◆■湘南ベルマーレ 黒星発進も内容に手応えあり。苦手な相手から白星を奪えるか


【プラス材料】

 前節は大分トリニータに0−2で敗れ、新監督の初陣を勝利で飾ることはできなかったが、内容にはポジティブな要素が散りばめられていた。とりわけ攻守において、前向きな推進力が示された点は今後につながるだろう。守備ではハイプレスから高い位置でボールを奪い、攻撃ではボールを動かしながらリズムを手繰り寄せ、縦パスやボールホルダーを追い越す動きも数多く見られた。FWウェリントンにロングボールを集めるだけでなく、ショートパスをテンポよくつないで局面を打開した展開も見逃せない。


 トレーニングでは自分たちのやるべきことを改めて見つめている。山口智監督のもと、個々のタスクは明確になり、ピッチのムードも前向きだ。競争の活性化と出場機会の少ないメンバーの台頭にも期待したい。


【マイナス材料】

 プラス材料で触れたとおり、ポジティブな要素を見出せた大分戦だが、ゴールが奪えなかった。データがすべてではないものの、走行距離やスプリント回数で相手を下回り、好感触の前半に比して後半は勢いが色褪せた感も否めない。90分の戦いを踏まえれば、選手交代によって再度流れを手繰り寄せるベンチのパワーにもより期待したいところだ。また、失点シーンは自分たちのペースでゲームを進めながら一瞬の隙を突かれたもの。前への推進力はそのままに、リスクマネジメントを改めて見直したい。


 アビスパ福岡との通算対戦成績は14勝5分26敗、ホームゲームでも7勝14敗と大きく負け越している。J1に限れば、1−2で敗れた5月の前回対戦を含めて5連敗中。ホームゲームでも2連敗中と分が悪い。


文:隈元大吾


◆■アビスパ福岡 持ち味の堅守速攻が復活。上位連破で自信深めたチームに隙なし


【プラス材料】

 川崎フロンターレ、徳島ヴォルティス、鹿島アントラーズにクリーンシートでの3連勝。前節の鹿島戦は3−0で圧勝し、「(ボールを)奪われた後の強さでは鹿島を上回ることができた。これからも自信を持ってやれると思う」とMF金森健志が振り返った。この「ボールを奪われた後の強さ」は今季のアビスパ福岡のストロングポイントのひとつで、組織的な守備から速い攻撃へのスイッチとなっている。チームの強みを前面に出して川崎Fや鹿島といった上位相手に完封勝利を収めることができた自信は、残り10試合にも好影響を与え続けるだろう。


 鹿島戦でFWフアンマ・デルガドが2得点を挙げたことも好材料だ。ポストプレーや献身的な守備で貢献度の高いプレーヤーだが、自身のゴールは4月に行われた第9節のセレッソ大阪戦以来となった。攻撃陣のコンビネーションが洗練されており、より勢いが加速しそうだ。


【マイナス材料】

 湘南ベルマーレのトップスコアラーであるFWウェリントンに仕事をさせたくない。2015年から3シーズン福岡に在籍していたため、古巣対戦には気合も入るだろう。一方、今夏に湘南から完全移籍で加入したMF中村駿は「(ウェリントンに)ボールが収まると、湘南が得意とするサイドからのクロスが上がってくる。どれだけセカンドボールを回収できるかが自分の役割」と古巣戦をイメージした。加えて、「福岡に移籍したからには、福岡の一員として結果を求めることが(湘南への)恩返しになる」と気持ちを高める。


 湘南は1日に山口智監督が就任し、J1残留へ向けて巻き返しを図ろうとしている。長谷部茂利監督は「(監督交代を機に)クラブの力を発揮しようとしていて、いい時のベルマーレになると思う」と警戒する。


文:新甫條利子