【大会ヒストリー】熊谷紗希や鮫島彩も…なでしこジャパンの選手を多数輩出してきた「高校女子選手権」

【大会ヒストリー】熊谷紗希や鮫島彩も…なでしこジャパンの選手を多数輩出してきた「高校女子選手権」

 今回で第27回目の開催となる「全日本高等学校女子サッカー選手権大会」は、数々のなでしこリーガーやなでしこジャパン選手を生み出してきた大会だ。


 高校の女子サッカー部No.1を決する大会として、以前は夏に開催されてきたが、2012年に全国高等学校総合体育大会サッカー競技大会(インターハイ)の女子種目が新設されたことによって、同年度から男子に倣うように冬に移行され、今大会で7回目を数える。過去にはグループリーグの1次ラウンドを戦った後に、ノックアウト方式の決勝ラウンドを戦っていたが、2008年からはノックアウト方式のみで、優勝校を決することとなった。


 11月にノルウェー女子代表との国際親善試合を戦った最新のなでしこジャパン選手28人中、約3分の1は高校女子サッカー部出身選手だった。キャプテンの熊谷紗希(リヨン/フランス)を始め、鮫島彩(INAC神戸レオネッサ)、有吉佐織(日テレ・ベレーザ)、横山久美(AC長野パルセイロ・レディース)、杉田妃和(I神戸)などは、この高校女子選手権で全国に名を轟かせた選手たちだ。


 常盤木学園高校(宮城)のキャプテンとしてボランチなどでプレーしていた熊谷は、北海道出身であるが、より高いレベルでプレーするため、東北の強豪・常盤木の扉を叩いた。当時、夏開催の高校女子選手権で優勝するだけに満足することなく、「北京五輪出場を本気で狙っていたので(メンバーに入れず)残念」とまで口にしていた、高校3年の熊谷の姿は特に印象的だった。高校生ながら、当時から高い意識で競技に励んでいたことが、その4年後のロンドン五輪での銀メダル獲得につながったに違いない。


 現在、サイドバックやセンターバックで活躍する鮫島も常盤木でプレーしていたが、当時は背番号10を背負い、攻撃的MFのポジションが多かった。それはベガルタ仙台レディース時代まで続いたが、近年は主にDFが主戦場だ。時折見せる鋭い飛び出しやスピードに乗ったドリブルは、攻撃を主に任されていた常盤木時代にルーツがあると言える。


 鮫島同様、現在サイドバックで活躍する有吉も、高校時代の神村学園高等部(鹿児島)では、攻撃的MFでアタッカー陣を操る存在だった。今シーズンはなでしこジャパンでボランチを任されることもあったが、それを難なくこなせた理由は、高校時代に中盤から前のポジションを様々経験してきたからだろう。サイドバックでボールをしっかり保持できる足元の技術は、日テレに加入して、さらに磨かれた印象がある。


 11月のノルウェー戦で直接FKを決めてなでしこジャパンに先制点をもたらした横山は、十文字高校(東京)時代からFKのキッカーを務めるエースストライカーだった。3年生で迎えた2011年の高校女子選手権準決勝で、横山は1得点1アシストをマークしながらも、延長戦の末に敗れて泣き崩れるチームメイトを抱きかかえながら、遅れて試合後の整列に加わった。


 2011年の女子ワールドカップドイツでなでしこジャパンが初優勝を成し遂げた4日後に行われた同年の高校女子選手権開会式では、澤穂希が女子W杯で履いたスパイクが展示されていた。当時U−17日本女子代表だった横山も、おそらくそれを目撃し、決意を新たにしたに違いない。


 近年の高校女子サッカーを席巻する藤枝順心高校(静岡)だが、杉田は高校女子選手権での優勝を経験することなく3年間を終えた。1年からレギュラーを任され、2年からは10番を着けてプレー。しかし準優勝が最高順位だった。全国制覇の夢こそ成し遂げられなかったが、3年ではキャプテンを任されたことで、責任感も一層強くなった。その後I神戸でなでしこリーグ1部の新人賞を獲得し、澤の背番号8を引き継いだ杉田は、まだ成長の過程にあると言えるだろう。


 ノルウェー戦でなでしこジャパンデビューを飾った宮澤ひなた(日テレ)は、星槎国際高校湘南(神奈川)の一員として、前回大会の高校女子選手権まで3年連続で出場した。星槎国際は新興勢力と言えるが、今夏のU−20女子W杯フランスでU−20日本女子代表を初優勝に導いた宮澤のドリブルは、見るものに大きな期待を抱かせる。


 冒頭にも書いたが、昔も今も、高校女子選手権は多くのなでしこリーガーやなでしこジャパン選手を輩出している。だからこそ、なでしこジャパン監督だった佐々木則夫氏や、現在のなでしこジャパンを指揮する高倉麻子監督は同大会の視察に訪れるし、各会場にはJFAのテクニカルスタッフが派遣されている。おそらく、今シーズン最後というプレッシャーがかかった中でも、高いパフォーマンスを発揮できる選手はいるのか、それを見極めに行くのだろう。今大会の出場選手の中にも、未来のなでしこリーガー、未来のなでしこジャパンが多くいるはずだ。


文=馬見新拓郎


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