前評判が高かった清水の現状は?新システムを採用した開幕戦の出来を徹底検証

前評判が高かった清水の現状は?新システムを採用した開幕戦の出来を徹底検証


【J1リーグ1節】広島1−1清水/2月23日(土)/Eスタ
 
 アウェーでの開幕戦は1−1のドローに終わった清水。昨季2位の広島の本拠地で、エースの北川航也が良い形で先制点を奪ったこと、3−4−2−1の新システムでの初戦で守備が大崩れしなかったことを考えると、悪くない結果だったと言えるだろう。
 
 ただ、シュート数が5本:14本と大きく差をつけられ、押し込まれて苦しむ時間が多かったのも事実。「勝点1を取れただけ」(河井陽介)という声もある中で、どんな成果や課題が見えたのか、新システムの手応えを中心に振り返ってみたい。
 
 まず攻撃に関しては、1トップ2シャドーというのは、昨年にヤン・ヨンソン監督が就任してから初めての形。1トップが北川で、金子翔太が右シャドー、新加入の中村慶太が左シャドーを務めた。その中で中村は、長崎でこの形に慣れているので、清水での初の公式戦とは思えないほどノビノビと持ち味のドリブルを効果的に繰り出し、攻撃にアクセントを加えていた。本人も「楽しく、迷いなくプレーできた」と言う。
 

 また30分の先制点の場面では、前の3人が見事な連係を見せ、最近「シュートは7割(の力で)」とよく言っている北川も、その言葉通りGKの動きを見ながら左足で冷静に右ポスト際に決めた。以上の2要素は、チームにとって大きな収穫と言える。
 
 ただ、北川は1トップにまだ不慣れで、金子は気が利く選手である分、守備から攻撃まで多くのことをやろうとしすぎて逆に良さを出し切れていない印象もあった。そのあたりは、もう少し整理や慣れが必要だろう。
 
 前線からの守備に関しては、前の3人で積極的にプレッシャーをかけていくという姿勢も見せたが、プレスを外された時に「ボランチの脇が空いてしまう」(金子)という一面もあり、そのスペースを広島に使われたシーンも目立った。金子は「今回は前から行って意図的にボールが取れたシーンもあったけど、行く時と行かない時の使い分けも大事ですね」とも振り返る。
 
 そのあたりは3バックの課題とも絡んでいる。右からヴァンデルソン、立田悠悟、ファン・ソッコと並ぶ3バックは、高さも含めた対人プレーでリーグ屈指の強さを発揮し、そのポテンシャルの片鱗は開幕戦でも十分に見えた。ただ、広島の1トップを3人で見るのは効率が悪く、「後ろの3人がもう少し前に出ていく押し出しがあっても良かった」とヤン・ヨンソン監督は課題を口にする。立田も「3バックの1枚が前に行っても周りがカバーできるので、そこはビビらずにもっとアタックしたほうがいいという話をしています」と語る。ボランチ脇のスペースを相手に使われないようにするには、3バックの積極的なチャレンジとカバーという面も課題となってくる。
 
 また相手に押し込まれた時は、最終ライン5枚、中盤4枚のブロックを作るため、前線は北川1枚になる。その際「ボールを奪った後に、ひとつ目のボール(パス)をどこに持っていくのかというのが、まだ明確になってなかった」(河井)という面があり、前で孤立する北川もキープしきれず、すぐに奪い返されてしまう状況が目立った。そこも今後に向けての課題となる。
 
 その意味では、翌日(24日)の練習試合で2トップ(3−5−2)の形も試しており、それも今後のオプションのひとつになる可能性がある。
 
 そうした課題がいくつか表われたため、押し込まれた状況からなかなか抜け出せない時間帯もあった。そして攻め続けられた中で、クロスボールを跳ね返したセカンドボールからエミル・サロモンソンに豪快な同点ボレーを決められてしまった。
 
 クロスを跳ね返すという面に関しては、パトリックに危険なヘディングをされた1回以外は問題なかったが、「(失点シーンは)うちのラインは7人ぐらいが一直線になっていた」(金子)とセカンドボール対応には課題が残った。
 
 ボランチの河井も「みんな守備の意識が高くて(ゴール前に)戻れてはいるけど、どのポジションに入るかという部分は少し修正が必要。そこが明確になってくれば、もっとうまく守れると思います」と言う。

 細かく見れば他にもさまざまな要素が上げられるが、開幕戦で見えた新システムの手応えと課題は上記が主なところ。新たな試みなので細かい課題は多いが、そこは監督も選手たちも十分に把握しており、修正もそれほど困難ではなさそうだ。
 
 また、怪我で開幕戦を欠場したエウシーニョが右ウィングバックに戻ってくれば、ポゼッション力も攻撃のバリエーションも向上するはず。元々エウシーニョをより生かすことが新システムの狙いのひとつなので、彼が復帰した時にどんな効果が生まれるかが楽しみだ。
 
 昨年と同様、自分たちの良さを出せるスタイルを戦いながら少しずつ作り上げていくという前提で考えれば、けっして悪くないスタートだったと言えるのではないだろうか。
 
取材・文●前島芳雄(フリーライター)


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