[WEリーグカップ グループB第4節]ベレーザ 0−3 I神戸/9月17日/味の素フィールド西が丘

 INAC神戸レオネッサは、9月17日に行なわれたWEリーグカップのグループB第4節で、日テレ・東京ヴェルディベレーザと対戦。16分に田中美南、53分に成宮唯、59分に林愛花が得点し3−0で勝利。2連勝を飾り、グループ2位に浮上した。

 首位のベレーザを相手に、ハプニングを乗り越えて勝点3を得た。今シーズンから就任したジョルディ・フェロン監督のもと、新たに採用した4バックで準備を進めてきたが、コンデイション面で問題があったCB三宅史織の起用が難しくなり、この日は急きょ3バックに変更。それでも、44歳のスペイン人監督は明確な狙いを持っていたと明かした。

「サイドでは、少し数的不利な状況ではありましたが、中盤と真ん中では、うちのほうが数的優位なので、上手く真ん中でボールをつないでから、サイドに持っていくことを狙いました。サイドに北川(ひかる)選手と守屋(都弥)選手がいますので、そこを上手く使って攻撃する狙いがありました」
 
 新指揮官は、試合中にも柔軟さを発揮した。インサイドハーフで出場した山本摩也が本調子でないと見抜くと、ハーフタイムを待たずに45+1分に成宮との交代を決断する。成宮はチームの2点目を奪い、勝利に貢献。采配がズバリ当たった。

 選手投入に対しても、フェロン監督は「ベンチにも、クオリティも技術も高い選手がいます。増矢(理花)選手も控えていましたし、髙瀬(愛実)選手もいました。誰を投入するか、監督としては、いろんなことが試せる状況下にありました」と自軍の選手層に自信を見せた。

「非常に強いチームに勝てたというのは、良かったと思います」と喜ぶ一方、課題にも言及する。

「チームは、まだ成長段階にあります。全体を通しては、良い試合ができました。ただ、試合終盤の時間帯は、ただクリアしてしまうのではなく、ボールをつなぐプレーが足りなかったです」
 
 チームは第2節まで、なでしこジャパンのメンバーで今夏の女子ワールドカップに出場したGK山下杏也加、DFの三宅と守屋、FW田中を欠いた状態で戦い、大宮アルディージャVENTUSに1−4、AC長野パルセイロレディースに1−3と連敗。前節の、ちふれエルフェン埼玉戦(1−0)から勝点を積み上げて、ベレーザにも勝利し、決勝進出に望みをつないだ。

 フェロン監督は「サッカーは、やってみないと結果はどうなるのか分からないものです。最初の2試合は負けてしまいましたが、内容で悪くないところもありました。今日の試合は、なかなか難しい展開もありましたが、実際にやってみたら、この点差で勝てました」と語る。

 また、初めて日本で指揮を執るフェロン監督に、4戦を経てWEリーグにどのような感想を抱いているのか尋ねると、「日本の女子サッカーのレベルは、非常に高いと思っています」と回答。特に、ベレーザを高く評価する。
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「プレースタイルが確立されていますし、非常にクオリティの高い選手が揃っています。今日の試合は勝利できましたが、楽な勝利ではありませんでした。今日の試合に臨むにあたり、6試合はスカウティングをして、臨みました。素晴らしいチームに勝てたのは非常に満足しています」

 さらに、日本で指導する喜びにも言及した。

「今は日本に来て監督業をしていますが、スペインにいた時に日本人選手を指導したことがありました。たくさんの素晴らしい選手たちがいる日本に来て指導できるということは、私にとっても非常に嬉しいことです」

 首位のベレーザを勝点1差で追うI神戸は、ファイナル進出なるか。グループステージ最終節は10月1日、ホームでアルビレックス新潟レディースと相まみえる。

取材・文●野口一郎(サッカーダイジェストWeb編集部)

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