強さの裏にある大津の“公立スピリット”…磨き上げた原石たちがインハイ制覇へ 

強さの裏にある大津の“公立スピリット”…磨き上げた原石たちがインハイ制覇へ 

 8月9日、インターハイの3回戦が終了し、8強が出揃った。國學院久我山高校を2-0で退けての勝ち残りとなった熊本県立大津高校は、その中で唯一の公立校となる。「皆さんが『公立の雄』と言ってくださるので頑張らないといけないとは思っている」。平岡和徳総監督はそう言って微笑んだ。


 初優勝を狙うにふさわしい強力な陣容を整えている今季の大津だが、単にチーム力として優れているだけではない。タレントも着実に育てており、今季で通算50人目のプロ選手誕生も確実視されている。その背景にあるのは、原石を発掘して磨いていくマインドだ。


「これだけ公立の中体連(中学校の部活動)出身の選手が出ているチームはそんなにないんじゃないですか」(平岡総監督)


 プロ入り濃厚のDF福島隼斗、U−18日本代表DF吉村仁志といった選手たちも公立中学校の部活出身。ロシアW杯に臨んだ同校OBの植田直通(セルクル・ブルージュ)も、やはり公立の中体連出身だ。クラブチーム全盛の時代だけに、チーム単位で評価する場合に公立の部活動でプレーしている選手はどうしても埋もれがちになるが、「でも、いるからね。原石が来てくれている」(平岡総監督)という精神で選手たちに接し続け、そして成果を残している。


「中体連だからダメだとか、公立だからダメだとか、田舎だからダメだとか、そんなことは全くないんですよ。ウチが勝ち上がっていくことで、公立校でこういったチャレンジもできるんだということを分かってもらえればいい」(平岡総監督)


 日本の高校サッカー年代は公立校の部活動が踏ん張ることでその豊かさを確保してきた。サッカーに投資する私立校の増加はサッカー界としてポジティブに捉えるべきだと思っているが、一方で公立校が下支えしている裾野の広さは決して軽視されるべきではない。それは高校年代に限らず、下の年代についても同じこと。その意味で平岡総監督の“公立スピリット”はやはり貴重なもので、裾野に向かって勇気を振りまく背中の厚み(物理的な意味ではなく)は頼もしい限りだ。


 クラブチームにタレント(と言われる選手たち)が偏るようになり、「もう中学校の部活からタレントは出てこないよ」なんて意地悪なことを言う人がいたこともあった。だが、リオ五輪世代以降のA代表に限っても植田や遠藤航、久保裕也、浅野拓磨といった公立中学校の部活出身選手たちが名を連ねている。以前に平岡総監督は「(素材は)絶対に眠っているのだから、見付けて起こして育ててやればいいんですよ」と豪語していたが、今季もまた有言実行で「育てて」いるのだから説得力のある言葉だろう。


 真夏の三重を勝ち残った唯一の公立校となった大津は、日本サッカーの広い裾野から「背中を見られている」ことも感じつつ、初の頂点を目指して真夏の祭典を走り抜ける。


文=川端暁彦


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