ついに、日本初の女子プロサッカーリーグ=WEリーグが開幕した。注目を集めたのが「女子スポーツの興行に、観客が入るかどうか」。各地の開幕ゲームとなる第1節、第2節の5試合が行なわれた9月12日は、日本各地で緊急事態宣言が出て、WEリーグの試合会場も入場者数の上限が設けられるなどしていた。そんな状況下で10試合の平均観客数は約2,500人に達した。

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 なでしこリーグ時代でも、女子ワールドカップ優勝直後を除けば、来場者数をJリーグと比較されるなどなかったこと。開幕前の認知度の低さを考えると、想像以上の出足と言っていいだろう。なでしこリーグ時代から小さな子供を連れて来場するファミリー層の観客が目立っていたが、それとは別に、友だち同士、あるいはチーム単位でスタジアムを目指すサッカー少女の姿が増えているようにも感じた。

 実質的に2巡目と言える第3節の平均観客数は約1,400人。ノジマステラ神奈川相模原の開幕ゲームが残っていたというプラス要素と、 INAC神戸レオネッサが会場変更を行なったマイナス要素を考え合わせると、各節で平均1,500人というのが達成可能な目標ライン。この水準を守りながら、少しずつ積み上げていきたい。

「なでしこリーグの時よりも、たくさんの方に来ていただいているという実感はあります。『開幕戦だから』というのではなくて、『ずっとWEリーグを見ていきたい』と思っていただけるようなプレーを続けていかなくてはいけないと思います」(松原有沙・ノジマステラ神奈川相模原)
 
 筆者個人としては「競技性が担保されるかどうか」を心配していた。参入の基準として、競技場などハードの部分や経営面を重視した結果、オリジナル11となったチームのうち、前年度になでしこリーグ1部で戦っていたのは7チームだけ。2部から2チーム、全くの新規立ち上げが2チーム。僅差の試合が増えてきたところから、大差の試合が多かった時代に戻るのではないかという懸念が、どうしても拭えなかった。
 

それが、蓋を開けてみれば、2節を終えた時点で11クラブ全てが、早々と勝ち点を獲得。ここまで3節を終えて、3点以上の差がついた試合も、第1節の2試合だけである。昨季、なでしこ2部で5位と既存チームの中では最も成績下位から参戦したのが、AC長野パルセイロ・レディース。WEリーグ開幕後、昨季なでしこ1部の3チームと対戦して、1勝2分け。堂々と渡り合っている。

「自分たちよりもレベルが高いチームが多いので、失うものはないと思います。攻撃は出せる部分を残さず出し切ってチャレンジしていく。守備の部分でも受け身になるのではなく、自分たちからボールを奪いにいく。練習からそうやって1試合目、2試合目と戦えたので、これからも継続してやり続けたいと思います」(瀧澤千聖・AC長野パルセイロ・レディース)

 秋春制への移行で生じた通常よりも長い準備期間を使って、しっかりとチームを作ることができたというのはあるだろう。また、昼間の練習がベースになり、自分の身体をメンテナンスする時間が生まれるなど、身体作りでもプラス効果があるのではないだろうか。これまでは、フィジカル面の差が埋まらず、劣勢に立たされる傾向にあった高卒ルーキーが、躍動する姿も目に入ってくる。
 現時点での課題は、ホームチームの勝率だ。第3節で挽回したが、ここまで15試合で5勝6分け4敗。決して高くはない。移動を伴う娯楽が規制されている現状で、最大のターゲットとなる地元の人たちに「楽しかった。また来よう」と思わせる必要がある。
 
 実は、WEリーグ参加チーム中、新規2チームを除く9チームの多くは、昨年もホームでの成績が芳しくなかった。勝点獲得率をホームとアウェーで比較し、ホームのそれが上回っていたのは、INAC神戸レオネッサ、アルビレックス新潟レディース、ノジマステラ神奈川相模原の3チームだけなのだ(1部で優勝した現・三菱重工浦和レッズレディースはどちらも7勝1敗1分けの好成績だから参考外と言えるが)。

「今日、小さな男の子や女の子がたくさん来てくれて、すごく応援をしてくれていました。そういったものを受け止めて、もっと盛り上がりを見せなければいけない。得点をとる、勝つということが、今日、スタジアムに来てくれた観客のみなさんへの感謝の気持ちだと思うし、そういうところを、もっともっと貪欲にやっていかなければいけないのかなと思います」(北野誠監督・ノジマステラ神奈川相模原)

 現状、15試合で30点というゴールシーンの増加も含めて、スタジアムへ足を運んでくれた観客が、満足して家路につく試合が増えることを期待したい。

文●西森 彰(フリーライター)