[天皇杯2回戦]川崎 2−0 ソニー仙台FC/6月12日/Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu

 前回の大会王者である川崎が、JFL所属のソニー仙台FCを2−0で下した天皇杯の2回戦。試合後のピッチには、カテゴリーが異なるチーム同士が戦うことの多い、この大会ならではの光景が広がっていた。

 JFL優勝、天皇杯ベスト16を今季の目標に掲げているというソニー仙台FCは、大卒、高卒の選手が顔を揃える、川崎戦の18人のメンバーの平均年齢も24.5歳と、若い構成のチームであった。

 その意味で敗戦は悔しいはずだが、J1での優勝経験もある川崎とのゲームでは様々な気付きがあったに違いない。試合終了のホイッスルが響いた瞬間、誰よりも悔しさを表わした中央大出身の24歳のCB塩﨑悠司は、このゲームを観に来てくれた人への感謝の想いも同時に沸きあがったという。

 だからこそ、先頭に立ち、川崎サポーターへの挨拶もチームに促した。すると川崎側からも健闘を称え合う「ソニー仙台コール」が沸きあがったのである。

「多くの方がフロンターレさんを見に来ていたと思うのですが、自分たちも見てもらうことができた。サッカーが好きでこのスタジアムに来てくれている方々へ、ありがとうという意味を込めて、そして今日でソニー仙台という名前をちょっとでも知ってもらえたら嬉しいなという意味で、挨拶に行かせてもらいました。そうすると僕らへのコールもしてくれてすごく嬉しかったです」

 塩﨑はそう笑顔を浮かべる。
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 ソニー仙台FCの選手たちは午前中に仕事をし、午後に練習を行なう日々を過ごしているという。塩﨑もこう説明してくれた。

「ソニーの社員の方たちと一緒に昼の12時まで働いて、僕らは15時から練習をさせてもらっている形です。

 工場系、人によっては製造ラインに入ったりしているのですが、自分は総務系の仕事をさせてもらっています。いろんな人とコミュニケーションを取ることが多いですね。

 今日も首都圏の社員の方々が1000人ほど来てくださって嬉しかったです。自分たちは仕事をしながら、これだけできるぞと、いろんな人に示せたら良いですし、感謝しながら今後もプレーをしていきたいです」

 かつて新潟や千葉でも指揮を執った鈴木淳監督は「川崎さんペースという印象で、まったく歯が立ちませんでした」と振り返ったが、塩﨑は得られたものもあったと語る。

「シンプルに自分たちとフロンターレさんの差を感じました。感じたのはシュートがすごく上手いとかクロスがすごく上手いとかそういう部分ではなく、シンプルに出して走る、そしてスペースを空けたら戻るという、当たり前のことを徹底してやっているところが、自分たちと大きく違いました。

 止めて蹴るのところも練習でよりやっていきたいですが、そういうところは(当たり前のことを徹底してやるという面は)意識していないと追いつけないと思うので、そこはもっとやらないといけないと、すごく悔しかったです」

 ソニー仙台FCのサポーターへの挨拶も終えると、ピッチ脇にいくつも置かれたボトルを回収する塩﨑の姿もあった。その後、幾人の仲間たちとロッカーへ引き上げるなかで、胸に刻んだ思いもあったのだろう。

「今はJFLでも良い結果を出せていませんが、今日フロンターレさんと戦うことができて、これを機にJFLでも連勝して優勝できたら、ああ、この試合をできて良かったなと思えるはずです。やっぱり先ほど話した意識のところを突き詰めていきたいです」

 中央大と言えば、川崎のレジェンド・中村憲剛の出身大学で、2022年からは同大のテクニカルアドバイザーも務めている。入れ替わるように卒業した塩﨑は残念ながら接点がないというが、等々力のピッチで貴重な学びを得たのも何かの縁なのかもしれない。

 Jクラブとは異なる環境で戦っている選手たち、チームがいる。そうした姿にスポットライトが当たるのも天皇杯の醍醐味だろう。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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