2024年5月15日、「Jリーグの日」に開催されたセレッソ大阪戦でFC町田ゼルビアが2-1と勝利を収めたあと、町田の黒田剛監督が“1993年当時の自分”について語る場面があった。

「(Jリーグ開幕時は)指導者をまだ始めていない時で、サッカーを引退してサービス業をしていました。自分の中では『サッカーを辞めた』状況で(当時勤めていた会社の)社員寮に入ってホテルマンをやっていました。なので、Jリーグの世界に自分が行くなんて到底思わないなか、テレビで開幕戦(横浜マリノス対ヴェルディ川崎)を観ていたわけですから感慨深いです。

あの時テレビで観ていたJリーグというステージにたどり着いたというか、自分のステージをそこに移して勝負をしていることが今でも信じられないというか。ただ、何歳からでもチャレンジはできるなと。気持ちさえあれば何歳からでもチャレンジはできると、そういうことを全国に見せていきたい。自分が先頭に立って走りたい気持ちはあります」
 
 黒田監督は「サッカー界だけではなくて」と言葉を継ぐ。

「いろんな方々、年配の方々も含めてチャンスはまだまだあるんだと。それを自分が身をもって示せば明るいスポーツ界になると思います。そういうことを考えながら日々を送っています」

 心に突き刺さるメッセージである。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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