[WEリーグGS第2節]N相模原 0−4 浦和L/9月2日/相模原ギオンスタジアム

 WEリーグカップのグループステージ第2節、ノジマステラ神奈川相模原は、ホームの相模原ギオンスタジアムで、三菱重工浦和レッズレディースを迎え撃った。前半で0−2、後半も0−2、トータルスコア0−4という結果には、スタッフ、選手とも、もちろん満足していない。

 菅野将晃監督は、個々の選手の力を含めて、浦和Lとの現状の差を認めながらも「選手たちは、今日の試合で勇気を持って戦ってくれた。後半も選手、システムを変えるなかで、流れの良い時間帯もできた」と試合を振り返った。

 N相模原が主導権を握る時間帯を作ったひとりが、今季にAC長野パルセイロ・レディースから加入した、18歳MF榊原琴乃だ。

「前節、自分たちのサッカーができなかったという部分を考えれば、その時よりも、自分たちのサッカーができていたし、自分の良さであるドリブルを出せた部分も少しはあったので、少しは良かった。ただ、失点の部分では、自分たちの甘さ、浦和の上手さが出て、勉強になりました」

 この試合では、64分、南野亜里沙からボールを受けた榊原が、右から中央に横の変化をつけたところから藤原加奈、平野優花とボールが動き、笹井一愛がクロスに頭を合わせるシーンが生まれた。ここからしばらく、N相模原に流れが来た。
 
「ボールを持った時に、自分のドリブルを活かせる場面と、その時のプレーみたいに味方選手とのパスで崩す場面がある。徐々に(その選択が)合ってきているので、ちゃんとゴールを狙えるチャンスがあった」と榊原。約10分後には、右サイドでDFふたりの間を果敢に割って、シュートを放った。

「あの場面は(サイドに)展開してもらって、自分が仕掛けられるスペースを作ってもらえました。相手が2枚、裏も合わせると3枚いたと思うんですけれども『ここは仕掛けるべきだな』と判断して」と榊原。昨季のチャンピオンチームを相手にしても、通じる部分があったという手応えは残った。

 筆者が、榊原のプレーを初めて見たのは、彼女が常葉大橘高の1年時、秋の東海大会だ。その後に全国制覇を成し遂げる藤枝順心高の守備ブロックを、自分の力で切り裂こうと躍動していた。

「あの時は、まだ高校1年だったので、わがままにやっていたんです(笑)。もう少し、わがままにやる部分と、周りを活かす部分を、良い意味で使い分けられる選手になれたらいいのかなと思います。現状は、遠慮とかではないんですけれども、『周囲の選手と(連係、呼吸を)合わせつつ』という部分がメインになっています」

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 N相模原に移籍して初のシーズン。まだカップ戦の序盤ということもあり、連係を熟成させている途中だ。昨季の中心選手が何人か抜けたN相模原にとって、「リーグ戦5位以内」というシーズン目標を達成するうえでは、若い選手の台頭が欠かせない。笹井一愛ら、N相模原のアカデミー出身選手とともに、榊原にもその期待は寄せられる。

「榊原は、途中で2トップの一角に入るような変化もありましたが、ボールを受けてからの突破という部分が魅力の選手。フィニッシュを含めた部分で、もっともっと成長して行ってほしい」とは、菅野監督の榊原評だ。

「まだ自分の中では、挑戦の時期だと思っているので、いろいろとチャレンジしながら、どんどん良い形に持っていければ。『チームが勝ち始めてからが勝負』と思っているので、自分の手で、いや足で(笑)、チームを勝利にもっていけるような選手になりたいです」

 榊原は、中国の杭州で開催される第19回アジア競技大会に臨む日本女子代表の一員に選出され、クラブに明るい話題を提供している。「一番びっくりしているのが自分。錚々たるメンツ、年代の上の方と代表レベルで一緒にやるのは光栄です」と榊原。今夏のなでしこジャパンの戦いを、将来、目ざすべき場所として見ていたという。

「昨季、WEリーグで対戦した選手がワールドカップに出て、得点王になったり、注目されたりして『悔しいな』『私も』という気持ちがあります。素直に現状を受け止めて、頑張りたいと思います」
 
 アジア競技大会の女子サッカーは、9月22日にグループステージの第1戦を戦い、その後、10月6日の決勝戦まで、15日間で7試合を戦う。総力戦となるのは必然で、榊原の出番も回ってきそうだ。

「経験にもなりますし、ちょっとでも試合に出させてもらえたら。自分の持ち味はドリブル。どこまで通用して、どこから通用しないのか。実際にやってみないと分からない、見ているだけでは分からない部分を、練習から思いっきりチャレンジしたい。

 また、短い期間で、他の選手たちとプレーを合わせるというのも、自分の課題と思っているので、いろんなコミュニケーションを取りながら、なるべく早く馴染めるように」

 榊原が、国際舞台でどんな経験を積み、N相模原へどのように還元できるか。また、アジア競技大会で活躍し、西湖に映える一番星となれるか。そこに、注目したい。

取材・文●西森彰(フリーライター)

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