「行けと言われれば…」百戦錬磨の鹿島・内田篤人がFC東京との大一番を前に語ったこと

「行けと言われれば…」百戦錬磨の鹿島・内田篤人がFC東京との大一番を前に語ったこと


「変に意識しないほうがいい。普段どおりがいちばん大事」

9月14日に行なわれる首位・FC東京との直接対決を前に、鹿島アントラーズのキャプテン、内田篤人は泰然としていた。練習中の振る舞いも、練習後、グラウンド脇のベンチに座り、チームメイトやスタッフらと談笑するようすもふだんとまったく変わらなかった。

Jリーグ史上初の3連覇に貢献し、欧州5大リーグのひとつであるドイツのブンデスリーガや欧州チャンピオンズリーグ、ワールドカップといった世界のひのき舞台で戦ってきた内田だけに、緊張感漂う試合はいわば“慣れっこ”でもあるのだろう。

「相手のことをどうこう考えすぎるより、まずは自分たちのやるべきことを普段どおりにやる。それができれば、いい結果につながっていくと思うから」

 大一番へのもっていき方を心得る内田が幾度となく繰り返したのが“普段どおり”という言葉だった。

 3年ぶり9回目のJリーグ制覇を狙う鹿島にとって、25節のFC東京戦は雌雄を決する一戦といっても過言ではない。勝点差は4。つまり、鹿島が勝利しても順位をひっくり返すことはできないが、逆転優勝に向けて、ここで引き離されるわけにはいかないのだ。
 
 どこに勝機を見出しているのか。
 
「過密日程のなかで、(Jリーグ、ACL、ルヴァンカップと)試合が続いたけれど、いろいろな選手が出て、うまく乗りきることができた。ユキ(伊東幸敏)や(中村)充孝、自分も含め、怪我人が戻ってきて、チームとしての幅が大きくなった。トレーニングの質だったり、雰囲気だったり、すごくいい流れできているので、チームみんなで戦うというこの状態を生かしていきたいね」
 
 5節のジュビロ磐田戦で負傷した内田は、長期離脱を余儀なくされていたが、8月14日の天皇杯に交代出場。9月1日の清水戦では、およそ5か月ぶりにJリーグのピッチに立った。スタメン出場はまだ果たせていないものの、少しずつベンチ入りする試合が増え、完全復帰に向けて着実に前進している。
 
 ルヴァンカップ準々決勝の浦和戦では、ベンチを飛び出し、そのままピッチに入ってしまうのではないかと思うくらいの勢いで、チームメイトに声をかける姿が見られた。

「チームを鼓舞しようとか、そんな気持ちじゃなくて、(試合が)目の前でやっているんでね。危ないスペースが見えたりするから、“そこ、気をつけて”って近くの選手に伝えているだけ」と内田本人はあっさりしているが、この言葉を額面どおりには受け取れない。

 なぜなら、ピッチのなかの仲間とともに戦うんだ――。そんな強い思いがひしひしと伝わってくるからだ。

「俺だけじゃなく、ソガさん(曽ケ端準)とかもそうだけど、ベンチに座っている選手がどう試合に絡んでいけるか。そこはね、すごく大事だから。練習の時から“みんなで”というのは意識している」

今季、まだ“四冠”の可能性を残す鹿島にとって、ここからが正念場だ。

 Jリーグの首位攻防戦となるFC東京戦だけでなく、その4日後にACL準々決勝の広州恒大(中国)戦、そこからさらに1週間後には天皇杯ラウンド16の横浜F・マリノス戦と、重要な試合が控えている。

「行けと言われれば、いつでも行ける準備はしている」

 百戦錬磨の内田の知恵と経験はやはり欠かせない。満を持しての出番は、果たしていつになるのだろうか。

取材・文●小室功(オフィスプリマベーラ)
 


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