[天皇杯決勝]川崎 0(8PK7)0 柏/12月9日/国立競技場

 川崎フロンターレは12月9日、天皇杯決勝で柏レイソルと対戦し、0−0で突入したPK戦の末に勝利。3大会ぶり2度目の栄冠を手にした。

 最終的に歓喜の瞬間を迎えたが、その試合内容は決して良かったとは言えない。カウンターからの一発を狙うのが得意な柏と、ボールを保持しながら相手の守備を崩すスタイルの川崎。当初は川崎が主導権を握る展開になるだろうと予想していた。

 しかし始まってみると、川崎は立ち上がりから押し込まれた。マテウス・サヴィオに左サイドから簡単にボックス内へ侵入を許せば、右サイドからもサイドバックの裏のスペースを小屋松知哉に使われ、何度もクロスを上げられた。

 なかなか自分たちの時間を作れないまま、前半は柏のシュート13本に対し、川崎は1本。まさに圧倒され、その後も延長戦を含めた120分間、思うようなサッカーを披露できなかった。
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 ここで比較して思い出されるのは、川崎が黄金期を迎えていた2020年。現在はブライトンでプレーする三笘薫やスポルティングの守田英正、デュッセルドルの田中碧、セルティックの旗手怜央らタレントを擁し、J1リーグでは88得点を記録して連勝を重ね、独走優勝。初の天皇杯制覇も経験するなど、圧倒的な攻撃力と強さを持ち合わせていた。

 一方で今シーズンは、当時と同じ4−3−3のシステムで攻撃的なサッカーを展開するが、継続的に白星を積み上げられず、リーグ戦は8位でフィニッシュ。試練の時期を迎えている。

 それでも今回の天皇杯決勝のように、川崎は試合内容が悪くとも、最後のところで踏ん張り、勝ち切る勝負強さを見せた。もうシルバーコレクターと呼ばれた時の姿はない。勝者のメンタリティが着実にチームに根付いている証拠だ。

 試合後、登里享平が日本サッカー協会の公式Xで「これをきっかけに強いフロンターレをしっかりと築いていけるように頑張っていきたい」と語っていたように、シーズン通して内容、結果ともに圧倒する“最強フロンターレ”の復活に期待したい。

取材・文●手塚集斗(サッカーダイジェストWeb編集部)

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