J1リーグはおおよそシーズンの約半数の試合を消化。6月20日時点で川崎が21試合消化と最も多く、新型コロナウイルスの影響で出遅れたガンバ大阪も15試合を消化している。そこで本稿では、代表戦再開前のJリーグ前半戦を振り返り、ベストイレブンを識者に選出していただいた。スポーツライターの加部究氏が選んだ11人とは――。

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 前半戦での突出ぶりを見れば、川崎がベストイレブンを独占しても良かった。消化試合に若干の違いがあるにしても、2位名古屋の約1.5倍も勝点を積み上げている。しかしそれでは企画の趣旨にそぐわないので、極力様々なチームから選ぶことを優先した。同ポジションに力が拮抗し活躍が顕著な選手がいる場合は、川崎以外の選手を選ぶようにした。

 まず中断前までで圧倒的な堅守で大善戦を見せたのが鳥栖。1試合平均失点は、名古屋の「0.65」川崎の「0.71」を抑え「0.44」だった。

J1リーグ最新順位表
 もちろん鳥栖の失点が少ないのは、前線からの献身的な共同作業の結果だが、反面コンセプトに合わせてビルドアップに加わり、広範な守備範囲をカバーしてきた朴一圭を守護神に据え、DFでは最後の砦として相手の攻撃を跳ね返すとともに攻撃の起点となるフィードも冴えたエドゥアルドを選んだ。一方首位の川崎からは、山根視来とジェジエウが不可欠。攻守に重要な役割を果たして来た谷口彰悟を次点にした。左SBは川崎の登里亨平がシーズン途中からの復帰になり、旗手怜央との併用になったのに対し、Jリーグ復帰後一貫してアグレッシブなプレーを見せてきた酒井高徳が、総合力でやや上回った。

 次にボランチは、川崎ではアンカーとインサイドハーフの関係でプレーしていたシミッチと田中碧は、チームの強さの象徴でもあり、ダブルボランチで選択した。名古屋から加入のシミッチは、守田英正が抜けた穴を完全に埋めた上に「高さ」や「上手さ」を加味し、完璧なフィットぶりで快進撃の土台となった。

 また田中碧は、鬼木達監督から全幅の信頼を勝ち取り、ほとんど休むことなくフル稼働することになった。ダイナミックな展開力、視野に伴ったキック力と精度などの長所を磨きながら、確実に安定度を増した。
 
 ボランチが鉄板のふたりですんなり決まったのに対し、大激戦だったのが2列目だった。三笘薫はさすがに1年目のインパクトがあまりに大きく期待値が高まり過ぎた感もあるが、それでも決定的な仕事の頻度では群を抜く。自陣でボールを持つだけでドリブル突破の予感でスタンドがざわつくほどで、魅せる選手としても今や別格だ。だが同じく充実の境地に達している古橋亨梧のハイレベルなパフォーマンスも勝るとも劣らなかった。他にも名古屋の攻撃に得意のドリブルでアクセントをつけたマテウスや相馬勇紀、若手では質量を伴うパフォーマンスで大きな貢献を続けた荒木遼太郎や樋口雄太らも特筆に値した。
 
 そういう意味ではMFにもうひとりを加える選択もあったが、横浜のふたりのFWの活躍ぶりがインパクトで上回った。圧倒的なスプリントで攻守に貢献した前田大然と、チーム最多得点のオナイウ阿道だ。ただしFWのナンバーワンは文句なしにレアンドロ・ダミアンなので、2トップのパートナーとして特性の異なる前田を選んだ。

 そしてMVPは当然川崎からの選択になるが、最前線でスライディングを繰り返し喝を入れるムードメーカーとしての役割も含めて、何もないところからも個の力でゴールを生み出したダミアンが、田中とジェジエウを抑えた。

文●加部 究(スポーツライター)