先の女子ワールドカップで、強烈なインパクトを残したなでしこジャパンは9月23日、アルゼンチン代表と親善試合を戦う。素晴らしいサッカーを展開した池田太監督率いるチームの新たな船出を注視している。
 
 その女子W杯の際、アンバサダーとして招待されていた日本のレジェンド選手、宮間あやと会話を交わす機会があった。決勝がヨーロッパの2チーム(スペイン対イングランド)に決まったことについて、「決勝で戦うには、必ずしも最強である必要はありません」と話し、こう見解を示した。
 
「4−0で日本がスペインに勝った試合を見ましたか? どれほど日本がスペインより上だったか。つまりはそういうことです。サッカーが楽しいのはサプライズがいっぱいだからです。でも時にはそれが難しく感じる時もある。スペインもイングランドもいいチームです。でもアメリカも日本も同じように優秀だったし、オーストラリアが決勝に出ても決しておかしくなかった。決勝の組み合わせがオーストラリア対日本という可能性だって大いにあり得た」
 
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 大会全体の印象は、「32チームが一堂に会して戦う、歴史的な大会です。その一部であることを光栄に思います。スタジアムはいつも満杯ですし、とくにオーストラリア、ジャマイカ、ナイジェリアなどこれまでとは違った新しいチームが台頭してきたことは素晴らしいことだと思います。女子サッカーは新しい時代に入ってきているのだと感じますね。レベルも高く、フェアプレーも多いのも嬉しいです」と語った。
 
 惜しくも準優勝で敗れたなでしこジャパンについては、「選手たちははじめ、自分たちがどんなに優秀かを分かっていませんでした。だからこそプレッシャーもなく、落ち着いてプレーすることができた。日本はグループリーグをどこのチームよりもうまくプレーしたと思います」と評し、こう言葉を続けた。
 
「ところが決勝トーナメントになると、期待や勝たなければというプレッシャーを大きく感じるようになりました。彼女たちはこうしたものに慣れておらず、やや冷静さを欠くシーンもあって、のしかかった重圧の犠牲になってしまいました。とにかく今回のなでしこは素晴らしかった。選手一人一人を誇りに思います。彼女たちは日本の女子サッカーの未来のために、大きなことをしてくれました」
 
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 池田監督の手腕は、「完ぺきな仕事をしてくれました。特に選手との関係性は最高だったと思います」と称賛していた。
 
「今大会あなたはFIFAの選んだレジェンドとして大会に参加しましたが、どう感じていますか?」と尋ねると、「(2011年に)ワールドカップに優勝して以来の栄誉です。レジェンドの一人として、日本を代表する存在として、ここにいられることを嬉しく思います。またこうした別の角度から女子サッカーを見るのも面白いですね」とコメント。女子サッカーの変化については、こう話している。
 
「フィジカルと戦術は信じられないほどの発展を遂げていると思います。ただそんな中でも小柄ななでしこたちがベストチームであったことは、素晴らしいことだと思います」
 
 決勝のキックオフ前、宮間はピッチの真ん中にワールドカップをもたらす役目を果たした。ブラジルのフォルミガなど多くのレジェンドのいる中で、最も重要な役割をFIFAは彼女に託したのだ。決勝後、その感想を聞いてみた。
 
「まるでロナウジーニョにでもなった気分です(笑)。私とトロフィーだけがピッチの上に立っている時の感動は本当に大きくて、泣かないようにするのにかなり頑張りました。また満員のスタンディングオベーションに囲まれた時には、女子サッカーに対する人々の大きな情熱を感じました。本当に忘れられない瞬間で、思わず優勝した時のことを思い出しましたよ」
 
 宮間も語ったように、パリ五輪で金メダルを目ざすなら、期待や重圧へ対処法は今後の課題のひとつと言える。新たな戦いに注目したい。
 
取材・文●リカルド・セティオン
翻訳●利根川晶子
 
【著者プロフィール】
リカルド・セティオン(Ricardo SETYON)/ブラジル・サンパウロ出身のフリージャーナリスト。8か国語を操り、世界のサッカーの生の現場を取材して回る。FIFAの役員も長らく勤め、ジーコ、ドゥンガ、カフーなど元選手の知己も多い。現在はスポーツ運営学、心理学の教授としても大学で教鞭をとる。


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