9月17日のオランダ・エールディビジで日本代表の右SB菅原由勢(AZアルクマール)と、U-22日本代表の左ウインガー、斉藤光毅(スパルタ・ロッテルダム)がマッチアップした。

 キックオフから攻勢に出たのは斉藤だ。開始わずか20秒、斉藤がライン際で菅原と身体を入れ替えて前進。斉藤のパスを受けたMFフェルスフーレンがシュートを放って、スパルタがCKを得た。味方の走り込みをダミーに、斉藤がひとりバイタルエリアに残って強烈なシュートを放つ。このシュートはGKライアンの美技に阻まれたが、斉藤を軸に仕掛けたスパルタの奇襲はAZを驚かせた。

「試合の入りはけっこう良かった。CKは準備してました。俺が(CKを)蹴って、ヨナタン(デ・グズマン)がシュートを打つ予定だったんですけれど、試合前日になって入れ替わりました。あれは入ったと思ったんですけれどね」(斉藤)

 15分に斉藤が敵のマークを剥がしてシュートを打つなど、立ち上がりのスパルタは今季無敗のAZに対して互角に戦った。

 しかし、自力で勝るAZは18分、MFデ・ウィットの強烈なシュートで先制すると、その1分後にはCFパブリディスが巧みなターンから左足でシュートを決めて2−0に。その後、スコアーが変わることなくスパルタは完封負けを喫した。

「立て続けに失点してしまい、もったいない形でした。自分もそんなに良くなかった。そこは課題として持ち帰りたいと思います」(斉藤)

 大岩ジャパン、スパルタのシステムはともに4−3−3。五輪1次予選(アジアカップ予選)ではポジションチェンジが少なく、左ウイングのポジションで窮屈そうにプレーしているように思えた斉藤は、AZ戦ではより自由に動き、85分にベンチへ退くまで積極的に4本のシュートを放った。
 
 暑さ、湿気、連戦、さらにアジア予選の重圧といったものから解放され、攻撃サッカーを旗印とするAZがスペースを与えてくれるなか、斉藤に伸び伸びプレーする時間帯が生まれたということなのだろう。
 
 立ち上がり、斉藤に意表を突かれたものの、90分を通して見れば菅原のパフォーマンスは高かった。

 先発のラフド(20歳)、途中出場のポク(19歳)という若手右ウインガーの高速ドリブルを活かすべく、後方からパスを配球して彼らに1対1の勝負を仕掛けさせ、折を見て自らも大胆に攻撃に加わる様に貫禄さえ感じた。今年に入ってから森保ジャパンの右SB一番手に名乗り出て、9月シリーズではドイツ相手に勝利した自信がAZでのプレーにみなぎっている。
 
 斉藤とのマッチアップを振り返り、菅原は語った。

「うちのスカウティングでも『彼に注意しよう』というのがあった。それだけ斉藤くんが良い選手なのは間違いない。僕自身も彼に対して対策しなければいけなかった。

 自分もオーバーラップして攻撃参加したいという気持ちはありますけど、戦術的にそうならない時もあります。今日だったら斉藤くんが(スパルタの)カウンターで大事な選手だったので、そこのケアをしました」(菅原)
 42分、斉藤優位の間合いで、菅原との1対1の場面が生まれた。思い切って身体を捻り、左足でボールをつついて菅原の背後をとろうとした斉藤だったが、バランスを崩して転倒した。そしてボールは難なく菅原に渡る。菅原が漂わせる“圧”が斉藤の足下を狂わせたシーンに感じられた。

 頃合いを見計らって攻め上がり、MFデ・ウィット、CFパブリディスに絶好のクロスを蹴り込み、88分にはワンツーから飛び出し敵をドリブルで振り切ってアタッキングサードへ潜入するなど、一見疲れ知らずのプレーを披露した菅原。しかし、インタビューエリアに現れた菅原は疲労の色が濃かった。

 その疲れはこの日のものか? それとも代表戦から蓄積されたものか?

「どっちもです。本当に疲れました。ここから中2日、中3日で試合が続くので、怪我をせずにコンディションだけは落とさないようにやっていきたいなと思います」(菅原)
 
 ドイツ戦の菅原はニャブリ、シュロッターベックに対し“1対2”の数的不利になっても、自信を持って対応していた。「そう見えるだけです」と菅原は言った。

「板倉(滉)選手、遠藤(航)選手、鎌田(大地)選手、守田(英正)選手――。やっぱり全員が近くにいるという感覚があり、サポートを感じているから“1対2”でもそんなに怖くない。縦に行かれたら僕が行けば良い。中に運ばれたら板倉選手や遠藤選手が来てくれる。僕が止めなきゃいけないけれど、そういう距離感の中で周りと協力することがアイデアにある。そこが日本代表でやるのとAZでやるのとでは違うから勉強になります。AZで“1対2”の状況が多くあるなか、数をこなしながら身につけている部分があります。一個一個を成長に繋げたいと思います」(菅原)

 昨季、4月8日の対戦では斉藤のアシストが効いて、スパルタが1−0で勝利した。今回は菅原の攻守に渡る貢献度が高くAZが2−0で勝った。冬の移籍市場を終えた来年3月3日にスパルタ対AZが予定されている。両者の対戦は、三度(みたび)あるだろうか。

取材・文●中田 徹

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