大迫勇也が加入したクラブ、ブレーメンとは?――日本人のパイオニアが足跡を残した緑の古豪

大迫勇也が加入したクラブ、ブレーメンとは?――日本人のパイオニアが足跡を残した緑の古豪


 大迫勇也が1890ミュンヘン、ケルンに続いて、ドイツでの3番目の所属先として選択したのが、過去4度のリーグ優勝を飾っている古豪ブレーメンだった。
 
 ドイツの北部の大都市、ブレーメン州の州都ブレーメンに所在するクラブ。現在のスタジアム「ヴェーザー」は市内を流れる川の名称でもあるが、ここの「中州」を意味する「ヴェルダー」を付けた「ヴェルダー・ブレーメン」が、このクラブの正式名称だ。クラブとしては、他の球技や陸上競技などの部門も有している。
 
 創設は1899年。60-61シーズンにDFBカップを制して初タイトルを獲得し、63-64シーズンから始まった全国リーグ「ブンデスリーガ」では、16チームのオリジナルメンバーのひとつとして参戦し、ファーストシーズンを10位で終えた。
 
 その翌シーズンに早くもリーグ優勝。初代王者ケルンを抑えて初戴冠を果たしたブレーメンはその後、中位から下位の順位が続き、79-80シーズンには17位に沈んで、初の2部降格を味わう。しかし、1年で1部復帰を果たしてからは、現在まで最高カテゴリーでのプレーを維持している。
 
 このクラブが日本にとって非常に近い存在となったのは、1部復帰を果たした81年。ケルン、ヘルタ・ブレーメンと渡り歩いた奥寺康彦(現・横浜FC取締役会長)が、オットー・レーハーゲル監督の誘いを受け、緑のユニホームを身に纏ったのである。
 
 奥寺が在籍した5シーズンで、ブレーメンは3度の2位。彼にとってドイツ最終年となった85-86シーズンには、首位で最終節を迎え、引き分けでも優勝というところでシュツットガルトに敗れ、勝点で並んだバイエルンに得失点差でマイスターシャーレを奪われるという失望に満ちた結末を迎えた。
 
 しかし、ブレーメンはこの2シーズン後に2度目のリーグ優勝を果たす。核となったのは後にドイツ代表でも活躍するストライカーのカール=ハインツ・リードレ、そして得点力の高いDF、ノルウェー代表のルネ・ブラツェットだった
 
 この優勝でチャンピオンズ・カップ(現リーグ)出場権を得ると、準々決勝まで勝ち進んだが、このシーズンで久々の欧州制覇を果たし、長く続く黄金時代へ突入していくミランにマルコ・ファン・バステンのPK一発にやられて(2戦合計スコア0-1)敗退。これが、93-94シーズン(※)と並んで、同コンペティションでのブレーメンの最高記録となっている。
 
※93-94シーズンのチャンピオンズ・リーグは、トーナメント方式による1、2回戦の後、勝ち残った8チームを2グループに分けてリーグ戦を行ない、各上位2チームが準決勝進出をいう方式を採用した。ブレーメンは3位で敗退。
 長期政権を築いたレーハーゲルの下、ブレーメンにとって最も隆盛期と言えたのが90年代前半だ。キャプテンのクラウス・アロフス、ニュージーランド代表のFWウィンストン・ルーファー(後にジェフ市原にも在籍)の活躍で91-92シーズンにモナコを下してカップウィナーズ・カップを制し、初の欧州タイトルを獲得した。
 
 さらに翌シーズン、オーストリアの天才的MF、アンドレアス・ヘルツォークを迎えて強化を図ると、3度目のリーグ優勝も果たす。そして名将の地位を確立したレーハーゲルは95年、ライバルのバイエルンに招聘された。
 
 チームにとって、現時点で最後のリーグタイトルは2003-04シーズン。フランス代表のヨアン・ミクーがコントロールし、クロアチア代表のイバン・クラスニッチ、ブラジルのアイウトンが高い決定力を誇る攻撃陣によって、DFBカップも合わせて2冠を達成した。
 
 99年から13年までというトーマス・シャーフ(選手時代もブレーメン一筋で奥寺ともプレー)の長期政権下では、他にも08-09シーズンにUEFAカップ(現ヨーロッパリーグ)の決勝に進出したが、シャフタール・ドネツクに延長戦の末に敗れた。また選手では、後にワールドカップ最多得点者となるミロスラフ・クローゼが04年に加入し、05-06シーズンにはリーグ得点王にも輝いている。
 
 なお、クラブが最後にタイトル獲得の喜びに沸いたのは、08-09シーズンのDFBカップ優勝時だが、決勝でレバークーゼンを下すゴールを決めたのは、現在、ドイツ代表の中核を担うメスト・エジル(現アーセナル)。なお当時は、クラウディオ・ピサーロ(現ケルン)がトップスコアラーとして君臨していた。
 
 2010年以降は2桁順位が続き、降格の不安も付きまとうことがたびたびあった。今シーズンも開幕から不調で、16節までは自動降格圏内に沈んでいた。しかし、プロ選手経験のないフロリアン・コーフェルトの監督就任から流れは変わり、プレッシングサッカーが機能し始め、最終的には11位まで順位を上げてシーズンを終えている。
 
 今シーズンを戦い抜いた現チーム(今オフでどれほど入れ替わるかは不明だが)は、多くの好選手を擁している。
 
 元ドイツ代表FWで前線の不動の存在であるエースのマックス・クルゼ、フィニッシュに多く絡むオーストリア人のズラトコ・ユヌゾビッチの他、攻撃のオールマイティーで運動量も多いデンマーク代表のトーマス・ディレイニーには、ドルトムントも関心を示しているという。
 
 ロシアW杯に出場するスウェーデンの最終メンバーにも名を連ねているルドビグ・アウグスティンソン、チェコ人とエチオピア人の血が流れるテオドール・ゲブレ・セラシェの両翼も魅力的。また守護神イジー・パブレンカを中心とした守備陣は今シーズン、堅守を見せ、総失点数をリーグ4番目に少ない40に抑えた。
 
 35歳の若き指揮官の下、期待を抱かせるサッカーを披露したチームに加入することになった大迫。奥寺以来2人目となる27歳の日本人選手は来シーズン、スタイルの熟成段階に入るであろう古豪ブレーメンに何をもたらせるだろうか。非常に楽しみである。

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