J1リーグはおおよそシーズンの約半数の試合を消化。6月20日時点で川崎フロンターレが21試合消化と最も多く、新型コロナウイルスの影響で出遅れたガンバ大阪も15試合を戦っている。そこで本稿では、代表戦再開前までのJリーグ前半戦を振り返り、ベストイレブンを識者に選出していただいた。フリーライターの元川悦子氏が選んだ11人とは――。

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 2020年J1&天皇杯王者の川崎フロンターレが21戦無敗という驚異的な強さを見せている2021年J1前半戦。現時点の勝点は55で、2位・名古屋グランパスに18差をつけている。試合数はひとつ多いものの、すでにタイトルは確実と言われる。史上最速連覇も射程距離に入ってきている状態だ。

 その川崎を攻撃面で力強くけん引するのが、20試合で12ゴールを奪ったレアンドロ・ダミアン。ここ一番でチームを勝たせる得点を取ってくれる勝負強さ、頭抜けた決定力はもちろんのこと、守備面の献身性が素晴らしい。これだけハードワークする外国人FWは本当に稀有な存在。そういう意味でも、前半戦MVPに相応しい。
 
 同じ川崎勢からは、J1全試合フル出場の山根視来、中盤のダイナモ・田中碧、守備の統率役・谷口彰悟を選んだ。出場時間数で見れば、ここまでチーム3位の家長昭博もリストに入れるべきなのだが、得点数が7点と他のアタッカー陣よりわずかに下回る。いち早く二ケタに載せたオナイウ阿道(横浜)と古橋亨梧(神戸)は外せないし、今季前半戦の横浜F・マリノスの躍進を支えた前田大然もベストイレブン入りに値する。となると、家長は次点ということになってしまう。ここまで8得点の三笘薫にしても同様だろう。

 2位・名古屋からは稲垣祥、吉田豊の両鉄人を選出した。名古屋と言えば「堅守」だが、彼らが主要な担い手になっているのは紛れもない事実。特に稲垣は5得点と攻撃面のキーマンにもなっている。そこは見逃せない点だ。惜しくも6月シリーズを戦った日本代表では選外になったが、この勢いを持続すれば、最終予選での再抜擢もあり得る状態。ぜひとも奮闘を続けてほしい。
 
 3位・横浜勢は前述の通り、オナイウと前田大然の日本人看板アタッカーコンビを選出したが、彼ら以上に見逃せないのが、4位・サガン鳥栖。今季はJ2降格候補と言われながら、この順位につけているのは、金明輝監督の手腕によるところが大だろう。

 彼らの強みは今季18試合で8失点という堅守。J1トップの数字を叩き出した原動力となっているのが、今季全試合フル出場の守護神・朴一圭とエドゥアルドだ。鳥栖の場合、前線からの献身的プレスがあるから、安定感ある手堅い守備が保てるわけだが、最後尾に位置する2人はやはり重要である。
 
 朴一圭はフィールドプレーヤー顔負けの守備範囲の広さと攻撃の起点となる動きも際立っている。一方のエドゥアルドもかつて川崎で活躍した選手。松本山雅FC時代は反町康治監督(現JFA技術委員長)の戦術に合わずに苦しんだが、紆余曲折を経て、円熟期を迎えているのだろう。

 ただし、後半戦も同じ顔触れが並ぶとは限らない。川崎は田中碧を筆頭に数人が海外移籍すると見られており、横浜もポステコグルー監督退任という激震が走っている。名古屋はACLの成否によって今後の戦いが変わるだろうし、鳥栖にしても堅守を継続できるかどうか分からない。序盤低迷していた鹿島アントラーズ、浦和レッズなどが上昇傾向にあるだけに、そのあたりから新顔が頭角を現わすかもしれない。先々の行方が楽しみだ。

文●元川悦子(フリーライター)