5月19日、湘南ベルマーレはJ1第15節でアルビレックス新潟とホームで対戦し、2−1で勝利した。

 3−5−2の布陣でスタートした湘南は、熟年のビルドアップと個々の高い技術が売りの新潟に対し、前半から後手に回る。2トップのプレスは、相手の4−2−3−1のCB2枚とGKの3人に剥がされ、簡単にボランチにボールを経由されて自陣への侵入を許し、30分に先制点を献上。直後の35分にルキアンのゴールで追いついたが、前半は内容面で圧倒されたと言えるだろう。

 ハーフタイムに修正を施し、後半の立ち上がりは前線からの連動した守備でボールを奪ってチャンスにつなげる。60分には平岡大陽のシュートのこぼれ球をルキアンが詰めて、試合をひっくり返す。

 だが、時間が進むにつれて徐々にプレスが効かなくなり、再び押し込まれる時間に。終盤は常に自陣ゴール前でのプレーを余儀なくされた。

 69分までプレーした平岡は、難しい展開のなかで粘り強く戦った結果の白星を、こう振り返る。

「相手に持たれたなかで、チームとして我慢強く戦えた。前半は前からの守備が連動せず、僕らサイドボランチ(インサイドハーフ)も低い位置取りになってしまい、自陣に侵入されてしまいました。

 ただ、後半は2トップからプレスをかけて、僕らも高い位置でプレーする意識でやったら、ある程度は良い守備ができた。新潟はボール回しが上手いので、今日みたいな展開になりがちですけど、後半に修正できたのは収穫かなと」
【動画】平岡のシュートのこぼれ球をルキアンが決める!
 チームとしては、苦しみながらも勝利し、手応えを得られた一戦だったはずだ。平岡も自らのシュートが決勝点につながり、一定の成果を示したと言えるだろう。ただ、本人は「個人的としては全然ダメだった」と語る。

「強度も出ていなかったし、3連戦の最後で疲労もあり(第13節のサガン鳥栖戦〜第15節の新潟戦の3試合は中3日で開催)、いつものプレーを表現できない自分の不甲斐なさを痛感した。ピッチに立つ以上、日程を言い訳にはできない。反省の多いゲームになりました。ただ、幸いにも今日はチームに助けられて勝てた。結果として、勝ちながら反省できる、一番良い形にはなりました」

 この3連戦ではいずれの試合でも先発した平岡。厳しい自己評価の背景には、自らに課すハードルの高さと、左サイドでコンビを組む、同じ2002年生まれのDFの存在がある。

「今年に入って、アベレージを高くするのを意識しています。去年よりも自分に求めるレベルが上がっているなかで、自分が求めているもの、監督に求められるものを毎試合発揮して、満足してゲームを終えられるようになりたいです。

 あとは最近、畑(大雅)さんが良すぎるんで(笑)。僕も負けじと、彼を活かし、行かされる関係を毎試合できるようにならないといけません」

 第10節の北海道コンサドーレ札幌戦でプロ初ゴールを決めて以降、左サイドで攻守におけるキーマンとなっている畑の存在が、平岡の基準を引き上げているのだろう。

 パリ五輪世代のふたりが切磋琢磨し、それぞれのさらなる成長につながれば理想的だ。

取材・文●岩澤凪冴(サッカーダイジェスト編集部)

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