静かに闘志を燃やしていた男が、ショッキングな敗北に泣き崩れた。

 金曜日に横浜国際総合競技場で開催された東京五輪・準々決勝、韓国vsメキシコの一戦は思わぬ大差がついた。12分に先制点を許した韓国だったが、8分後にMFイ・ドンギョンが強烈なミドルを突き刺してすぐさま同点とする。しかしその後も機動力と組織力で優るメキシコに圧倒され、失点を重ねていった。終わってみれば、まさかの3−6大敗。五輪の男子サッカー競技が23歳以下の大会となって以降、韓国が4失点以上を喫するのは初めての出来事だ。

 そんなU-24韓国代表チームにあって、不退転の決意で臨んでいたのが、10番を背負うイ・ドンギョンだ。この日は同点弾に加えて、51分にも自慢の左足で鮮やかなミドルを決めた。快勝を収めたグループリーグのホンジュラス戦とルーマニア戦でも出色の出来を披露し、攻撃の中軸としての重責は全うしただろう。

 物議を醸したのが、第1節ニュージーランド戦での振る舞いだった。その試合で唯一の得点を挙げた相手FWクリス・ウッドが、試合後にイ・ドンギョンの元へ歩み寄って握手を求めたところ、なんと彼はその手を軽くはたいて拒否し、足早にその場を立ち去ったのだ。

 この非紳士的な態度には、韓国国内のメディアやファンからも非難の声が上がり、「著しいマナー違反だ」「恥ずべき行為」「無礼にもほどがある」など容赦がなかった。やがて韓国協会を通じてイ・ドンギョンは釈明の文書を発表。「このような問題に発展すると分かっていたなら、もっと理性的に反応するべきでした。試合に敗れてひどく落胆していて、そこまで気が周らなかったのです。あのときの僕は、笑みを浮かべて(握手を)断れませんでした」と説明するも、謝罪がなく不十分だと断じられた。
 
 あとは結果とパフォーマンスで示すのみ。イ・ドンギョンは黙して語らず、チームのために全力プレーを心掛けた。だがそれでも、メキシコの荒波には抗えなかった。

 試合後のミックスゾーンに現われたナンバー10は、声を詰まらせて大号泣。そして懸命に言葉を紡いだ。

「今回の自分の軽率な行動が国中で問題になり、どれだけの迷惑をかけたのかを痛感していた。そこから多くのことも学んだ。だからこそピッチの上で信頼を取り戻すしかないと心に誓っていたが……。(立ち上げから)3年間、みんなで困難を乗り越えてハードワークを続けてきたのに、こういう結果に終わって、さすがに絶望感しかない。もっとチーム全体で必死に、熱情を持ってプレーしなければいけなかった」

 現在23歳。韓国サッカー界で台頭する次世代のリーダー格であり、MFイ・ガンインとともに近未来の代表チームを背負って立つ存在だ。一敗地にまみれた横浜の地でリスタートを切り、ワールドカップ・アジア最終予選でリベンジを果たす覚悟だ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

【PHOTOギャラリー】韓国女子代表が誇るビーナス、イ・ミナの可憐な厳選フォトをチェック!