9月11日に国際親善試合でコスタリカを下した新生・日本代表。今夏、ロシア・ワールドカップで直前の監督交代などで苦戦を予想されながらも、決勝トーナメント進出を果たして世界から高評価を得た後、森保一監督の下、新たなスタートを切った。
 
 本来、今月7日にはチリとの対戦も予定されていたが、北海道を襲った地震のために中止。日本はこの先、10月には12日にパナマと、16日にはウルグアイと対戦する。
 
 また、まだ対戦相手は発表されていないものの、11月にも16、20日に代表Aマッチが組まれている。そして来年1月、UAEで開催されるアジアカップで、森保ジャパンは最初の公式戦を迎えることになる。
 
 一方、欧州ではW杯が終わったばかりだが、今月、早くも代表チームの公式戦が始まっている。それが、新たに始まった大会「UEFAネーションズ・リーグ(以下UNL)」だ。
 
 本来であれば、他大陸同様に国際親善試合が行なわれるはずの時期に幕を開けたUNLとは、UEFA加盟国をランキング順に4つのカテゴリー(リーグA〜D)に分け、さらに各リーグのなかで4つのグループを形成し、それぞれでホーム&アウェーの総当たり戦を行なうという新コンペティションだ。
 
 最上位のリーグAでは、各グループの首位が来年6月に一発勝負のトーナメントで初代王者を争い、A〜Cの各グループ最下位はひとつ下のリーグに降格、逆にB〜Dの首位はひとつ上のリーグに昇格する。
 
 また、各グループの首位16チームは4チームずつに分けられ、そのなかで2020年3月にトーナメント(プレーオフ)を開催。それぞれ勝ち抜いた4チームが、EURO2020への出場権を獲得する。プレーオフ前にグループ首位チームがEURO出場権を得ていた場合は、その下の順位のチームが繰り上げ。リーグのプレーオフ出場国が4チームに満たない場合は、その下のリーグから繰り上げとなる。
 
 より代表マッチに興味を持たせる目的で創設された大会は、欧州各国に恩恵を与えることになる。公式戦ということで、各国の収益増となり、またFIFAランキングでは係数が上がることで、全体的にポイントもかさ上げされるだろう。一方で、公式戦の増加ということで、疲労などの問題も浮上しているが……。
 
 そして同時にこの大会の創設は、全世界にも影響をおよぼしている。UNLが親善試合に取って代わったことで、欧州と他大陸の国々の対戦機会が激減するのだ。
 
 もちろん、日本も影響を受ける国のひとつだ。強化の上で先進国との対戦は欠かせないが、今後、森保ジャパンが欧州勢と対戦するには、多くのハードルを越えなければならなくなる。
 
 ここでは、それがいかに“長き道のり”となるかを探ってみたい。
 FIFAは2018年については、(ロシアW杯以降に)9月3〜11日、10月8〜16日、11月12〜20日)を国際Aマッチデーと定め、それぞれ各2試合で代表チームが選手を招集できる(所属クラブが招集を拒否できない)としてきた。
 
 この先の日本A代表のスケジュールは前述した通り、10月、11月ともに2試合ずつを国内で試合を行なうことが決定しており、すでにUNLが始まっている欧州各国と対戦することは不可能である。
 
 というのもFIFAの規定では、連続で行なわれる2試合については、同じ地域での開催でなければならない。つまり、欧州でUNLを戦った国は、たとえメンバーを入れ替えたとしても、日本で試合を行なうことは許されないのだ。
 
 欧州勢は9〜11月まで、リーグC(1グループを除く)以下の国は全ての日程がこの大会で埋められ、B以上は4試合とはいえ、全ての月で最低1試合はUNLの試合が組まれているため、日本が彼らに割って入ることは不可能だ。
 
 では、2019年はどうだろうか。FIFAの定める国際Aマッチデーは、3月18〜26日、6月3〜11日、9月2〜10日、10月7〜15日、11月11〜19日となっている。
 
 1月から2月にかけてUAEで開催されるアジアカップに臨む日本は、3、6月のスケジュールは未定。同年7月に2022年カタールW杯のアジア予選の組み合わせが決定するが、こちらの日程もまだ発表されていない。
 
 通常であれば、9月から予選開始となるところだが、カタールW杯は2022年11月に開幕、グループステージの抽選会も同年の4月と、これまでの大会よりも4〜5か月ほど後ろへずれるため、予選開始の時期もこれまでよりも遅くなるかもしれない。
 
 しかし、仮に日本の日程が11月まで空いたとしても、欧州勢は3月からEURO2020予選がスタート(組み合わせは今年12月2日に決定)。11月までに全日程をこなすというハードスケジュールであり、さらに前述した通り、NLのトップリーグ各グループの首位4か国には、6月に決勝トーナメントも控えている。
 
 つまり、2019年も日本と欧州の対決は、きわめて難しいということになる。仮に欧州勢に各月の試合枠に空きがあったとしても、彼らを来日させることは不可能であり、日本が欧州に赴くことが必要となるが、それでも試合が組める保証は何もない。
 
 さらに先を見ていくと、東京オリンピックが開催される2020年。国際Aマッチデーは3月23〜31日、6月1〜9日、8月31日〜9月8日、10月5〜13日、11月9〜17日と定められている。
 
 欧州は3月にUNLの各グループの首位16か国によって、同年6月から7月にかけて開催されるEURO2020への出場権を懸けたプレーオフに臨む。そして秋には、第2回のUNLのリーグ戦がスタート……。
 
 日本もこの頃には、カタールW杯予選は始まっているはずであり、やはり2020年も欧州勢との対決の実現は、かなりハードルが高いかもしれない。
 2021年は、国際Aマッチデーは3月22〜30日、5月31〜6月8日、8月30日〜9月7日、10月4〜12日、11月8〜16日となっている。
 
 通常なら、9月でW杯大陸予選が終了し、10月は大陸内のプレーオフ、11月は大陸間プレーオフとなるが、前述の通り、開催が冬のカタール大会では、まだ日程が発表されていない以上、日本、欧州勢ともに、どこでスケジュールが空くかも未定である(日本がアジア最終予選に勝ち進んでいることが前提だが)。
 
 確決定しているのは、3月に第2回UNLの決勝トーナメントが開催されることだ。これまでなら、もし日本が前年のアジアカップで優勝すればコンフェデレーションズカップ出場となり、組み合わせ次第で欧州勢と対峙できるところだが、FIFAは2017年を最後にこの大会の廃止を発表している……。
 
 最後に2022年だが、この年は国際Aマッチデーの日程等でこれまでと異なる点がある。3月(21〜29日)と9月(19〜27日)はこれまで通りでそれぞれ2試合を戦うことが可能だが、5月30日から6月14日は4試合を戦えることになっている。その代わり、本大会直前の10月は代表ウィークに含まれていない。
 
 欧州勢は3月にUNLの各グループ首位によるプレーオフ(勝者がW杯出場権を獲得)を行なう予定だが、シーズン終了後の5、6月は空いている。4月にW杯本大会のグループステージの組み合わせが決まっており、テストマッチとしてアジア勢との対戦も必要となってくるだろう。
 
 と、ここでようやく日本にとっても、欧州勢と確実に対決できる可能性が高まるのだが、何とも「長き道のり」である……。W杯予選の日程などによってこの状況も変わるかもしれないが、以前よりも実現が難しくなるのは間違いない。
 
 もちろん、国際Aマッチデーに限らず、試合を組むことは可能(自由と言うべきか)だが、ジャパンマネーが猛威を振るっていた時代ならまだしも、現在、W杯本大会直前でもない限り、これに応じる欧州勢はまずないだろう。
 
 また、欧州勢との対決を望むのは日本だけではない。他のアジア勢、あるいは欧州を除く他大陸勢との“競争”に勝って「対決権」を得るには、サッカー協会の交渉力はもちろん、日本代表に関わる人々が持つ人脈も欠かせない要素となるが……。
 
 最後に、次頁以降でこれまで(1992年以降)の日本代表の欧州勢との対戦履歴を記した。年によって差はあり、1試合も組まれなかった年もある。ちなみに欧州勢との対戦が最も多かったのは、日韓W杯が開催された2002年で8試合。続く7試合は、2013、06、04年に記録している。
 
 地理的な問題もあり、元々、欧州勢との対決はそう多くはなく、また長年苦手としてきた南米相手に試合経験を積んだ方が良いという意見もあるが、最高峰のサッカーが存在する大陸と、選手個々だけでなく、代表チームとしてコンスタントに繋がり続けるのは、やはり必要なことだろう。
◇2018年
×2-3 ベルギー(ロシアW杯)
×0-1 ポーランド(ロシアW杯)
6月8日 スイス(N)
×1-2 ウクライナ(N)
 
◇2017年
×0-1 ベルギー(A)
 
◇2016年
○7-2 ブルガリア(H)
×1-2 ボスニア・ヘルツェゴビナ(H)
 
◇2015年
なし
 
◇2014年
○1-0 キプロス(H)
△0-0 ギリシャ(ブラジルW杯)
 
◇2013年
○3-0 ラトビア(H)
×0-2 ブルガリア(H)
×3-4 イタリア(コンフェデ杯)
×0-2 セルビア(A)
×0-1 ベラルーシ(A)
△2-2 オランダ(N)
○3-2 ベルギー(A)
 
◇2012年
○3-1 アイスランド(H)
○2-0 アゼルバイジャン(H)
○1-0 フランス(A)
 
◇2011年
△0-0 チェコ(H)
 
◇2010年
×0-3 セルビア(H)
×1-2 イングランド(N)
×0-1 オランダ(南アフリカW杯)
○3-1 デンマーク(南アフリカW杯)
 
◇2009年
○5-1 フィンランド(H)
○4-0 ベルギー(H)
×0-3 オランダ(A)
○2-0 スコットランド(H)
 
◇2008年
○3-0 ボスニア・ヘルツェゴビナ(H)
 
◇2007年
○2-0 モンテネグロ(H)
△0(3PK4)0 オーストリア(A)
○4-3 スイス(N)
 
◇2006年
○2-0 フィンランド(H)
△2-2 ボスニア・ヘルツェゴビナ(N)
×1-2 ブルガリア(H)
△0-0 スコットランド(H)
△2-2 ドイツ(A)
○1-0 マルタ(N)
△0-0 クロアチア(ドイツW杯)
 
◇2005年
○1-0 ギリシャ(コンフェデ杯)
△2-2 ラトビア(A)
×0-1 ウクライナ(A)
 
◇2004年
×2-3 ハンガリー(A)
○1-0 チェコ(A)
○3-2 アイスランド(N)
△1-1 イングランド(A)
○3-1 スロバキア(H)
○1-0 セルビア・モンテネグロ(H)
×0-3 ドイツ(H)
 
◇2003年
×1-2 フランス(コンフェデ杯)
△1-1 ルーマニア(A)
 
◇2002年
○1-0 ウクライナ(H)
○2-0 ポーランド(A)
○1-0 スロバキア(H)
×0-3 ノルウェー(A)
△1-1 スウェーデン(H)
△2-2 ベルギー(日韓W杯)
○1-0 ロシア(日韓W杯)
×0-1 トルコ(日韓W杯)
 
◇2001年
×0-5 フランス(A)
×0-1 スペイン(A)
×0-1 フランス(コンフェデ杯)
○1-0 ユーゴスラビア(H)
△1-1 イタリア(H)

※H=ホームゲーム、A=アウェーゲーム、N=中立地、公式戦の場合は大会名
◇2000年
△2(2PK4)2 フランス(N)
△1-1 スロバキア(H)
 
◇1999年
△0-0 ベルギー(H)
 
◇1998年
△0-0 チェコ(H)
×0-1 ユーゴスラビア(N)
×0-1 クロアチア(フランスW杯)
 
◇1997年
×0-1 スウェーデン(N)
○4-3 クロアチア(H)
○1-0 トルコ(H)
 
◇1996年
○5-0 ポーランド(N)
△1(4PK5)1 スウェーデン(N)
○1-0 ユーゴスラビア(H)
 
◇1995年
△0-0 スコットランド(H)
×1-2 イングランド(A)
△2-2 スウェーデン(N)
 
◇1994年
×1-4 フランス(H)
 
◇1993年
×0-1 ハンガリー(H)
 
◇1992年
×0-1 ウェールズ(H)

※H=ホームゲーム、A=アウェーゲーム、N=中立地、公式戦の場合は大会名