森保Jは停滞期に入っていないか?とりわけ無風状態の両サイドバックで試してほしい人材たち

森保Jは停滞期に入っていないか?とりわけ無風状態の両サイドバックで試してほしい人材たち


 11月14日のキルギス戦は、何度も危険なシーンを作られながらもGK権田修一が素晴らしい反応で失点を許さず、2−0で勝利した。これでカタール・ワールドカップ・アジア2次予選は対戦相手のレベルもあるが4試合連続完封勝利。今年最後となる2次予選の試合をしっかりと締めた。

 センターラインの軸は吉田麻也、柴崎岳、大迫勇也らでしっかり固まっている。ただ、彼ら以外の各ポジションは攻撃陣をはじめ、今もなお激しいレギュラー争いが繰り広げられている。キルギス戦では中嶋翔哉がスタメンから外れ、ボランチの柴崎のパートナーも今回は遠藤航がスタメンだったが、途中から山口蛍が出場し、これからもベストカップリングを探していくことになるだろう。その中で、やや無風のポジションがあるのが気になる。左右のサイドバックだ。

 森保一が日本代表の監督になってからキルギス戦で20試合目になるが、主要な試合であるアジアカップでは7試合中6試合、そして9月にワールドカップ・アジア2次予選が始まってこのキルギス戦まで4試合すべて左SB長友佑都+右SB酒井宏樹のセットがプレーしている。

 それ以外の試合では室屋成、佐々木翔、安西幸輝、西大伍などがプレーしていたが、彼らの出場は親善試合とアジアカップでわずかに1試合(佐々木+室屋)のみで、ワールドカップ・アジア2次予選ではまだ出場機会を得られていない。大事な試合は長友+酒井のセットが独占状態だ。キルギス戦も室屋、安西、佐々木がメンバーに入っていたが、バックアップの域を出られず、今後もおそらく長友+酒井がファーストチョイスになっていくのだろう。

 長友は、ワールドカップでは10年の南アフリカ大会から3大会連続でレギュラーを務め、酒井は18年のロシア大会で主力としてプレーした。そして、森保監督の日本代表においても主軸となりえるだけの経験と素晴らしいパフォーマンスを見せている。実力があるから起用されるわけで、彼ら二人に問題はない。

 だが、このままの状態がいいとは思わない。

 ベテランの域に入る彼らも下の世代の突き上げがあることで、さらに成長していけるはずだが、今のところそういう環境にはない。今のままでは彼らにとって日本代表は“現状維持”になり、それではカタール・ワールドカップ本大会になってからのパフォーマンスが心配になる。世界はどんどん進化しているので、それに対応していくためには年齢に関係なく成長が欠かせないのだ。

 ザッケローニ監督、ハリルホジッチ監督時代には酒井高徳がレギュラーを脅かすポジションにおり、二人ともうかうかしていられない状況だった。半端なプレーをしたら入れ替わられるという危機感がふたりの成長を促したのは、間違いないだろう。

 また、ふたりが故障して、離脱した場合はどうするのか。来年からは最終予選が始まるので、そういうリスクがゼロではないのだ。今、二人を脅かす存在がいないと嘆いても仕方がない。
 攻守に優れたサイドバックはそう簡単に生まれてくるものではないし、森保監督の好みもあるだろうが、黙って指をくわえて時間をやり過ごしていくわけにもいかない。

 いないなら大胆に試していくしかないだろう。

 次のベネズエラ戦、そして12月にはEAFF E−1(東アジア選手権)という大会がある。とりわけE−1は来年のワールドカップ最終予選に向けて選手を試すには絶好の大会だ。海外組が招集できないので、必然的に国内組中心になる。ザッケローニ監督の時も2013年の東アジアカップで若手選手を試し、ここから森重真人、山口蛍らが代表にすくい上げられ、最終的にブラジル・ワールドカップのメンバー入りを果たし、主力選手に成長している。

 現在、メンバーにコンスタントに入っている選手はもちろん、新しい選手をどんどん試してほしい。今回、初招集した進藤亮佑(札幌)、あるいは左利きの松原后(清水)、永戸勝也(仙台)、東京五輪世代からも岩田智輝(大分)、原輝綺(鳥栖)らの起用があってもいい。進藤や松原らが出場チャンスを得ることができれば、目の色を変えてポジションを取りにいくだろう。そういうギラギラした存在感がチームをより活性化していく。

 キルギス戦を見ているとチームは高い完成度を見せたアジアカップから少し煮詰まっているというか、停滞期に入っているように見える。ここに大迫や久保建英、冨安健洋がいないからとかではなく、そういうムードはなんとなくチームの戦いから感じられるものだ。

 森保監督の選手選考には、それぞれのポジションに確固たる軸があり、特に最終ラインは守備に対する要求が高いので攻撃的なサイドバックの選手にはハードルが高い。

 だが、無風聖域をなくしていくことでチームはさらに成長していける。まだ声がかからない選手は無風域に大きな風波を起こすようなプレーを見せてほしい。今の日本代表をより強くさせるためには、そういう選手たちによる突き上げと新陳代謝が常に必要だ。

取材・文●佐藤俊(スポーツライター)


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