、周囲の方々の努力があって可能だった」と、感謝の意を表した。

川崎フロンターレは1年に5〜6回ほど、選手全員参加で地域の各種イベントに参加する。また、選手たちが3〜4人ずつのグループとなって参加する地域行事が20回程度。すなわち、1年に26回前後の社会貢献活動をするわけだ。2週間に1度は地域市民やファンたちと会う機会があるということだ。

川崎フロンターレのこのような選手参加は、Jリーグの他クラブのロールモデルにもなっているという。

「多くのクラブがどんなやり方で選手たちの参加を促しているか尋ねられる」と井川グループ長。「川崎フロンターレは強化部長や中村憲剛などベテランの積極的な参加が、選手たちの多くの参加につながった」という。

川崎フロンターレは、“プロ選手なら結果を出すだけでなく、ファンサービスもしっかりしなければならない”というモットーで選手団を運営している。

また、人気がなかった創立初期を知っているクラブ職員らが長く勤務しているため、これまでの試行錯誤もどんな方法が効果的だったかも把握している。

しかも、中村憲剛のようにクラブを代表する選手が率先して社会貢献活動に参加するので、他の選手たちも当然のように参加するようになる。

そのため、川崎フロンターレでは地域行事があるなら、選手たちがかならず参加するようになり、地域市民やファンたちも自然に、“我が町のサッカークラブ”という認識を持つようになったという。彼らは試合が行われる日、川崎フロンターレを応援しにスタジアムを訪れる。 川崎フロンターレは社会貢献活動を通じてこのような好循環構造を作ったわけだ。

もっとも重要なことは、予算が一銭もかからないということだ。井川グループ長は語る。

「お金は一銭もかからない。我々は予算が小さなクラブなので、当初からお金を使わない方法を考えた。選手らが地域の病院や商店街を訪れ、河川を清掃するようになったのも代表的な例だ。

スポンサーがクラブ活動とは別の行事やイベントを行ない、そこに我々の選手を呼ぶ場合は招待費用を受け取ることもあります。しかし、地域行事は我々のほうから直接出向きたいと申し出るし、当然、無料で行うべき」

川崎フロンターレは選手契約書にも“クラブが参加する地域行事には無償で参加すること”というニュアンスの文言が明示されているという。そんな川崎フロンターレの社会貢献活動を説明しなから、井川グループ長が発した次の言葉が印象的だった。

「社会貢献活動においてもっとも必要なのはお金ではなく、意志と心構えだ」

社会貢献活動をする上でもっとも大切な基本であり、もっとも重要な点だった。

※この記事は『韓国言論財団』の取材支援を受けて取材が行われた企画です。

(文=『sportalKorea』キム・ソンジン/構成=ピッチコミュニケ―ションズ)


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