田嶋幸三氏の後任として2024年3月24日付で日本サッカー協会(以下、JFA)の第15代会長になったのが、宮本恒靖氏だ。JFAの専務理事を経て47歳で就任。これは戦後最年少で、ワールドカップを経験した選手として初の会長となる。

 現役時代の実績もあり、知名度は抜群。実際、宮本会長は「ありがたいことに、自分の選手時代を知ってくれている人は多いですし、『初めまして』の際の堅さを取ることにもつながります」と言っている。ちなみに、FIFAの総会などではプレーヤーとして交流を深める機会もあるそうだ。

「時々インファンティーノ会長をマークしたり、マテラッツィ(元イタリア代表)の強力なシュートをゴール前でブロックしたりだとか(笑)、そういったところを含めて自分のキャリアを有効に使いたいと考えていますね」

 そんな宮本会長が掲げたマニフェストのひとつが「強い日本代表を作り続ける」。果たして、ワールドカップのベスト8以上を目指すうえで何が必要か。その問いに対し、宮本会長は次のように答えてくれた。

「劇的な特効薬みたいなものはないと思っています。やはり長年、育成面で強化してきた部分などが実を結び、多くの日本人選手が海外に行っています。そういった活動を怠ってはいけないと思います。今のA代表もすごく重要ですが、同じようにここに出てくる、つながってくる人たち、今のアンダーカテゴリーにいる人たちに対する強化もすごく重要です」

 加えて、宮本会長は“選手層の重要性”を説いた。

「ワールドカップで優勝した国は8か国しかなく、ベスト16ではそういう国と当たる可能性があります。そこを超えるには、選手層がすごく大事だと思います。グループリーグで100パーセント、120パーセントの力を使い果たすのではなく、ベスト16である程度コンディションの良いと言いますか、そういう選手がいる状態を作るには、やはり選手層が厚くないとダメなんだろうなと」
 
 日本代表が強くなるためには選手だけでなく指導者の成長も不可欠。ただ、サッカーの本場ヨーロッパで「一流」と認知されている日本人監督が見当たらない。この現状を打破するためのキーマンのひとりが長谷部誠(フランクフルト)だと、宮本会長は予測している。

「端的にプレーヤーとして、ヨーロッパのその国でプレーをし、しっかり名前を残し、認められる存在で、その国の言葉を喋り、その国のサッカーの文化を理解していることが、すごく重要だと思います。だからこそ、その人に監督を任せようという考えにつながるはずですし、もちろん、その国で育成年代から叩き上げとして上がるパターンもあります。

ただ、監督の世界も競争が激しいなかで、なかなか食い込んでいくのは簡単ではありません。例えば長谷部(誠)選手は、今ドイツでライセンスを取ろうとしていますが、彼のような人材が監督として認められることが、ヨーロッパで一流指導者になるきっかけのひとつになると感じています」

 海外経験が豊富という点で吉田麻也選手(ロサンゼルス・ギャラクシー)も魅力に映る。事実、宮本会長も「吉田麻也選手自身がどういうキャリアを選択していくのか、まだ明言していませんよね。ただ彼がもし指導者を目指すのであれば、間違いなく多くの可能性を秘めているはずです」と肯定的な見解を示した。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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