9月26日に開幕したアミノバイタルカップ2020年関東大学サッカートーナメント。通常であれば、これは夏の総理大臣杯の関東代表チームを決める大会であったが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて、総理大臣杯が中止となったことで、従来の形はなくなった。

 関東大学サッカー連盟は応急処置として、1月に開催がずれたインカレの代替大会となる全国大会(名称は未決定)の関東予選の位置付けとして、アミノバイタルカップを開催することになった。出場チームは1部・2部の全24チームに加え、プレーオフを勝ち抜いた8チームの合計32チームがトーナメント形式で戦い、上位5位までに全国大会の出場権が与えられるというレギュレーションだ。

 現時点で決勝は早稲田大vs流通経済大となり、3位決定戦は日本大vs東洋大、5位決定戦は立正大vs東海大となった。結果だけを見ると、上位4チーム中、早稲田大以外が2部チームで、5位決定戦も1部vs2部と波乱の大会となっている。

「この大会に懸ける思いがどの大学もとてつもなく強いものがあると感じます」

 こう語るのは早稲田大の3年生エースストライカー・加藤拓己だ。決勝進出を果たし、全国大会出場権は手にしたものの、早稲田大は1回戦から苦戦の連続だった。1回戦は埼玉県1部リーグの城西大に2−1、2回戦は関東2部・立教大の堅い守備をこじ開けられず、延長戦を含めた120分を戦い抜いてスコアレスドロー。PK戦の末に辛勝を収めた。準々決勝の関東1部・立正大戦も相手の5バックのブロックを打ち崩せずに苦戦したが、後半にFW倉持快が自らのシュートのこぼれに反応した相手DFのクリアボールを足でブロック。そのボールがそのままゴールに吸い込まれるという、執念のゴールで1―0の勝利。ここで出場権獲得に成功した。

「この間の立教大の気迫は凄まじかったし、城西大もやりにくかった。立正大も同じ1部ですが、リーグ戦の時とは全然違う戦い方で何がなんでも勝利を掴みに来た印象でした。参加のチームの熱量がこれまでと全然違うんです」

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 通常のアミノバイタルカップは6月上旬に行なわれるが、今回は9月下旬からのスタート。4年生にしてみれば残りの大学サッカーの期間はわずか4か月。しかも今年は前述した通り、コロナ禍でプロの練習に参加出来ず、進路がまだ決まっていない4年生が多く、3年生からしてみても、アピールの場が大きく奪われてしまったことは間違いない。

 それだけに1月まで公式戦を戦えるメリットはとてつもなく大きい。しかも、全国大会という舞台だ。それが関東2部や地域リーグのチームであれば、なおのこと大きなアピールのチャンスを掴むことができる。ゆえに下克上を果たして将来の道を切り開くためにも、より勝利を欲して臨んでくる。さらに加藤はこう続ける。

「対戦相手の選手はもちろん、視察に来ているスカウトの方の目の色も違うというか、本当に異様な雰囲気でした。早稲田大でもキャプテンの鍬先(祐弥)選手がこの大会にかける想いは一際強くて、懸けている気持ちがひしひしと伝わってきた。僕もそうですが、プロの練習に参加できない分、もう試合でアピールするしか僕らに道はない。僕ら1部の人間からすれば、1月までアピールできるのは大きいし、2部以下の人間からすれば、上のカテゴリーを倒していくことで評価も一気に上がる。城西大、立教大だけではなく、他の山を見ても2部が1部を倒しているので、本当にいつもとは全く違うし、『何がなんでも』の強い覚悟を持った選手が輝く大会になっていると思っています」

 出場が決まった4チーム、残りひとつの座を争う決戦を11月3日に控える立正大と東海大の2チームにとっては、モチベーションがさらに上がっている状態にある。異例のスケジュールで行なわれているアミノバイタルカップ。アピールする場に飢えている選手たちの将来に向けた本気度が前面に出た大会になっているのは間違いなさそうだ。

取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)

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