高校時代から点の取れるストライカーだった。

 180cmオーバーの高さを持ちながら、機動力と足元の技術に長け、豪快なゴールを突き刺したかと思えば、見事なオフの動きで相手の死角から飛び込んで繊細に合わせるシュートまで、彼のゴールバリエーションは多彩だった。

 法政大に入ってからもずば抜けた得点力だけではなく、中盤に落ちてボールを捌いてから前に出たり、ときには相手を背負ってのポストプレーを見せたりと、より捕まえづらいストライカーへと変貌を遂げていった。

 その成長過程で大きく力を発揮したのが、彼の持つ『吸収力』だ。大学時代の上田は自分をこう分析していた。

「僕の武器は点を獲ることなのですが、人間的な部分で吸収力というものを武器にしていて、『1回の経験』でどれだけのモノを学び、生かせるかを重要視しています。例えばライバルの選手がいたら、その選手の特徴を分析して、自分に足りない部分を補えるか。自分をいかに知ることができるか。それがサッカー選手として問われる質だと思っています」

 大学生だった彼にとって東京五輪を目指す代表活動は貴重な学びの機会のひとつだった。呼ばれてアピールできたか、できなかったかで物事を判断してしまうと、ときに自分を見失ってしまったり、余計な力みや不安などが増幅し、自分のパフォーマンスを阻害してしまいかねない。それがプラスに働かないことを彼自身がよく理解できていた。

「代表に1回行って何を得るか。活躍できました、ゴールを決めましただけで大学に戻って来ただけでは、それは『自分の力を見せて帰って来ただけ』なんです。何ができて、何ができなかったのか。他の選手はどうだったのか。常に自分にベクトルを向けて考えるようにしています」
 
 自分の軸をきちんと持って、周りとの波長と自分の波長を合わせながら、細かくポジションや動きの修正を図る。その詳細をこう明かしている。

「このテンポのこのタイミングで動き出さないとダメだなとか、ジャンプのタイミングがプロの選手は自分よりコンマ何秒速いなとか、そういう細かいちょっとしたことの違い、勝負際での違いを僕的には感じたい。そうすることで『まだまだ足りないな』と思えるし、そう思ったものは次の日から自分の力にするためにトライできる。結果、次に呼ばれた時にそれが出来るようになっていることが本物の成長だと思っています」

 緻密な自己分析と課題修正力に長けた選手だが、実戦では本能を剥き出しにしたストライカーに変貌するのも魅力の1つだ。

 上田の吸収力は普段の練習に集約されていて、練習で繊細な感覚を養い、実戦でそれを無意識レベルに引き上げて力を解放する。それは鹿島アントラーズに入ってからも変わらない。

 つまり、彼は高いレベルに身を置けば置くほど、スポンジのような吸収力を発揮し、より試合での獰猛さを増していく稀有なストライカーなのだ。

 だからこそ、森保一監督は彼を東京五輪のメンバーに選んだ。東京五輪金メダルへの道は彼の平静と情熱の間から生まれるゴールに懸かっている。

取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)

【日本代表PHOTO】東京オリンピックに挑む、選ばれし18選手を紹介!