[アジア杯GS第3節]日本 3−1 インドネシア/1月24日/アルトゥマーマ・スタジアム

 アジアカップのグループステージ第3節で、日本はインドネシアに3−1で勝利した。

 とりあえず安心したよ。日本は昨年のワールドカップでドイツやスペインに勝ち、国際Aマッチで10連勝もしてきた。それでも、今回のインドネシア戦ではドキドキさせられた。サッカーってのは面白いよね。

 日本はアンカーで起用した遠藤を軸に、パスを繋ぎながら全体を押し上げて、相手の5バックに対して3トップ、久保と旗手で数的優位を作り、主導権を握っていた。

 左右のトライアングルで数的優位を作るのがセオリーだったと思うけど、もう少し両サイドで突破ができたらなと思ったね。中村と堂安が悪いわけではなかったよ。
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 引き分け以上で突破できる状況だったので、立ち上がりに上田のPKで先制できたのは、相当チームに安心感を与えたと思う。

 ただ、その後はチグハグな攻撃で、技術的なミスが多かったように見えた。後半の頭に上田が追加点を取ったのは大きかったけど、やっぱり前半のうちにもう1点取って楽になりたかったね。

 上田は、前半に左で切り返してボールを取られたシーンがあったけど、左足でもシュートの威力は抜群だから、打てばいいのにと思った。終盤には強引に持っていってシュートを放ち、結果的にはオウンゴールになったとはいえ、上田らしいフィニッシュだったね。

 苦しい時に誰が点を取れるかというのが、アジアカップを勝ち抜くうえで重要になると以前にも話したけど、上田の得点力はストライカーとして一番期待ができるんじゃないかなという感じがする。
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 イラク戦に続いて先発した久保は、ボールに絡もうとして、大事な場面で良いパスを出していた。けれど、スペインであれだけ輝いてる選手が、1対1で相手を抜けなかったり、身体をぶつけられてボール奪われたりっていうのは、アジアの舞台での難しさもあるのかなと。

 ただ、1−2で敗れたイラク戦で、自分があまり貢献できなかったという反省や悔しさがあると思うから、なんとしても自分が決定的なシーンを作るという強い思いが出ていたのは良いこと。その気持ちがプレーにも反映されて、相手を脅かすようになればいいなと思うよ。

 今大会初スタメンの堂安は、もともと縦に行くタイプではないけど、決定的なシーンを作るという意味で、視野の広さと左足の精度の高さは凄いものを持っている。あとは、乗ってもらうためにゴールが欲しいね。やっぱり切り札だと思うし、勝ち抜いていくためには、堂安の活躍も必要だよ。

 中村は周りを使うセンスが良かった。あれは武器になる。右サイドバックの毎熊は今日一番良かったと思うぐらい、攻守両面で存在感があったね。そして途中出場の伊東は、チームの3点目につながるクロスを供給。限られたプレータイムできっちりと仕事をするのはさすがだ。
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 あと大事な点は、相手の前線からのプレスに対する選手たちの距離感やラインコントロールが良かったこと。ボールを取られた後の切り替えで、何回も奪い返すこともできていた。

 日本は、切り替えの速さと連動性が戦術のベースだと思う。チームとして良い状態の時は、最終ラインと前線の距離が縮まってコンパクトさが保たれている。その原点に戻れたのは好材料だ。

 自分たちが立ち返るべき場所を、このインドネシア戦で再確認できたはず。本来の姿を取り戻す良い機会になって、なおかつ勝利して決勝トーナメントに進めたので、チーム全体として落ち着けるのかなと思う。

【著者プロフィール】
金田喜稔(かねだ・のぶとし)/1958年2月16日生まれ、65歳。広島県出身。現役時代はドリブルの名手として知られ、中央大在学中の1977年6月の韓国戦で日本代表デビューを飾り、代表初ゴールも記録。『19歳119日』で記録したこのゴールは、現在もなお破られていない歴代最年少得点である。その後は日産自動車(現・横浜)でプレーし、1991年に現役を引退。Jリーグ開幕以降はサッカーコメンテーター、解説者として活躍している。

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