セビージャとの現行契約が今夏に満了を迎えるDFセルヒオ・ラモスだが、その去就は宙に浮いているようだ。スペイン紙『マルカ』が報じている。


 レアル・マドリードとスペイン代表で“勝者”となったセルヒオ・ラモスは昨夏、亡き友と亡き友が愛したクラブに対する贖罪として、18年ぶりにセビージャに復帰した。それも、サウジアラビアから提示された最高額の20分の1の年俸で。コンディションが整わなかった序盤戦を経て、昨年12月のラ・リーガ第16節マジョルカ戦以降は、累積警告により出場停止となった1試合を除き、全試合に先発フル出場する活躍。が、尻上がりに調子を上げた同選手とは裏腹に、チームは終始低空飛行を続けた。ラ・リーガ第37節終了時点で13位、チャンピオンズリーグ・グループステージ最下位、そしてシーズン中に2度の監督交代と名門の迷走は明白だ。


 そんな状況において、セルヒオ・ラモスの去就もまた宙に浮いている。『マルカ』は、残留と退団の天秤は釣り合っていると指摘。後者に傾く要因としては、セビージャがあるべき姿とかけ離れていることや、人件費の大幅な削減を余儀なくされることなど、クラブでの将来の見通しが悪いことが挙げられている。また、自身の代理人がアメリカ行きの扉を開いており、セビージャで受け取る給料よりもはるかに高い金額を得られるとのこと。同紙は、すべてを勝ち獲ってきたキャリアの締めくくりにおける“黄金の引退”と形容した。


 ただもちろん、最大の望みはセビージャで引退することという。過去の過ちにより“裏切り者”のレッテルを貼られていた自身を受けて入れてくれたセビジスタや、最初から復帰を支持してくれたクラブ上層部への感謝、家族がセビリアで快適に過ごしていること、さらには今年12月に退団するヘスス・ナバスから腕章を継承すること…これらすべてが残留を後押しする可能性は大いにある。それでも、38歳とは思えないパフォーマンスを見せたシーズン終了後の契約延長は、前述した事情を踏まえると、確実とは言い切れないと併せて伝えている。


 たくさんの考えがセルヒオ・ラモスの頭をよぎる。スポーツ的かつ経済的な事情、自身の街やクラブを見捨てられないという思い。シーズン終了後にホセ・カストロ会長との会談が予定されているが、同選手の決断はどちらに傾くのだろうか。