高円宮杯JFA U−18プリンスリーグ関東1部は5月6日、各地で第5節の3試合が行なわれ、浦和レッズユースはヴァンフォーレ甲府U−18と0−0で引き分け、開幕から5試合無敗で勝点を13に伸ばして首位を守った。

 気温31度。強風とともに強い日差しが照りつけるなか、午後1時半にキックオフ。浦和は立ち上がりから甲府に押し込まれる展開が続き、マイボールにしてもつなぎのパスでミスが目立ったほか、横パスと後方へのパスが多くて肝心の鋭いくさびを打ち込む回数が極端に少なかった。

 昨季からの経験者、右SB瀬山航生(3年)の良質の右クロスをFW会田光希(2年)がヘッドで合わせたシュートが唯一の決定機で、前半は昨季のプリンスリーグ関東2部を制し、1部に昇格したばかりの甲府に主導権を握られた。

 萩村滋則新監督は、「この暑さなので前半は0−0でもいいかな、という思いが選手にはあったのかもしれない。それにしてもイラっとするほど走れなかったですね」と苦笑いを浮かべた。

 46歳の同監督は東京ヴェルディの育成年代を長らく指導し、2019年から浦和ユースのコーチとなり今季から指揮を執っている。

 後半に入っても大勢は変わらず、浦和のビッグチャンスは1度きり。11分、前節までに5得点している1トップの清水星竜(3年)が敵ボールを奪ってトップ下の河原木響(3年)にパス。豪快な一撃を放ったものの、GKの正面を突いてしまい得点できなかった。

 その一方で、甲府に打たれた7本のシュートのうち決定打が4度あったが、前節までの4試合で3試合を無失点に封じてきた守備陣が踏ん張った。CB植竹優太(3年)が、前半6分の強シュートに素早く身体を預けてブロックすれば、GK吉澤匠真(2年)は後半31分の絶体絶命の一撃を横っ跳びで防御した。
 
 今季から育成年代を統括する内舘秀樹アカデミーダイレクターは、ここまで好調な要因について「青柳と植竹のセンターバックを中心に守備が安定しているのが大きいですね。みんな生き生きとやれています」と説明した。

 試合は0−0で終了し開幕からの連勝は4で止まったが、無失点試合も4に伸ばした。

 萩村監督は「しっくりいかない勝点1ではありますが、これで次節の帝京高戦に向けて引き締まると思う。暑さなど(の条件)によって、うまく試合を運べないのが高校生。今日の試合を経験した選手が何を感じ、何を変えられるかが重要なんです。戦況や局面に柔軟に対応できるチームづくりをしていきたい」と述べた。
 浦和は主力となる関谷輝と阿部水帆(ともに3年)の両MFが、開幕前にそろってひざのじん帯を断裂し長期離脱中。4月19日のルヴァンカップ1次リーグ第4節の湘南ベルマーレ戦で17歳4か月14日という、Jリーグの公式戦でクラブ史上最年少得点を決めたMF早川隼平は、トップチームへの帯同で第3節以降は出場していない。

 そんな状況でも首位にいる。主将の青柳仰(3年)は、「チームに一体感があります。試合に出ている出ていないに関係なく、チームが同じ方向を向いている」と解説し、「去年は悪い流れになると必ず失点したが、今年は攻められても耐えて踏ん張れる。ここが大きな違いです」と辛抱強さが備わったことに胸を張る。

 最下位だった21年のプレミアリーグは18試合で38失点。降格した昨季のプリンスリーグは18試合で27失点と、守備に弱点を抱えていたが、今季は見違えるような堅陣に生まれ変わった。

 三菱養和SCとの開幕戦を2−0で制すと、続く鹿島アントラーズユースには5−2で大勝。第3節では東京Vユースに2−0で快勝し、前節は桐生一高を6−0と圧倒した。
 
 今季は萩村新監督の下、昨季までトップチームを補佐した平川忠亮氏がコーチに就任。2年目の阿部勇樹コーチのほか、昨年までジュニアチームを指揮した金生谷仁コーチ、杉尾一憲GKコーチが高校生の指導に当たる。

 13年以来2度目のプリンスリーグに降格した昨季は、7勝2分け9敗で6位と低迷。初優勝した昌平高との勝点差は18あり、2位までに与えられるプレミアリーグ・プレーオフの出場権を獲得できなかった。

 前回13年の降格時は、プレミアリーグ復帰までに4シーズン費やした。内舘アカデミーダイレクターは、「誰が出場しても同じレベルで戦えるかが重要。今は早川が抜けても他の選手がしっかりできているので、これをずっと継続していきたい」と高い水準で戦力を保持することが、復帰へのカギを握るとした。

取材・文●河野 正

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