東京オリンピック・男子サッカー準決勝
U-24日本代表―U-24スペイン代表
8月3日/20:00/埼玉スタジアム2002

 決勝進出とメダル確定をかけた戦いだ。

 金メダル候補の筆頭と目されるスペインは、準々決勝のコートジボワール戦で敗退寸前まで追い込まれたが、相手のミスに助けられる形で終了間際に同点に追い付く。そして延長戦で3ゴールを決め、5-2で勝利。最後の最後に実力を見せ付けた。

 主力クラスの6人がEUROから移行している今回、延長戦を強いられたことは体力的にマイナスだが、それ以上に本来の得点力を取り戻せた自信が大きいだろう。

 一方の日本も準々決勝ではニュージーランドの堅守を最後まで突き崩せず、PK戦で谷晃生の英雄的な活躍に救われる形で準決勝に進出した。その意味で大きな課題は残したが、チームの雰囲気としては悪くない。

 日本とスペイン。本大会直前の強化試合で1-1と引き分けた両チームだが、公式戦は勝手が違ってくる。何よりU-21欧州選手権の連覇を経験しているルイス・デ・ラ・フエンテ監督はスペインのお家芸とも言えるパスワークを大事にしながらも、試合に向けて周到に準備する監督として知られる。

 強化試合、さらに五輪での4試合をしっかりと分析して、チームとしての狙いどころを見極めてくるだろう。ただ、基本的に日本のストロングを潰すというよりは、自分たちがより主導権を握ることで、相手の良さを出させないようにしてくるが、そこが日本のつけ入る隙とも言える。

 ここまでの日本の戦い方をベースに考えるのであれば、出場停止から戻る酒井宏樹を除き、スタメンはニュージーランド戦からそれほど変わらないだろう。一部変更があるとすれば、マルコ・アセンシオ対策として、左サイドバックはより対人守備に特長がある中山雄太を旗手怜央に代えてくるぐらいか。
 
 鍵を握るポジションは1つだけではないが、やはりボランチの遠藤航と田中碧のところでスペインの攻撃強度をどれだけ中盤で吸収し、日本側にペースを引き寄せられるか。

 スペインの中盤はペドリ・ゴンサレス、ミケル・メリーノ、マルティン・スビメンディの3ハーフがベースで、もしかしたらグループステージ初戦のエジプト戦で負傷したダニ・セバージョスが間に合うかもしれない。

 ボール保持率でスペインを上回ることはほぼ不可能だが、ここまで70パーセント前後を記録している数字を65パーセント未満ぐらいに減らしたい。それだけで相手のリズムを崩すことができる。そのためには久保建英ら2列目の守備面での助けも必要だが、後ろにズルズル行かないように我慢していきたい。
 
 スペインは右サイドバックのオスカル・ミンゲサがエジプト戦に続き、準々決勝で負傷してしまったが、出場停止だったオスカル・ヒルが戻ってくる。左サイドバックのマルク・ククレジャは堂安律、久保のところをケアしながら組み立てに参加してくると見られるが、ヒルは縦のスピードを武器とするタイプなので、相馬勇紀が先発した場合、マッチアップがダイレクトに両チームのチャンスとピンチに直結する可能性が高い。

 スペインが相手だとボールの保持率が低くなる分、久保や堂安がこれまでほど主体的にボールを動かしにくくなるなかで、純然たるサイドアタッカーである相馬の役割は大きい。ただ、中盤のサポートを考えて三好康児あるいは旗手を起用してくるかもしれないので、左サイドは1つ注目のポジションだ。

 スペインを相手にセンターバックとGKの奮闘が求められるのは当たり前だが、日本側にチャンスをもたらす意味で、1トップの仕事が生命線になることは間違いない。前線で起点になるプレーを評価すれば林大地がファーストチョイスになりそうだが、対スペインということで爆発的なスピードを持つ前田大然のスタメンも面白い。

 ロンドン五輪ではスペインが永井謙佑の徹底した裏抜けに苦しんだ。当時と現在の日本では基本スタイルが違うものの、スペインを相手に裏抜けが大きな武器になりうることは変わらない。そして前田が万全であればパウ・トーレス、エリック・ガルシアからの良質なビルドアップをかなり限定できる。
 
 いずれにしても勝負のキーマンは前田と想定しているが、いつどこで起用することを考えているのかは蓋を開けてみないと分からない。ニュージーランド戦での出番がなく、トータルでもあまり起用していない分、スカウティングが周到なスペインにとっては脅威になるはずだが、延長戦の可能性まで考えた場合に森保一監督が前田をスタートから使って突き崩しにいくのか、勝負所での投入のためにベンチに残すのかは注目ポイントだ。

 もちろんニュージーランド戦で決定機に決めきれなかった上田綺世、限られた時間で効果的な仕事ができていない三笘薫の奮起に期待したいところもあるが、対スペインということを考えると、スタメンだろうとベンチスタートだろうと、前田が勝負の鍵を握ると見ている。

文●河治良幸

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