来季からの横浜F・マリノス入りが内定し、昨季はすでにリーグデビューも飾った筑波大の4年生・角田涼太朗は今、何を見つめているのか。話を聞くと、そこには筑波大の一員としての誇りと横浜F・マリノスへの想いに溢れた言葉が返ってきた。

「もちろんマリノスの試合はチェックしていて、左利きのセンターバック(CB)として何ができるかをイメージしながら観ていて、早く貢献したいと思っていますが、今は筑波大のために全力を尽くしたいという気持ちが強いです」

 筑波大では3バックの左、4バックの左CBとしてプレー。相手に応じたシステム変更をするチームにおいて、頭脳的なポジショニングとカバーリング、そして高性能かつ多彩な左足のキックを駆使して、戦術的な要衝となっている。

 だが、関東大学リーグ1部では3勝3敗と波に乗り切れず、目指していた天皇杯では茨城県決勝でライバルの流通経済大に敗れ、出場を逃した。筑波大が関東1部リーグを制したのが2017年、インカレは2016年、総理大臣杯に至っては1992年まで遡らないといけない。

 だからこそ、「僕が入ってから一度もタイトルを取っていないので、最後のこの1年にかける思いは強い」と言うのもうなずける。
 
 自らの望みを叶えるためには、当然自分のレベルアップは必要不可欠。「来年のプロ生活スタート時に戦力になっているために、普段から個人の成長に目を向けている」と語るように、大学に入ってからは自らの走りを科学的に分析し、専門知識を学びながら、スプリントの質を磨いた。すると「着実にスピードは増している」と手応えを感じるように、カバーリングのスピードや攻撃参加のスピードも格段に向上した。

 それを証明したのが3月のデンソーカップチャレンジ熊谷大会だ。関東A選抜の一員として決勝戦で左サイドバック(SB)として出場すると、左足のサイドチェンジや縦パス、そしてクロスでチャンスを演出する一方で、スピードに乗ったオーバーラップとインナーラップで何度もゴールに迫るなど、前への推進力の凄まじさを見せつけた。

 そして今季のリーグ戦でも前述したように左CBとして、鋭い出足のインターセプトから果敢な攻撃参加を見せて攻撃に厚みをもたらすなど、攻守への関わりは昨年以上に深くなった印象を受ける。

「CBも左SBも僕にとっては楽しくプレーできるポジションだと思っています。今はCBをやる機会が多いので、駆け引きの多さや責任感の大きさを感じることができて、CBとしてのプレーを楽しんでいます。でもSBをやれと言われたら、すぐに頭を切り替えられる自信はあるし、海外やA代表など将来を視野に入れた時はどちらもできることはプラスに働くと思うので、そこはどちらも高いレベルでこなせるように意識をしています」
 その一方で高校時代は将来のことを考え、J2の2クラブからの正式オファーを断って筑波大に進学したように、きちんとより先のことまで考えている。

「プロ内定はいただいていますが、将来的には教師になりたいとも思っているので、そこも大事にしていきたいと思っています」と、今月下旬からは茨城の中学校での教育実習を控えている。きちんと実習をこなして、教員免許も取得した上で、筑波大でのタイトル獲得と即戦力となるように、これまで同様に文武両道で自己研鑽に努めようとしている。
 
「大学リーグで圧倒的な存在になりたいし、それを言うからにはチームが勝たないと説得力がない。自分がチームを勝たせる存在になることが今の僕の一番の思いです。それが具現化できて、前期できちんと勝点を重ねておけば、後期にマリノスでチャンスが来るかもしれない。全ては自分で自分の可能性を広げていきたい。そう言う思いですべてに全力で取り組んでいきたいと思っています」

 希少価値の高い左利きのCB、左SBとして将来的にA代表入りを目指すとともに、さらにその先には立派な教師になるという目標がある。将来の姿をしっかりと見据えながら、角田は一歩一歩を着実に踏みしめて進もうとしている。

取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)