来季のカンファレンスリーグ出場権をかけたオランダリーグのプレーオフ準決勝で、スパルタとユトレヒトが死闘を演じた。

 1985-86シーズンのUEFAカップ1回戦で、スパルタがPK戦の末、格上のHSV(当時、西ドイツ)を破った試合は今も語り草だ。最近になってもルイ・ファン・ハールは「私の蹴ったPKは素晴らしかった」と自慢げに語り、GKのバス・ファン・ノールトワイクは永遠のヒーローだ。ユトレヒトもまた欧州カップ戦で多くの美しい思い出を積み重ねてきたクラブだ。

 そんな歴史を持つ両チームは6月1日の第1レグからフルパワーでぶつかり合い、激しい消耗戦の末、1勝1敗(2戦合計2−2)のタイに。結局PK戦(5−4)でスパルタが勝ち上がり、トゥエンテとの決勝戦(8日&11日)を戦うことになった。

 第2レグの延長戦を含めて210分間、強度の高い試合をハイパフォーマンスで乗り切ったスパルタの斉藤光毅は「凄かったですね。やっぱりこういう試合はプレーしていて楽しい。PK戦の時なんてハラハラして、本当にヤバかった。蹴らなかったですけれど」と振り返った。
 
 3トップシステムの左ウイングを務める斉藤は、得意のカットインシュート、クロスへの飛び込みなどからユトレヒトゴールを襲うも決めきれなかった。87分からストライカーにポジションを移した斉藤は、「FWに入ってからちょっと『ゾーン』に入りました」という状態で、巧みなポストプレーでユトレヒトのDFを翻弄し、意外性のあるパスでチャンスメイクをした。

 特に秀逸だったのは、ユトレヒトの巨躯CB陣とのデュエルだった。空中戦では背中を上手く使いながらポジショニングで優位に立ち、フィフティ・フィフティの状況を作り出す。地上戦・半空中戦では敵CBの懐に意表を突くタイミングで潜り込み、ボールをしっかり収めてからアクションを起こす。

「この(小柄な)体型であまり知られてないんですけれど、そこは得意なんですよ。(デュエルに)勝てないと分かったら、相手にとって嫌なことをすることに切り替えて(CBとの勝ち負けのつかないデュエルに持ち込み)味方がセカンドボールを拾いやすいようにプレーしてます」

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 3トップの選手はプレスのタスクもあって消耗が激しく、真っ先に代えられるポジションである。しかし、この日の斉藤はウイングとして相手SBをケアしながら、上がり下がりを繰り返してドリブルで仕掛け続け、ストライカーとしては飽くなきデュエルに挑み、無尽蔵のスタミナでタフなゲームを戦い抜いた。

「今日はデータ的にもすごく走っていたらしいんです。あんまり疲れなかったですね」

 このままの勢いでPK戦でもキッカーを任されるのかと思いきや、結局、斉藤は蹴らなかった。

「無理でした。試合中は大丈夫だったんですが、試合が終わってPK戦が始まるまでの間に、いろんなところが攣ってました。PK戦が終わって、みんなで(殊勲のGKのところまで)走ったじゃないですか。あの時、身体中が攣っていて『ヤバい!』と思いました」

 チームとして全身全霊をかけて戦ったユトレヒトとの2試合。敵地でもホームでも、スタジアムの雰囲気は最高潮だった。
 
「ボールをつなぐのがサッカーだけじゃないですか。『サッカーの勝負をしているな』という感じがしました。こういうところで勝てるのが勝負強さだと感じます。実は今日、スパルタは(0−1で)負けているんですけれどね(笑)」

 次の対戦相手、トゥエンテは今季のオランダリーグの中堅勢で抜群のクオリティを誇るチームだ。プレーオフ準決勝ではヘーレンフェーン相手に2−1、4−0と貫禄勝ちした。そんな好チームに対して、今季のスパルタはトゥエンテに1−1、3−3と互角の勝負を演じている。

「(決勝戦は)油断したら一瞬で崩れてしまうような試合になると思います。相手も同じ気持ちでしょう。だからメンタルの勝負になります。こういうプレーオフ4連戦なんて、なかなか経験できないんで、出し切りたいと思います」

 トーナメント特有の明日なき戦いに勝ったスタジアムは歓喜に包まれている。消耗しきっているはずの斉藤も笑みが絶えない。今年に入ってから絶好調の21歳は「強豪相手にゴールを決めたいです」と力を込めた。

取材・文●中田徹

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