東京五輪開催でJリーグは一時中断。その間、各チームは戦力補強やミニキャンプ実施など、再開後に向けて準備を進めている。五輪後はいかなる戦いを見せてくれるか。ここでは、J1・名古屋グランパスを取り上げる。

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 東京オリンピックによる中断前のリーグ順位は2位。しかし他チームの未消化試合が次々と開催されていくなかで、7月唯一のリーグ戦となったサガン鳥栖戦に敗れて5位にまでその数字は落ち込んだ。

 1か月以上に及んだアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)絡みの隔離期間を終え、心身ともにリフレッシュしたチームの後半戦のテーマは、巻き返しという言葉がぴったりだろう。鳥栖戦で負傷した山﨑凌吾の状態は不透明だが、チームのトレーニングには金崎夢生が復帰しており、8月中には全体練習合流、そして公式戦への出場も見込まれる。

 ここに7月20日に獲得が発表された現役ポーランド代表FWヤクブ・シュヴィルツォクが加われば、得点力が懸案だった前線についてはむしろ充実のメンツが並ぶことにもなる。

 まさに苦難の旅路だったACLを通じても収穫はあり、ガブリエル・シャビエルの復調や齋藤学、長澤和輝のチームの順化などはその最たるもの。G・シャビエルは純粋なゲームメーカーとして、シュヴィルツォクとの連係が楽しみで、齋藤、長澤は4-3-3の布陣の完成度をより高めるピースとして重宝されそう。

 オリンピックを経験した相馬勇紀にはレベルアップした姿を存分に披露してもらいたいが、その点でも彼のアシスト能力はシュヴィルツォク、金崎との相性を期待したいところ。
 
 ディフェンスラインは長期離脱中の丸山祐市の穴を埋め切れているとは言い難いが、中谷進之介と木本恭生のコンビネーションは良くなってはいる。クラブはCBの補強も進めているというが、夏の移籍ウインドーでさらなるテコ入れがあれば堅守の維持にはメドが立つ。

 しかし何よりも注目されるのがシュヴィルツォク、愛称“クバ”だ。大森征之スポーツダイレクターは「フィニッシュにおける技術、あらゆるテクニックやヘディングの強さ、技術に限らずフィジカルの強さも兼ね備える。常に落ち着いていて、闘う強いメンタリティも持ち合わせている」と絶賛し、本人のSNSなどでも確認できるゴールシーンは確かに本物感が漂う。

 シュヴィルツォクは既に来日しており、現在は隔離措置に入っているため合流日は未定だが、今年のEUROのメンバーに選ばれ、直近のポーランドリーグでも23試合・15得点を挙げているストライカーだけに、やはり期待値は上がる。突破力もポストワークにも優れるタイプは、4-2-3-1や4-3-3の1トップとしても、4-4-2のツートップとしても起用が可能で、金崎とのツートップの破壊力はリーグ随一となり得るポテンシャルがある。

 課題であった得点力、決定力の部分にうまく“補強”ができた印象の後半戦は、堅守とそれを活かす攻撃の確実性が武器となっていくのか。ようやく補強の望みが叶ったマッシモ・フィッカデンティ監督の手腕とともに、ACLなど大会の掛け持ちでさらなる多忙を極めるだろう2021年下半期の戦いは、チームの地力が試される。

取材・文●今井雄一朗(フリーライター)

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