12日に行われたジャマイカ戦、U-24日本代表は4-0で勝利を収めた。

 飲水タイム後の前半32分、スローインから相手のすきを突く、久保建英の股抜きシュートは見事だった。また、42分の遠藤航のインカーブシュート、57分の上田綺世のループシュートも素晴らしい。これはA代表にも言えるが、近年は一昔前の日本代表では考えられないほど、フィニッシュ周りの質が向上した。

 ただし、その反面、U-24ガーナ戦に比べると、この試合はビルドアップがもたついた。攻撃はそれほど良くなかったが、理想的に得点を重ねる決定力と、相手の緩さに助けられた面はある。

 ジャマイカは中盤に人を割き、4−1−4−1の守備ブロックを敷いた。インサイドハーフの2人、15番ラベル・モリソン、22番デボン・ウィリアムズは、遠藤航と田中碧を1対1で見張り、日本の起点にプレッシャーをかける。全体的にミラーゲームでシステムがかみ合わされた中、日本はビルドアップの選択肢に困る場面が多く、特に前半は、後方でのパスミスが目立った。

 気になったのは、ボランチ2人の位置関係だ。相手MFに睨まれたボランチ2人が、CBの吉田麻也と町田浩樹の前に蓋をするように、横並びで立っているため、CBからのパスコースを味方同士で潰し合ってしまい、ボールの流れが悪い。その結果、ビルドアップの詰まりからショートカウンターを食らう場面も散見されたが、本番で同じミスを犯せば、一発で仕留められるかもしれない。

 相手がシステムを噛み合わせてきた場合は、どう動きを出し、それを外すかがポイントだ。例えば、遠藤と田中の横並びを避け、1人を前方に潜らせ、1人がアンカー気味に真ん中に残る。すると、相手は逆三角形のままでは対応できないので、位置がズレていく。もし、アンカーにインサイドハーフの片方が食いつけば、その背後が空くので、そこで久保や堂安にクサビを受けさせればいい。あるいは潜るまで行かなくても、ボランチの片方がサイドに開き、SBを押し上げ、ハーフスペースに絞った三笘薫辺りに縦パスを刺してもいい。

 静的にかみ合った状態から、立ち位置を動かし、空けたスペースを突く。このようなビルドアップの連動は、A代表では遠藤や守田英正、鎌田大地や南野拓実らが当たり前のように実践する戦術だが、オーバーエイジ合流から間もないU-24代表は、まだ難しかった。
 
 チームの完成度としては、森保ジャパンの発足から半年後に行なわれた2019年のアジアカップを思い出す。あの頃のA代表も、相手に4-1-4-1でかみ合わされると、あっさり機能不全に陥ったが、今のU-24代表と姿が重なる。

 とはいえ、2年前のアジアカップから多くの強化試合を積み重ね、成長したA代表と、同じ時間を与えることはできない。U-24代表の本番は、1カ月後なのだ。

 その意味では、後半15分に橋岡大樹と相馬勇紀を投入し、3-4-2-1にシステム変更をした試みが重要だった。
 
 2人のCBの前にダブルボランチではなく、3CBの前にダブルボランチなら、初期配置で縦に重ならず、各自がレーンをバランス良くカバーできる。左右CBの瀬古歩夢や酒井宏樹がハーフスペースから運べば、サイドでウイングバックと共に数的優位を作れるし、そこで相手のウイングをサイドへ釣り出せば、中へのコースが空く。

 また、田中もこの3バック変更により、2列目が1人減ってスペースが広がったためか、ライン間に潜るプレーが増えた。リスクマネージメントを含め、3バック変更で全体的にバランスが改善したのは大きい。

 完成度が低いのは、今更どうしようもない。A代表とは比較できない。ピッチ内の連係で解決できないのなら、最終的にはシステムで解決する。この修正は指揮官が手応えを得たのではないか。

 そして、このトライは、ビルドアップ能力に長けたCB瀬古の価値を確認する機会にもなり、左サイドで良い起点になった。一時は選外とされた瀬古だが、一気に18人の枠に滑り込む可能性が出てきたのではないか。また、この3バックを使うのなら、4バックのCB起用では戦術的に厳しかった橋岡も、3枚の左右CBやウイングバックなど、起用ポジションが増える。つまり、俄然、ベンチに置きたい選手になってくる。このジャマイカ戦の3バックは、五輪18人の選考において、最後の1〜3人に影響を与える因子になるかもしれない。発表が楽しみだ。
 
 今回、U-24ガーナ、ジャマイカには勝った。ただ、勝ちはしたものの、個に頼る部分も多く、今のチームの完成度では、本大会でどこまで勝ち進めるのか不安は大きい。もっとも、五輪チームの完成度が低いのは、どの国も似たようなものだ。日本は開催国としてよく準備したほう。足りないものが多いのは、全チームに共通する。

 だからこそ、その完成度を大会中に、勝ちながら高められるチームが、五輪の金メダルにたどり着く。日本はそうなれるか。この強化試合の一つひとつで、成長癖を付けたい。

取材・文●清水英斗(サッカーライター)

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