クリスティアーノ・ロナウド公認の直筆サイン入りコレクションをプロデュースするサッカーメモラビリア専門ブランド『ザ・ダグアウト』。なぜ日本の会社が世界で類を見ない多彩なラインナップでファンを魅了するのか。その強みに迫る――。

 博物館を彷彿とさせる東京・南青山のショールームで、代表取締役の伊藤大也氏に話を聞いた。エントランスでは「To My Japanese Friends – C. Ronaldo」と書かれた直筆サイン入りのパネルが出迎えてくれた。ここでしか見られない愛情を感じさせるメッセージだ。

「地道な信頼の積み重ね。2005年から販売していますから」と伊藤氏。C・ロナウドのメモラビリアは世界ナンバーワンのラインナップだという。

■17歳でオンラインショップを立ち上げ

――よほどの関係がないとこれだけ揃えられないと思います。C・ロナウドとの繋がりは。

「2005年、ご本人がまだ20歳の頃、代理人へアプローチして取引を開始しました。当時から真贋が不明瞭なサインが広く出回っていて、公認商品の必要性を訴えました。インターネット普及初期でECサイトも少なかった頃、極東の専門サイトは目を引いたのかもしれません。今では面会イベントも国内外で実施しています(現在は受付中止)」

――起業された経緯を。

「サッカー選手の直筆サイン入りユニフォームを飾りたいと思ったとき、安心して購入できる場所がなかったのがきっかけ。17歳でオンラインショップを立ち上げ、今に至ります」

――高校生ですよね。資本金の工面は。

「14歳の時にベッカム選手のファンサイトBECKHAM7.tvを設立し、そのスポンサー収入を充てました。月間300万PVを記録し、アディダス公認のサイトにも認定されました。当時、世界で最も有名なベッカム選手のサイトだったと思います」

■自宅観戦を唯一無二の環境で

――ザ・ダグアウトの名前の由来を教えてください。

「“特別な場所/環境”という意味です。サッカースタジアムにいい席はたくさんあります。迫力の最前列、一体感あるゴール裏、見晴らしの良い2階席など。でも選手を身近に感じられ、より特別な気持ちに浸れるのはダグアウト付近だと感じたからです。スタジアムに行けなくとも、メモラビリアを飾ることでそれに準ずる環境を整え、自宅観戦を楽しんでもらいたいと思いました」

――たしかにメインスタンド中央は高額なイメージです。

「実際、調べてみると世界の主要スタジアムで最高額の席はダグアウト付近でした。見晴らしだけならバックスタンドにも同様の席があります。やっぱりプラスアルファがあるんだと感じました」
 
■全工程を行う自社一貫体制の強み

――見るだけでも楽しめる博物館のような空間ですが、これを実現できる企業としての強みはなんですか?

「弊社はメモラビリア分野における企画、制作、販促、販売の全工程を行う自社一貫体制を敷くことで、多様なラインナップを展開しています。具体的には、選手のプロパティを使用し独自のコレクションを発表するブランドとしての側面と、専門性を活かした商社としての側面も併せ持つほか、額装事業の一部インハウス化でタイムリーに高品質なアイテムを提供する仕組みを実現しました」

――高尚な絵画を思わせるアート作品の数々は圧巻の一言につきます。

「スポーツアイテムはカジュアルなものが多く、大人でもスタイリッシュに飾れるものが少ないため始めました。表面的なデザインだけでなく、その選手独自の魅力やピッチ上で体現される価値観を反映できるよう努めています。有難いことに選手からも好評で、ロナウド選手も何点か持って帰られています」

■メモラビリアを通じてポジティブな価値を共有

――伊藤さんにとってメモラビリアとは?

「“人生の教訓のリマインダー”です。スポーツが教えてくれる生きる上で大切な価値観や考え方を思い出させてくれるものだと思います。急がしい毎日で忘れてしまいがちですが、アスリートのたくましい足跡や勇姿を感じさせるメモラビリアに触れることで、前向きに生きるエネルギーを与えてくれます。先行きが不透明な混沌とした時代にこそ、レジェンドの生き様は光を照らしてくれと思っています」