代表除名FC東京チャン・ヒョンスは氷山の一角だった!! 揺れ動く韓国・国家代表の綱紀

代表除名FC東京チャン・ヒョンスは氷山の一角だった!! 揺れ動く韓国・国家代表の綱紀

1カ月以上前のことであるが、FC東京でプレーする張賢秀(チャン・ヒョンス)が、韓国代表を永久追放になったというニュースは、衝撃的であった。

張は4年前の仁川(インチョン)アジア大会での韓国代表の優勝で、兵役免除の資格を得た。韓国ではオリンピックのメダリストとアジア大会の優勝者は、兵役免除の資格を得るが、これには、いくつか条件がある。

4週間の基礎的な軍事訓練を受け、スポーツ分野で34カ月活動しつつ、544時間のボランティア活動(主にスポーツ指導)をしなければならない。

問題になったのはボランティア活動だった。張は母校のサッカー部を指導したと、写真を添付した記録を、ボランティア活動を管理・監督する国民体育振興公団に提出したが、ボランティア活動をしたという日は豪雪で、グラウンドで練習できる状況ではなかった。

ボランティア活動のごまかしがばれたわけであるが、こうした虚偽記載をしている人は、他にもいると思われていた。

そして11月19日には、リオ五輪の柔道銀メダリストである安バウルも虚偽記載が発覚し、ナショナルトレーニングセンターである鎮川(チンチョン)選手村から追放され、出場を予定していたグランドスラム大阪のメンバーから除外された。

さらに北京五輪のバドミントン・混合ダブルスで優勝したときにしたウィンクでたちまち人気者になった李龍大(イ・ヨンデ)は、34カ月のスポーツ活動も、544時間のボランティア活動も終え、韓国代表も引退しているが、ボランティア活動の記録に水増し疑惑が生じている。

本人は故意であることを否定し、念のため追加で25時間のボランティア活動をしたとしている。しかし、疑いが晴れたわけではない。

他にも疑惑の事例は多い。

スポーツ行政の所轄官庁である文化体育観光部では今月末まで、ボランティア活動に関して提出された書類を調査しており、さらなる不正が発覚すると予想されている。というよりも、かなりの割合で不正が横行しているようで、いち早く発覚し厳罰に処せられた張賢秀は、運が悪かったという見方もできる。 

想像するに、こうした不正は今に始まったことではないだろう。

ボランティア活動をしたとして提出する書類も、体裁さえ整っていれば、大してチェックをされなかったようだ。まさか、証拠写真として添付した写真の日の天気まで、整合性が求められるとは、思っていなかったに違いない。

他にも、韓国メディアの報道によれば、ある選手が、別の場所でボランティア活動をしたとして添付された2枚の写真が、どう見ても同じ写真であるといったケースがあるなど、意図的に不正をするにしては、不正があまりに稚拙である。

以前も書いたが韓国では今、スポーツ選手の兵役免除に対して、厳しい目が向けられている。したがって、今までは適当にやっていれば良かったことも、許されなくなっている。

選手村の「禁酒」を誰も守らない

この問題に限らず、韓国では代表の綱紀の緩みが問題になっている。

女子バレーボールの男性コーチが鎮川選手村で、飲酒後、女性トレーナーにセクハラしたことは、前にも書いたが、そもそも鎮川選手村では禁酒になっている。

ところが、鎮川選手村のゴミ捨て場には、酒類の瓶や缶が、大きな袋に溢れんばかりに捨てられていることが、KBSのニュースで報じられている。

禁酒の決まりだけあり、誰も守る気持ちはないということだろう。

かつての代表選手は、練習の後、一気飲みで潰し合いをしたことが、武勇伝として語られ、大会前で緊張している選手を、監督やコーチが部屋に呼んで、隠していた酒を注いで、励ましたといった話などが、美談として語られることもある。

しかし今は、スポーツ選手の規律に対する世間の目が厳しくなっており、以前は大丈夫であったことも、許されなくなっている。社会の意識の変化に、気付いていない指導者がいるのは、日本も韓国も変わりはない。

国家代表の誇りも低下

その一方で韓国では、スポーツ選手の側も、目的意識を失いつつあるのではないか。

つい最近までは、スポーツの好成績は国威発揚として称賛された。為政者は、選手たちを鼓舞するためニンジン作戦を行い、結果を出した選手には、年金や一時金の他に、兵役免除などの恩恵も与えた。

けれども、韓国社会の変化とともに、スポーツの好成績が、必ずしも国威発揚とは受け取られなくなった。その一方で、国民、特に若者は、兵役免除などの恩恵や特別待遇には敏感になっている。

さらに文在寅政権は、北朝鮮との関係が最優先であり、スポーツもそのための手段という色彩が濃くなった。スポーツが、南北の交流に役立つことは良いことだが、スポーツをどう発展させるかということには、関心が薄いようにみえる。

こうした中、選手の代表になることへの誇りも低下しているように感じる。今回問題になっている、兵役免除者のボランティア活動の記録の不正や、鎮川選手村での飲酒などは、元からある問題なのかもしれない。けれども、代表に対する誇りの低下は、今後さらなる規律の乱れを生むように思う。

(文=大島 裕史)

初出:ほぼ週刊 大島裕史のスポーツ&コリアウォチング


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