A代表、ガーナ、ジャマイカ戦の3試合の選考マッチを終えて、東京五輪登録メンバー18名の顔が見えてきた。

 ガーナ戦は、仮想南アフリカということもあり、チームの主力メンバーが出場した。選考がかかる場合、重要な試合には主力組で臨むのが定石だ。そういう意味でもガーナ戦でスタメン出場したGK谷晃生、DF酒井宏樹、吉田麻也、冨安健洋、中山雄太、MF遠藤航、田中碧、久保健英、相馬勇紀、堂安律、FW上田綺世の11人は、相手の力がどうあれ6-0と結果を出したので、選出されるのは間違いない。

 彼らがファーストセットになるわけだが、残りはGK1名、フィールドプレイヤー6名になる。

 過去、シドニー五輪から前回のリオ五輪まで、18名の内訳を見てみると、シドニー五輪がGK2名―DF5名―MF8名―FW3名、アテネ五輪は2−5−7−4、リオ五輪が2―6―7―3、北京五輪、ロンドン五輪は2−6−6−4の構成だった。

 今回は、おそらくFW枠が減ると思われる。

 予想としては、2−6−8−2になるのではないだろうか。

 このチームの中核はMFで中盤の選手が点を取る役割を果たしている。圧倒的なストライカーで勝負するチームスタイルではないので、FWはポストタイプ、カウンター狙いでスピードの特徴がある選手がそれぞれ1名ずついれば、残りを中盤や守備の選手に人数を割ける。

 ファーストセットの選手を各ポジションの人数枠に当てはめると残りはGK1名、DF3名、MF2名、FW1名になる。

 誰がその7名に入るのか。
 
 それは、ガーナ戦での選手交代の順番からある程度、読み取れる。交代順がイコール選手のプライオリティの高さを表わすものであるからだ。

58分、冨安―板倉滉、相馬―三笘薫。
67分、上田―前田大然、堂安―食野亮太郎
78分、久保―旗手玲央
84分、中山―古賀太陽

 ただ、単純にこの交代枠の6名が登録メンバーに滑り込むのかというとそうとは言い切れない。早い時間に交代した選手が優位なのは間違いないが、全体のメンバー構成を見ながら考えていく必要がある。

 GKは残り1枠だが、ジャマイカ戦で活躍した鈴木彩艶が有力だ。後半45分のプレー時間だったが、A代表戦で45分ずつのプレーに終わった大迫敬介、沖悠哉よりもプライオリティが高いことが見てとれる。

ジャマイカ戦のフォーメーションは?
 CBの控えとしては、ガーナ戦で冨安に代えて本職の町田浩樹ではなく、板倉を出したところにポイントがある。板倉はボランチも兼ねており、センターバックもサイドバックもできる。高レベルでのユーティリティ性を求めるチームにとっては非常に重要な存在だ。したがって、板倉はほぼ違いなくメンバー入りするだろう。

 また、冨安が怪我のために離脱したが、代わりに瀬古歩夢が招集された。

 ジャマイカ戦だけの状況でしかも町田がいるのでセンターバックの人数は足りているが、このタイミングでの招集は単なる追加招集とは考えにくい。もともと瀬古はアルゼンチン戦でも好プレーを見せており、評価が高かった。実際、ジャマイカ戦では後半から出場し、得意の精度の高いフィードを見せる機会はあまりなかったが守備は非常に安定していた。3バックに変更しても吉田、冨安、瀬古で対応できる。

 中2日の過密日程で決勝まで6試合を戦うことを考えると、センターバックが無傷でいられる可能性が少ない。冨安の怪我の状態が気になるが、万全ではないのであれば過密日程も考慮し、瀬古が選出される可能性が高い。

 MFは、三笘薫がメンバー入りするだろう。ジャマイカ戦ではスタメン出場し、58分、ドリブルから上田綺世に絶妙なスルーパスでアシストした。スタートはガーナ戦のように相馬になる可能性が高いが、板倉とともに選手交代のファーストチョイスになっていた。起用法は昨年の川崎フロンターレでのプレーのように相手の疲労度が増した後半やビハインドの展開でジョーカー的な役割を果たすことになるだろう。
 
 トップ下の久保は旗手玲央と交代した。旗手は登録こそ左サイドバックだが、もともと中盤の攻撃的な選手。中盤はどこでもプレーできるし、FWとしての役割も果たせる。本当の意味でポリバレントな能力を持っており、彼のような選手がひとりいると指揮官としては非常に心強い。

 FWは、上田と交代で入った前田大然が選出される可能性が高い。押された展開では、ロングボールで相手の背後を狙い、一発でゴールに繋げる攻撃が必要になる。ジャマイカ戦は追試となり、開始早々の決定機を外すなど結果を出せなかったが、ロンドン五輪で活躍した永井謙佑のように、裏へのパスからスピードで抜け出し、ゴールという攻撃ができるのは前田だけだ。

 ガーナ戦のスタメン組に加え、鈴木、瀬古、板倉、三笘、旗手、前田の5名を加えると残りは、2枠だ。
 
 攻撃陣では、ガーナ戦、堂安に代わって食野が起用されたがもうひとつ。ジャマイカ戦も64分、久保に代わって出場したが、良さを十分に発揮できなかった。もう一人の候補である三好康児はジャマイカ戦、同じくもうひとつだった。旗手の存在が彼らの代表入りをより難しくしているが、今回は結果を出せなかったこともあり、状況的にはかなり厳しいかもしれない。

 このチームで悩ましいのがサイドバックだ。

 ガーナ戦では中山が左サイドバックで出場し、上田へのアシストも決めた。だが、中山は左サイドバックが本職ではない。彼自身も国際大会でのサイドバックとしての守備面、攻撃面ともに難しさを感じている。ガーナも日本の右サイド、日本の左サイドから攻撃するパターンが多かったが、メキシコやフランスら強豪チームからは攻撃のターゲットにされる危険性がある。

 中山は、この世代でキャプテンを務めてきた。

 だからといって確実に18名の登録メンバーに入れるかというと、それほど容易な話ではない。アテネ五輪では最終予選、チームをまとめてきた鈴木啓太が本大会のメンバーから落選している。当時、山本昌邦監督は本大会で勝つために非情な選択をしたのだが、今回もそういう可能性はゼロではないのだ。

 ガーナ戦で中山に変わって入った古賀は左サイドバックが本職で、柏ではセンターバックとしてもプレーしていた。森保監督の信頼が厚い中山か、本職の古賀か。二人をメンバーに加えるのか。あるいは右サイドバックの酒井の控えとしてジャマイカ戦で途中出場を果たした橋岡大樹を選択するのか。ちなみに右サイドバックは冨安をスライドさせて、瀬古をセンターバックに入れれば最終ラインはかなり強固になる。
 
 アルゼンチン戦の2試合、そして今回の3試合の選考マッチから18名の選出を考えると以下になるのではないだろうか。
 
GK:谷晃生、鈴木彩艶
DF:酒井宏樹、吉田麻也、冨安健洋、旗手玲央、瀬古歩夢、古賀太陽
MF:遠藤航、田中碧、板倉滉、堂安律、久保健英、相馬勇紀、三笘薫、中山雄太(三好康児)
FW:上田綺世、前田大然

 このチームは、メダル獲得が義務付けられている。

 OAに日本代表のDF二人、ボランチ一人とうしろに重心を置いた選択をしているのは、勝ちにいくというよりも負けない戦いを意識していることを示唆している。失点をしなければ負けないわけで、難敵が揃うグループリーグ突破を果たすための森保監督の狙いが見て取れる。

 アトランタ五輪以降、どの五輪よりもプレッシャーが大きいだろうが、メンバーの顔触れは、シドニー五輪の時をも超える「史上最強」ともいえるメンバーになるだろう。

取材・文●佐藤 俊(スポーツライター)

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