かつてセリエAを沸かせた“キエーヴォ”の名が、約3年ぶりに復活することとなった。10日、イタリアメディア『スカイスポーツ』が報じた。


 2000年代のカルチョを彩った“空飛ぶロバ”が、再びセリエAを目指して羽ばたく。2001−02シーズンにセリエA初昇格を果たすと、初年度に快進撃を見せて翌年のUEFAカップに参戦。2006−07シーズンには前代未聞のスキャンダルによるビッグクラブの失脚を受け、繰り上がりでチャンピオンズリーグにも出場した。二足の草鞋を履きこなせずにセリエBへ降格したが、1年でセリエAへ復帰し、その後11シーズンにわたってカンピオナートの舞台で戦った。


 2019年に再びセリエBへ降格すると、2021年夏に財政破綻のためセリエBから追放処分を受けてセリエDへ降格。さらに2021−22シーズンのセリエDの登録期限までにクラブの買い取り手が現れず、「ACキエーヴォ・ヴェローナ」はプロサッカー界から姿を消した。


 そこで立ち上がったのが、2000年夏から2019年夏にかけてキエーヴォで活躍したセルジオ・ペリッシエール氏だった。同クラブで公式戦通算519試合に出場した元キャプテンは、「FCキエーヴォ2021」の名で後継クラブを結成。しかし、法的な問題により、「FCクリヴェンセ」への改名を強いられた。イタリアサッカーピラミッドの最下層である9部リーグから出発したクリヴェンセは、2022−23シーズンに5部リーグでの登録が認められると、1年でセリエD昇格。2023−24シーズンはセリエD・グループBを9位で終えた。


 一方、「ACキエーヴォ・ヴェローナ」は法廷闘争の末、2022年夏に破産が宣告された。長年にわたってキエーヴォの会長を務めたルカ・カンペデッリ氏は、2022年8月に「ソーナ」、2023年8月には「SSDヴィガージオ」というクラブとの吸収合併でキエーヴォの名を存続させようとしたが、破産管財人が商標を含むクラブ資産の権利を主張し、いずれの試みも失敗に終わった。


 その間、二度にわたってキエーヴォの商標がオークションにかけられたが、落札者は現れず。そして3回目の開催となった今回、クリヴェンセとヴィガージオが競合し、ペリッシエール氏らクリヴェンセ陣営が33万ユーロ(約5500万円)で商標の落札に成功した。なお、ヴィガージオの会長と懇意のカンペデッリ氏は、弁護士を通じて今回のオークションへの関与を否定している。


 晴れて「キエーヴォ」の名前を使えるようになったクリヴェンセは、クラブ公式サイトを通じて声明を発表。「今日、『ACキエーヴォ・ヴェローナ』というブランドが、それを愛し、新しい健全なプロジェクトである『FCクリヴェンセ』に命を吹き込むためにこの3年間戦ってきた人々の手と心に取り戻されました。ここ数週間、FCクリヴェンセの株主とスポンサーがクラブの周りに結集し、この目標を共有するためにクラブをサポートしてくれました」と、クラブのアイデンティティを取り戻すために尽力した人々への感謝を綴った。