4年に1度の夏の祭典、オリンピックの開幕が近づいている。56年ぶりのメダル獲得を目ざすU-23日本代表は、グループステージで7月25日にパラグアイ、28日にマリ、31日にイスラエルと火花を散らす。日本が戦う3か国はどんなチームなのか。ここでは3戦目の相手、U-23イスラエル代表を紹介する。

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 パリ五輪予選を兼ねた昨年のU-21欧州選手権でベスト4に入り、48年ぶり3度目の五輪出場、男子サッカーが23歳以下の大会になってから初出場となる。

 イスラエルといえば、昨年のU-20ワールドカップで日本がグループリーグの3試合目に対戦して、1−2で敗れた因縁の国だ。その結果、決勝トーナメントに進出したイスラエルは、準々決勝でブラジルを破るなど、3位と躍進した。

 その試合に出ていたのは日本だと高井幸大(川崎フロンターレ)とバックアップメンバーの佐野航大(NEC)だけだが、イスラエル側からはDFスタヴ・レムキン(シャフタール・ドネツク)、DFイレー・ファインゴールド(マッカビ・ハイファ)、DFロイ・レヴィヴォ(マッカビ・テルアビブ)、そして五輪代表チームのエースとして期待されるFWドール・ターゲマン(マッカビ・テルアビブ)が名を連ねている。

 また同大会のメンバーだったが、日本戦には起用されなかった19歳のDFノアム・ベン・ハルシュ(ハポエル・ハイファ)も成長をアピールして、18人のメンバーに食い込んだ。

 U-20W杯には不参加だった20歳のMFオスカー・グルーク(レッドブル・ザルツブルク)を含めた”黄金世代”が主力の半数を構成するが、オーバーエイジ3人の存在はチーム力をグッと引き上げる要素になりそうだ。
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 そのうちの2人は2000年生まれのGKダニエル・ペレツ(バイエルン)とU-21欧州選手権の中心的な存在だったMFオムリ・ガンデルマン(ヘント)だ。ペレツは昨夏、バイエルンに加入し、第33節ではドイツ代表GKマヌエル・ノイアーに代わり途中出場。その後をしっかりと締めて2−0の勝利を支えた。今大会でも注目のGKだ。

 そして、もうひとりのオーバーエイジはA代表の主力CBであるDFション・ゴールドバーグ(マッカビ・ハイファ)だ。179センチと大柄ではないが、闘志溢れるディフェンスで最終ラインをより強固なものにしそうだ。

 ゴールドバーグは所属クラブでファインゴールドとバックラインを組んでおり、レムキンやレヴィヴォとはA代表で一緒に活動している。オーバーエイジと言っても、そうした連係面でもプラスに働くことは間違いない。

 A代表はEURO2024(欧州選手権)のプレーオフでアイスランドに敗れて、本大会に勝ち進むことはできなかった。その分、オーバーエイジの3人はもちろん、グルークやレムキン、レヴィヴォ、テルグマンなど、すでにA代表の選手を含めて、ベストメンバーで五輪に挑めることはメダル獲得に向けた好材料だ。

 筆者もアルゼンチンやスペイン、開催国フランス、南米王者パラグアイに次ぐメダル候補の一角と見ているが、大岩剛監督が率いる日本にとっては何としても叩くべき相手であり、昨年のU-20W杯と同じく3試合目で対戦するというのも因縁めいたものがある。

 ガイ・ルゾン監督はU-21欧州選手権と同じ3−5−2をベースに布陣を形成すると想定できるが、4バックの可能性も消去できない。

 組み立ての中心となるMFグルークに自由を与えないことが、イスラエルの攻撃を機能停止させる条件になる。守備は中央がとにかく堅いので、センターバックの両脇をうまく狙いながら、FWの細谷真大(柏レイソル)や藤尾翔太(FC町田ゼルビア)がうまく屈強なCBのマークを外せる状況を作りたい。

 1試合目と2試合目の結果にもよるが、3試合目ということで、突破をかけた総力戦になってくるかもしれない。大岩監督のベンチワークも勝負の鍵を握りそうだ。

取材・文●河治良幸

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