FC町田ゼルビアの底力を感じたゲームだった。5月15日に開催されたセレッソ大阪戦のことである。後半アディショナルタイムの決勝弾で劇的な勝利を収めた試合を振り返り、町田の黒田剛監督は次のようにコメントした。

「前節の湘南戦は引き分けでしたが、敗戦のレベルでした。かなり厳しい印象を持ったゲームだったので、戒めの気持ちを持って試合に入りました。湘南戦を敗戦と捉えたなかで、絶対に連敗はできないスタンスで選手たちは準備してくれました」

 正直、84分の失点で1-1にされた時はドローが濃厚だと思った。実際、黒田監督も「PKで追いつかれてどうなるかというところもあった」と心境を明かしている。それでも、町田は後半アディショナルタイムに決めたミッチェル・デュークのゴールで最終的に2-1と勝ち越し、勝利を手繰り寄せた。

 黒田監督は言う。

「『絶対に負けたくない。俺たちが勝つんだ』という気持ちを90分間切らさずに戦ってくれた。林(幸多郎)のクロスからデュークが技ありのゴールを決めてくれました。引き分けと勝利では全然違うシチュエーションのなかで、勝ち切れたのは素晴らしいことです」
 
 「俺たちが勝つんだ」というスタンスで、それを成し遂げてしまう選手たちの実行力はある意味恐ろしい。  

 C大阪戦の勝利は、失点と連敗を極度に嫌う黒田監督の“執念”が選手たちに乗り移った格好での白星だろう。

 キャプテンの昌子源が「僕たちも必死」と言うが、その「必死さ」を勝利に結びつけるのは簡単ではない。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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