激しい肉弾戦、止まらない血。英3部の“This is the football”で「一番鍛えられたのは身体の強さ」【岩田智輝 1万字インタビュー#3】
SOCCER DIGEST Web6/7(土)16:44

英3部のタフな環境で逞しさが増した岩田。写真:元川悦子
2024-25シーズンのイングランド・フットボールリーグ1(3部に相当)の顔ぶれを見ると、かつて三都主アレサンドロが練習参加したチャールトン、中田英寿の現役最後のクラブとなったボルトン・ワンダラーズ、中山雄太(現・町田)が在籍したハダースフィールド・タウン、宮市亮(現・横浜FM)がプレーしたウィガンなど、日本でも知名度のあるクラブが少なくない。
その1つであるバーミンガム・シティに身を投じた岩田智輝は、「僕が知っていたのは、ハダースフィールドくらいでした」と苦笑する。
「9月頭に新チームに合流し、毎週のように『ここはどこなんだ』というチームと対戦しました。場所も分からないし、相手のことも知らないんで、毎日が新鮮で楽しかったです。
バーミンガムはイングランドの中央部で、坂元達裕選手がいるコベントリーや岡崎慎司さんがいたレスターも結構近くて、あちこちに移動しやすかった印象です。
英語に関しては、スコットランドの時から難しかったですけど、僕に対してはみんな優しい言葉で話しかけてくれたんで、分かりやすかったですね。日本にいた頃から週1回ペースでレッスンを受けていて、今も続けていますけど、ミーティングは問題なく理解できるようになった。意思疎通や生活面は問題なかったです」と彼は言う。
ただ、3部のサッカースタイルは、かつて在籍した横浜FMやセルティック時代とはかけ離れたところがあった。
「3部のサッカーはセンターフォワードとセンターバックに大きな選手を置いて、プレッシャーをかけられたらすぐに蹴るチームが半分以上でしたね。たまにつないでくる相手もいましたけど、クオリティはそこまででもなかった。そこはやっぱり『3部だな』と感じることもありましたけど、たまに突出してうまい選手もいて、興味深いリーグでした。
そういう環境で一番鍛えられたのは、身体の強さ。耐久性がついたのかなと思います。筋トレはずっと続けていましたけど、今季はシーズン通算で約60試合あり、僕は45試合に出ましたけど、ほぼ連戦で調整くらいしかできないなかでもフィジカルは強くなりました。
正直、削られまくったし、初めて足も縫った(苦笑)。3回くらい連続で甲を踏まれて、1週間くらい血が止まらなかった。ある試合では、ボールと関係ない位置から前線に駆け上がったら、目の前で構えていたディフェンダーが思い切りぶつかってきて、『This is the football』と言われました。それだけ荒々しい環境なのは間違いないですね」と、岩田は伝統的なキック&ラッシュの中に身を置き、“サッカーの源流”を実体験した様子だ。
「イングランドは大型のワントップが必ずと言っていいほどいますけど、彼らは毎回ボールが来るんで、競り合いがうまいですし、裏抜けも巧み。身体を張ってボールを収めるという仕事にも長けていました。ある意味、ハリー・ケインを少し粗削りにしたような感じかな。そういう選手と対峙して、自分自身も感覚を磨くことができたかなと思います」
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そんななかでも、バーミンガムは周りとは異なり、しっかりとビルドアップしていくチームだった。ゆえに、相手に削られる回数は自ずと増える。クリス・デービス監督からも「サッカーの質よりも本当にフィジカルの部分が大事になるリーグだ」と口癖のように言われたというが、VARもなく、身体と身体のぶつかり合いのなかで何ができるか、違いを示せるかが勝負だった。
「球際や局面のバトルが激しいなかでも、接触プレーで怪我をするチームメートは2〜3人しかいなかった。彼らは子どもの頃からそういう経験を積み重ねているから、慣れているし、適応力があるんでしょうね。同じことを日本に取り入れようとしても難しいのは当然だと思います。ただ、そういう違った文化を知ることには意味があると感じます。
今季の前半戦は、サガン鳥栖から移籍してきた横山歩夢(現・ヨング・ゲンク)がいましたけど、彼なんかは俊敏ですし、相手が日本より食いついてくるんで、次々とドリブルでかわしていました。速い選手は削られることなく活躍できるのかもしれないですね。彼のことは監督も『チャンピオンシップに上がったら絶対に必要だ』と言っていたけど、本人は移籍を選んだ。今季はゲンクのトップチームで活躍すると思います。僕も同じクラブに彼がいてくれたことで、すごく助けられたところはあった。感謝しています」
短期間ではあったが、横山との共闘もプラスに働き、岩田は日本を離れてから初めてボランチに固定され、1年間フル稼働。タイトル獲得の原動力になった。これは紛れもなく貴重な経験だったと言っていい。
「実を言うと、ボランチでシーズン通して出たのは、プロになって初めてなんです。相手や状況によっての対処法や選択肢も増えましたし、すごく大事な時間になりましたね。
基本布陣は4−2−3−1で、ボランチの相棒は韓国代表のペク・スンホ。マリノス時代にACLで前北現代とやった時に対戦経験があり、向こうも僕のことを覚えていて、意気投合しました。同じようなサッカー観でやってきたせいか、お互いがお互いを見ていて、理解し合える関係を築くことができました。僕らを軸にボールを持って丁寧につないでいくチームだったので、そういうサッカーを貫いて優勝できたことに意味がありました。
自分がゴールを取れたのも、チームスタイルの成果。リーグ戦で6点、カップ戦で2点を記録しましたけど、自分が前に詰めていて、たまたまこぼれてきた形もたくさんあったし、良いコースに飛んだシュートもあった。周りのおかげで結果を残せたし、本当に良い移籍ができたなと思っています」
カテゴリーはイングランド3部でも、得られたものは計り知れないほど大きかった。岩田智輝はようやく「欧州での自分」を確立させることができたのである。
※第3回終了(全5回)
取材・文●元川悦子(フリーライター)
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