[#atarimaeni CUP決勝]東海大1-0法政大/1月23日(土)/味の素フィールド西が丘

 まさに大快進撃というべきか、神奈川県リーグ1部に所属する東海大が5度目の全国制覇、県リーグ勢としては初の全国大会優勝を飾った。

 大学サッカーの1年を締めくくる『#atarimaeni CUP サッカーができる当たり前に、ありがとう!』。この大会は新型コロナウィルス感染症拡大の影響で中止となった総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント、全日本大学サッカー選手権(インカレ)の2大会の代替大会として行なわれた。そして今季唯一の全国大会の決勝は、関東第7代表の法政大と関東第9代表の東海大のカードとなった。

 冒頭で触れた通り、東海大は2019年、関東大学サッカー2部から神奈川県リーグ降格という大きな屈辱を味わった。だが、2020年シーズンは1年で県リーグを制し、昇格戦も勝ち切って1年での関東2部復帰を手にした。とはいえ、現時点での立ち位置は県1部リーグ。相手の法政大は関東1部でかつ4年連続の全国大会ファイナリスト。2カテゴリー上のまさに格上の相手との対戦となった。

 試合は立ち上がりから、Jリーグ内定選手7人(GK中野小次郎=札幌、CB森岡陸=磐田、城和隼颯=群馬、左SB高木友也=横浜FC、右SB関口正大、左SH長谷川元希=甲府、FW平山駿=北九州)がピッチに立つ法政大が攻勢に出る。

 成長著しい田部井涼と松井蓮之の3年生ダブルボランチを中心に、テンポの良いパス回しから主導権を握ると、開始早々に右からのクロスを長谷川がヘッドで折り返し、松井が狙うがバーの上。18分には連続攻撃から松井のクサビを受けた関口がカットインしてシュートを放つが、これは東海大が身体を張ってブロックし、難を逃れた。

 その後もポゼッションで上回る法政大だったが、キャプテンの米澤哲哉と佐藤颯人のCBコンビを軸にした4-4-2の強固な3ラインがアタッキングサードでの自由を奪い続けたことで、法政大がゴールをこじ開けられないまま、前半をスコアレスで折り返した。

 後半も法政大は攻め手を緩めない。52分に竹本大輝の右からのクロスを長谷川がジャンピングボレーで狙うが、東海大の右SB水越陽也が躊躇せずにシュートブロックに行ったことで、ミートしきれず。

 東海大はボールを回されることは想定済みで、セカンドボールの回収を怠らないように全員が距離感を共有しながら鋭い出足でボールに迫った。ポゼッションや全体の揺さぶりは法政大の方が上だったが、東海大は要所では相手に自由を与えない。それだけでなく、ただ防戦一方にならないように常にカウンターを狙い、シュートまで持ちきれなくても敵陣深い位置でプレーが終わるように積極的なアップダウンをやり続けた。

「前半は前からプレスに行こうとしたけど、どんどん剥がされてしまった。でも、前から行くことをやめずに、帰陣を早くして4-4-2を整えることを意識した。後半はハーフタイムでみんなと話し合って修正をして、連動してプレスをすることができたことで自分たちの時間帯が来ると思っていた」と栃木内定の左サイドバック、面矢行斗が語ったように、東海大は崩れることなく、やるべきことを遂行。だからこそ、ようやく訪れた自分たちの時間帯を逃さなかった。

【#atarimaeni CUP決勝PHOTO】法政大学0−1東海大学|水越が起死回生の決勝ゴール!1点を死守した東海大が20年ぶりの全国大会優勝!
 試合の流れの転換期となったのは、68分のプレーだった。東海大はカウンターからMF丸山智弘の縦パスを受けたFW武井成豪が右サイドをドリブル突破し、右CKを獲得。このCKから2度のCKとロングスロー1回でゴール前に迫り、ボールを法政大陣内に押し留めた。

 そして72分、左CKを一度はヘッドでクリアされるが、こぼれ球をすかさず左MFの高田悠が拾い、右サイドのスペースにドリブルを仕掛ける。高田はマークにきた長谷川を鋭い切り返しで交わすと、ペナルティエリア内に浸入して、左足シュート。GK中野が弾いたボールを水越が滑り込んで豪快に蹴り込んだ。

 自分たちの時間帯になったタイミングを逃さずに波状攻撃を仕掛け、ついに法政大のゴールをこじ開けた。

 直後のキックオフから法政大も決定機を作った。ハーフライン付近でボールを受けた長谷川が、背後に抜け出した途中出場のFW佐藤大樹へ浮き球のスルーパス。これを佐藤がDFふたりに囲まれながらも滑り込んで左足でシュート。ボールはゴール右ポストを強襲し、跳ね返りをGK宮﨑浩太朗がガッチリと抑えた。

 この4分間が勝負の行方を完全に左右した。この決定機を皮切りに法政大は再び東海大を押し込むも、83分に左CKからペナルティエリア内で途中出場のMF服部剛大がフリーでシュートを放つが、これは3人がかりでシュートブロック。86分、右サイドで途中出場のFW飯島陸が粘った折り返しを、佐藤がフリーで狙うが、枠を捉えきれず。最後まで東海大の堅い守りをこじ開けられないまま、試合はタイムアップの時を迎えた。

「予想通り質の高い攻撃を持っていて劣勢になることは予想していたが、それを遥かに上回る劣勢に追い込まれて、技術とスピードに前半は慣れることができなかった。でも、後半から我々の持ち味である守備とカウンターでペースが変わって1点取って守り切った。東海大が勝てるとしたらこういうパターンという試合をやってくれたと思います」

 試合後、20年前に東海大の指揮を執って総理大臣杯優勝を果たし、今年監督に復帰をした今川正浩監督が口にしたように、東海大はまさに必勝パターンを全員の力で引き寄せた。

 県1部からの下克上は見事に全国制覇という形で完結した。今大会、関東1部王者の明治大から順天堂大、そして法政大と1部の強豪を次々となぎ倒した。その実力が本物だったことを自らの力で証明してみせたのだ。

 1点を争う白熱の攻防戦となった決勝を含め、「サッカーができることが当たり前ではないと思った」と敗れた法政大の高木が語ったように、全ての大学チームがそう思いながら真剣に戦い、最後は東海大が栄冠に輝いた。すべての選手、スタッフ、そして大会開催に尽力した学連を筆頭とする関係者の方々に、心からリスペクトの気持ちを込めて決勝レポートを締めたい。

取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)

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