【総体】青森山田、市立船橋、東福岡、前橋育英… ベスト8を前になぜ名門校は姿を消したのか?

【総体】青森山田、市立船橋、東福岡、前橋育英… ベスト8を前になぜ名門校は姿を消したのか?


 三重県で開催されているインターハイ・男子サッカーは早くも前半戦を終了。55校によって争われていたビッグトーナメントの行方は8チームに絞られた。

 初日から幾多の好ゲームが繰り広げられた今大会で、前半戦最大のトピックは名門校の早期敗退だろう。青森山田、市立船橋、東福岡、前橋育英といった優勝候補が次々と大会から姿を消す展開となったのだ。
 
 全国制覇を狙えるだけの力を持っていたチームと2回戦で相まみえたのは不運であったが、青森山田は昌平、前橋育英は大津、市立船橋は山梨学院に惜敗。3回戦に駒を進めた東福岡も、三浦学苑にふたつのPKを与えて1-2で敗れた。

 上記の4校を撃破した昌平、大津、山梨学院、三浦学苑は8強進出を決めているが、高校年代最高峰のプレミアリーグを戦うチームでベスト8に勝ち進んだのは富山一のみ。波乱含みの大会になっているのは間違いないだろう。
 
 とりわけ、2013年度以降は市立船橋(13、16年度)、東福岡(14、15年度)、流経大柏(17年度)といった全国でも指折りの強豪校がインターハイの栄冠を掴んできた。ベスト4に残ったチームを見ても、青森山田や前橋育英などが勝ち残っている。 

 市立船橋の朝岡隆蔵監督が「サッカーって本当に分からない」と話したように、夏の全国舞台を勝ち上がるのは一筋縄ではいかない。ただ、今大会のように全国優勝の経験がある名門校が次々と早期敗退を喫する展開は、近年ではあまり見られなかったパターンである。

 こうした展開となった理由を探っていくと、やはり今大会は近年のなかでも各校の実力が最も拮抗した大会である点が挙げられる。

 ここ数年、優勝候補と呼ばれるチームの力は頭ひとつ抜きん出ており、チームでも個人でも圧倒できていた。しかし、今年は力が均衡。ちょっとした出来事が試合展開を左右した。
 
 例えば、前橋育英は大津との2回戦で試合の入りに躓いた。相手の戦い方が戦前の予想とは異なり、ロングボール主体の攻撃を選択。これに面食らったチームは最後まで噛み合わず、大津の術中にまんまとハマる形となった。

 ハーフタイムで戦術徹底を図るなど、懸命に試合の流れを引き戻そうと試みるも不発。最後までゴールはこじ開けられず、0-3で敗戦を喫した。

 より多くの時間を戦える90分ゲームであれば、選手交代などで挽回できただろう。強引に個の力で局面を打開することも可能だったかもしれない。ただ、通常よりも短い70分の試合時間で実力が接近していると、ちょっとしたボタンの掛け違いが最後まで尾を引く。ひとつのミスが命取りになるという意味で、典型的な一戦だった。
 その他のチームも同様だ。東福岡は三浦学苑と対戦し、前後半のそれぞれ早い時間帯にふたつのPKから2失点。最終盤に大森真吾(3年)が1点を奪うも、2点のビハインドを跳ね返すにはあまりにも時間が足りなかった。

 また市立船橋はGK田中悠也(3年)や、一昨年のインターハイで1年生ながら5得点を奪ったMF郡司篤也(3年)といった主力が今大会を負傷欠場。個の力で勝負できる選手たちを欠いた影響もあり、前半に喫した失点が最後まで重くのしかかった。

 一方で大会の特性を上手く活かして、勝ち上がったチームもある。その代表格が富山一だ。

 今大会は初日を除くと、30度以上の猛暑のなかで試合を実施。それに伴い、2日目からはクーリングブレイクが導入され、ハーフタイム以外にベンチに戻る機会が生まれた。また、試合環境によっては飲水タイムを設けており、ベンチ前で一斉に選手たちは水分を取る。そうした通常とは異なるレギュレーションが戦い方に影響を与えた。

 富山一は9日に行なわれた3回戦の長崎日大戦で、序盤から低調なプレーが目立った。しかし、前半25分過ぎに訪れたクーリングブレイクを巧みに利用。「良い意味でクーリングブレイクを利用できたかなと思う。この時間で、慌てないようにしようというところとボールの取り方を伝えた」と大塚一朗監督が話したように、チームの課題を伝える場として上手く活用した。これが試合の流れを引き戻すきっかけとなり、後半は3得点。レギュレーションを有効活用できたことが、8強入りに繋がったと言えるだろう。
 
 強豪校が相次いで消えた今大会。8強入りを果たしたチームでインターハイを制した経験を持つのは、三浦学苑(12年度優勝)のみだ。それ以外は優勝の経験がなく、冬の選手権を制した実績を持つのも山梨学院(09年度優勝)、富山一(13年度優勝)しかない。ここからどのチームが勝ち上がって来るのか。11日から始まる準々決勝以降の戦いから目が離せない。 

 準々決勝以降の組み合わせは下記の通り。

・8月11日(準々決勝)
【1】桐光学園 vs 富山一(10:00/スポーツの杜・鈴鹿2G)
【2】昌平 vs 大津(10:00/四日市中央緑地陸上競技場)
【3】山梨学院 vs 日章学園(12:00/スポーツの杜・鈴鹿2G)
【4】東山 vs 三浦学苑(12:00/四日市中央緑地陸上競技場)

・8月12日(準決勝)
【5】1と2の勝者(11:00/スポーツの杜・鈴鹿メイン)
【6】3と4の勝者(11:00/四日市中央緑地陸上競技場)

・8月13日(決勝)
【7】5と6の勝者(11:00/スポーツの杜・鈴鹿メイン)

取材・文●松尾祐希(サッカーダイジェストWeb編集部)
 


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