リオネル・メッシ復帰に向けてバルセロナが本腰を入れている。「我々は本気だ」――。会長のジョアン・ラポルタはこう側近に漏らしているという。そのクラブの本気度を誰よりも祝福しているのは他でもないシャビ監督だ。

 2021年8月の退団以来、バルサとメッシサイドは長く音信不通の状態が続いていた。しかし2月15日だった。クラブが第三者を通してアプローチをかけると、父親のホルヘ・メッシは扉を閉じることはしなかった。ラポルタが手応えを示す所以でもある。

 ラ・リーガを制覇したとはいえ、カップ戦では今シーズンのバルサは節目でいいところなく敗れている。その中でも、チャンピオンズリーグのグループステージ敗退とヨーロッパリーグのプレーオフ敗退以上に首脳陣にショックを与えたのが、宿敵のレアル・マドリー相手に、アウェーの第1レグで1−0と先勝しながら、第2レグで0−4と大敗したコパ・デル・レイの準決勝敗退だった。

「もうひとつの革命が必要だ」とテクニカルスタッフは息巻く。もうひとつとは大型補強を敢行した昨夏に続く2度目を意味する。そしてその目玉となるのがメッシの復帰だ。

 深刻な財政難に陥っているバルサにとっては困難なオペレーションとなるのは間違いないが、そんな中で拠り所となっているのが、自他ともに認めるメッシとシャビの親密な関係だ。実際、2人は、電話、あるいはワッツアップで頻繁に連絡し合っている。
 
 メッシ復帰のカギを握る人物は、ラ・リーガ会長のハビエル・テバスだ。最大の障壁となっているのは言うまでもなくファイナンシャル・フェアプレーだ。さらにそこにラポルタ会長との不仲が事態を複雑にしている。しかしバルサは、欧州スーパーリーグ構想が下火となっていることが、両者の関係修復のきっかけになることを期待している。

 もちろん、メッシにはバルサ以外の選択肢がある。サウジアラビアのアル・ヒラルから年俸4億ドルという破格の条件を提示されているが、以前から新天地候補として挙がっているMLSのインテル・マイアミ移籍の線もまだ消えてはいない。

「マイケル・ジョーダンのようなラストダンスをバルサで見せてほしい」と、シャビ監督は希望を口にする。カンプ・ノウで「メッシ」コールが連呼されているように、ファンの間では復帰待望論も高まっている。

 今から約2年前、メッシは失望とともにバルサを退団した。今回の雪解けが退団の引き金を引いた張本人、ラポルタ会長へのマイナス感情の払拭に繋がれば、復帰の可能性は高まってくる。

文●ファン・I・イリゴジェン(エル・パイス紙バルセロナ番)
翻訳●下村正幸

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